エピローグ「朝、そして始まり」



──王都外縁部・小さな廃屋。


朝の光が差し込む。

土壁に囲まれた小さな部屋。その隅に置かれた寝台で、悠は目を覚ました。


「……っつ……」


身体中が痛む。

だが、その痛みは“生きている証”だった。


隣の小さな机には、皿に盛られた黒パンとスープ。

香草の香りが微かに漂っていた。


「……悠くん、起きた?」


扉の向こうから、瑠璃が顔を出す。

彼女は優しく微笑んでいた。


「無理しないで。体中ボロボロなんだから……」


「……あぁ。大丈夫だ」


悠は、ゆっくりと身体を起こす。


《ユウ……ハラヘッタ……タベル……タベル……》


「……お前もかよ、グリム」


魔剣グリムが、部屋の隅でカタカタと刀身を鳴らしていた。

その異様な姿すら、今は“日常”に思える。


瑠璃がスープを差し出す。


「今日は……暖かいよ」


「……そうだな」


悠はスープを口に運ぶ。

舌に広がる優しい味に、自然と笑みが零れた。


(……いつか、こんな日々が終わるかもしれない。

だけど今は、それでいい)


彼は、空を見上げる。


瓦礫だらけの街路の向こう。

壊れかけた王都の壁の隙間から、青い空が覗いていた。


「……今日も、生き延びたな」


そして、グリムを手に取る。


「行こう。まだ……“俺たちの世界”は始まったばかりだ」


剣が低く鳴った。


《オウ……イコウ……タベル……タベル……タベル……》


瑠璃が、小さく笑った。


そして、二人と一振りの剣はまた歩き出す。


──“選ばれなかった者”が、自分の意思で世界を選び取るために。

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『落ちこぼれの俺だけが神スキル持ちだった件〜クラス全員に捨てられたけど、気づけば最強で世界を救っていた〜』 まさやん @makunnnn

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