第36話 初めてのニー、君のニー

 旧カムンコタンへの道のりは順調に進んだ。


 大竹林に出現するモンスターも銀鉄位、強くてギリ白金位ぐらいの強さだ。

 前世から力が巻き戻りはしたが、新しい力を身に着けたリリィとフィリオ、さらにココノの舞がくわわれば敵なんていない。


 フィリオの感知能力に磨きがかかったのもでかい。

 こういった視界不明瞭な場所では奇襲されやすいのだが、それがほぼない。小型のモンスターがたまに突撃してくるぐらいだ。


 ってこーとで2~3日の道程が、がんばれば今夜中に辿り着きそう。

 だからか、ココノが早く行きたいと言った。


「うち、がんばれるよー」


 ココノの顔色はよいが、舞で飛んだり跳ねたりしているから疲れているはず。

 リリィたちの余力も十分だが、まあ休むべきだな。


「いーや、休むぞ。なにせ俺が疲れたからな」

「アムハヤ様を待たせるのも悪いのでー……」


 アムハヤ様とは、ホッコロをまとめる精霊だ。

 大竹林に長年住み、なんでも初代舞姫のパートナーだったとか。


 そもそも俺たちがカムンコタンに来たのも、そのアムハヤ様とやらが『魔王と似た気配を感じる』と町の人にお告げしたのが原因だ。リリィ的にも、だからこそ降臨祀には同行しておきたかったのだと思う。


 ココノはやわらかい表情だが強い意志を感じる。

 どうしたものか首をかいていると、フィリオが俺に賛同した。


「ココノ君、休んだほうがいいよ」

「でもー……」

「舞姫になりたい気持ちはわかるよ。なら万全の状態で向かわなきゃ」

「うんー……」

「君が舞姫になれるよう、全力でサポートする。ボクたち……ううん、ハルヤ君を信じてくれないかな?」

「うぉい、どうしてそこで俺が」


 俺が口をすぼめると、ココノがちらりと俺を見る。

 そして安心したように微笑んだ。


「お任せしちゃいますー」


 その笑顔の前に、俺はツッコミをいれるのをやめた。


 そういったわけで、一晩休むことになった。


 守りやすい場所で、リリィに魔祓いの結界を張ってもらう。

 腰カバンや収納魔法からテントやお鍋を取り出して、野営する準備を整えていく。正直、収納魔法はもう解禁してもいい気がするが、まだ黙っておくか。


 日が落ちきる前に温かい夕食をとり、交代で休憩することにした。


 ココノにはテントでずっと休んでもらい、そのあいだ俺たちが結界周りで警戒する。昼間に暴れまくったおかげで、俺たちの実力がわかってモンスターは寄り付かないと思うが。


「――第6の鍵・曲弓キアーヴェ・セイ


 夜の闇に、青白い矢が一直線に穿たれる。


 フィリオの万全万開の鍵ロック・ロック・キーで魔力の弓矢を創ってもらい、昼間にもあらわれたクジャク鳥を射抜いてもらった。


「仕留めたよ、ハルヤ君」

「おっかれー、これで死骸も魔除け代わりになるだろう」


 ちなみにモンスターは魔力を宿しているからか、普通の動物より分解が早い。魔力を好む野生の虫が綺麗にお片付けするからだ。特に野生では。


「しかし闇夜で一撃はさすだがな」

「これぐらいは……ううん、サキュバスの力に頼っているのもあるんだけどね」

「そうなのか?」

「以前より夜目が効いているよ」


 フィリオは得意そうに言った。


 サキュバスの力をもっと忌み嫌うものかと思ったら、本人は便利に……むしろ前向きに受け入れている。前世であった悲愴なまでの自身の追い込みっぷりは、だいぶ薄れたようにも思えるな。


 休みの提案もフィリオからだったので、俺は少し驚いたぐらいだ。

 ……いや隙あらば、赤封筒クエストがやってくるが。


 ココノも舞姫になれたら、ひとまず肩の荷が降りるだろうか。

 うーん、どーにも思いつめている気がするんだよな。


「たしかに、ココノ君は自分を追いこんでいるところはあると思う。……君が心配する気持ちもわかるよ」


 フィリオにあたたかーい視線で見つめられる。


「……んなことはー思ってねーよ。……サキュバス能力か?」

「ココノ君のはそんな匂いを感じただけで……ハルヤ君は、単に顔に出やすいから」

「でてねーって。今だってサキュバス化フィリオとドスケベしたいって考えてたわ」

「そういうことにしておくよ」


 フィリオは俺を見透かしたように微笑む。

 リリィといい、まったく……おのれえー。


「……全裸腰ヘコびったんこ踊りするぞ」

「な、なんだよそれ? もーっ、変なこといわないでよーっ」


 フィリオは怒りつつも、瞳に期待の輝きを宿している。腰ヘコびったんというワードだけで俺の股間をチラチラ見てきた。どすけべめー。


 うー、フィリオの反応で一気にムラムラした。

 でもさすがに今の状況で、全裸腰ヘコびったんこ踊りで、フィリオとドスケベカーニバルするのは危険すぎるな……。


 と、リリィが交代を告げにきた。

 代わりばんこで休むので、まず俺がテントに戻ることになる。


 ちなみにリリィ曰く『ココノ様は眠れないから読書している』とのこと。


 ならちょっと、どこかで一発オナシコしておくかなー。


 リリィが強固な結界をはったし、結界内で結界ニーすれば大丈夫だろう。勇者だったときは少ないオカズで即ヌキするしかなく、あらかじめオカズを決め打ちしていたが。


 な、な、なーーんと! 今はオカズ(エロ小説)があるんだぜい! 

 冒険のお供にエロ小説三冊! これも勇者じゃなくなったおかげ!


 どうして三冊も持ってきたのかって?

 人にはメイン性癖が二つや三つあり、それが日によって変わるからだ。


 一冊はもちろん、お気に入りのエロ小説『聖なる神官と呪いのベビードール(ディーエル出版)』だ。お堅い神官が呪いで、ドエロドエロする内容。


 もう一冊は『王子様は、実は淫乱巨乳サキュバスですがなにか?(ディーエル出版)』と王子様系巨乳女子が、ドエロドエロに抵抗しながら堕ちる内容だ。


 オカズチョイスに作為を感じる? 気のせい。

 だいたいこの二つがメイン性癖だ。


 そしてもう一冊が、性癖開拓と味変のため、いつもと嗜好を変えた。

 カムンコタンの書店で買ってきたものだ。


 それは『無垢っ子でムクムク ~無知なる君はオ〇ニーすることで気持ちのいい夢をみる~(ファンザー出版)』だ。無知無垢がちょっと気になったのだ。


「くくく……ふふはははっ!」


 三冊も……三冊も、冒険にエロ小説を持っていけるなんて……!

 勇者をやめると冒険にエロ小説を三冊も持っていける! これ、豆知識な!


 さっきも夕食後、知的な表情で読書(エロ小説)にふけっていたものだ。


 リリィはなんとなく気づいているのか、『……溜まったら、私がいますよ?♥』と責任とらセック〇を煽ってきてはいる。俺のムラムラを溜めるために没収されてはかなわんので、本にぶ厚いカバーはしたが。


 よし、今日は『無垢っ子でムクムク』を使おう。そんな気分だ。

 ここでテントに帰ったら仲間のオナ〇ーに遭遇する……なんてことは今回ないだろう。


 なにせ‼ ココノは‼ オ〇ニーをしらないからだ!

 しらなければオ〇ニーはできない。いじっているうちに辿り着くのがオ〇ニーという神秘ではあるが、今日たまたま気づくなんてありえないだろう。


 さっきまで読んでいた『無垢っ子でムクムク ~無知なる君はオ〇ニーすることで気持ちのいい夢をみる~(ファンザー出版)』も、ちゃんと分厚いカバーをしてテントに置いてある。絶対にバレないさ!


『――ココノ様は眠れないから読書している』

「はわわわわわん⁉⁉⁉」


 なにかに気づいてしまった俺は、大慌てでテントに戻る。


 途中から足音を消し、息をひそめてテントの前に立った。


 うす暗かりの中、わずかなランプの灯りに照らされたココノがいる。

 テント内で横たわりながら陰影をつくり、股に手をいれて、服をもぞもぞと動かしていた。


「ん……ん……こ、う……? ぁ……ぅ……♥」


 本を片手に、自分がなにをしているのかよくわからないまま頬を染めて、それでも本能が気持ちのいいことだとわからせるのか、肩をゆらしながら股に振動を送っている。


 熱を帯びた瞳で文章を目で追い、どうすれば快感が増えるのか探っているようだ。


「男の人を……想像すると……いいの……?♥」


 ぬれた唇で、うわついたように言い。

 ココノはさらに表情をとろけさせる。


「ハ、ハルヤさん……ハ、ハルヤさぁん…………♥ ぁぅ……これ……なにか……♥」


 新境地、新開拓、新展開。

 無垢無知っ子に、股間の一部がムクムクバッキバキになる俺がいた。

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