第2話 恋のシフト制は不可避ですわ!

いずれにしても、ワタクシは今──

世界の理をつかさどる女神ですの。


……ええ、神。ゴッド。高次存在。

まずは、ひれ伏して敬ってくださってよろしくてよ。

でも、ちょっとだけ話してもよろしいかしら?


生前のワタクシ、実は──「お笑い芸」に目がなくてよ。


もちろん、表では一切おくびにも出しませんでしたけれど。

だって、公爵令嬢がゲラゲラ笑うなんて──


ですから、夜な夜な布団の中で“滑稽な喜劇”を読みふけり、

枕を抱いて笑いを噛み殺す日々を送っておりましたのよ。

……我ながら、隠れて笑うの、上手くなったと思いますわ。


それで、女神となって神殿に降り立った、あの日のことですわ──


目の前に現れた案内役が、無表情でこう言ったのです。


『この神殿、座ったら即・神職任命です。

 給料は“徳”で支払われます。現金化不可。

 ブラック企業も真っ青の永遠シフト制です』


あらあら、おかしいですわね?

「神殿」って、もっとこう、厳かな雰囲気だと思っておりましたのに。


っていうか──

“徳払い・ブラック企業・永遠シフト”て何事ですの!?!?


あなた、ずっと見てましたわよね!?

止められたんじゃなくて!?

えっ、それ、座る前に言いなさいませッ!?


『注意書きは貼ってありました』


あんな極小フォント、神の眼力をもってしても読めませんでしたわ!


でも……でもですのよ?

その時の“絶妙な間”と、“無表情の無感情パンチライン”──


……ズルい!


クスッとどころか、

ワタクシの中の何かが破裂しましたの。


あの瞬間、心に咲いたのは──

“恋”でしたわ。


しかもその案内役、

長身、銀髪、無表情で淡々と職務遂行。

ギャップ強火。


もう、ギャグマンガ日和のキャラですのよ。


「……あなた、お名前は?」


『 “シフト”と呼ばれています』


「シフトさん!? 職務名そのまま!? 本名どこ!?」


『今は、だめです』


「……えっ、何が? 自己紹介が? 名前の開示が? それとも恋?」


『今は、だめです』


同じセリフで全部済まそうとするの、やめていただけます!?


でも、まぁ──

ええ、仕方ありませんわね。


ワタクシ、神ですから。


恋より任務、優先しますわ。


さあ、神の役目を果たしましょう。


笑って、照らして、導いて──

ワタクシなりのやり方で!


え、魔王が現れましたの?


あらあら、どうなるのかしら。


つづく――♡


***


笑いが届きましたら、★をひとつ、神へのお布施として♡

あなたに素敵な未来が訪れますように(※確約は致しかねます)

https://kakuyomu.jp/works/16818622177134809150

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