Ⅱ-Ⅰ 平倉桃矢
*四月七日 日曜日 学生寮
ベッドの中で身体を伸ばせば、小さく骨の鳴る音がした。
どうやら同じ体勢で眠っていたようで、身体が固まってしまったらしい。
身体が伸びてきたところで、僕はゆっくりと目を開く。
この天井も、だいぶ見慣れてきたと思う。
僕は枕元に置いてあるデジタルの目覚まし時計を確認する。
「……七時」
呟いて、今日が日曜日だったことを思い出す。
もう少しだけ寝ていればよかったかもしれない。
僕はカーテンを開き、陽の光を一身に受けた。
うん、いい天気だ。
さて……今日はどうしようかな。
特に予定はないのだけれど。
そういえば授業中に課題を出されていたことを思い出した。
ここで済ませてしまうこともできるのだけれど、せっかくなので出かけたい気持ちもある。
「あ! 図書館に行ってみましょう」
学校併設の図書室なら、日曜日でも開放していると資料に書いてあった。
課題もそうだけど……。
「久しぶりに、本が読みたいです……」
そうと決まれば、早速出かける準備をしよう。
*四月七日 日曜日 並木道
あまり食欲は無かった為、朝食はキャンセル。
僕はいつもと同じ学生服で通学路を歩いていた。
学校へ向かうのだから、制服でいいと思ったんだけど……変じゃないだろうか。
休日に制服を着て歩くのは、違和感があった。
図書室への用事が終わったら、着替えに戻ろうかな……。
不安を抱えながら辺りを見回していみるが……日曜日なだけあり、朝の桜並木に学生の姿はなかった。
健康的な老人がマラソンをしていたり、たまに見かける優雅なマダムが犬の散歩をしているだけだ。
午前中に課題を終わらせて、午後になったらどこかに遊びに行こうかな。
歩きながら心の中でそんなことを決めていた時だった。
「ん?」
正門に辿り着く直前……この学校ではない制服の人が、校舎を見上げていることに気付く。
この辺りの学生だろうか。
青色のブレザータイプの制服が、桃色の景色によく映えている。
肩位まで伸びた色素の薄い髪を、ハーフアップにまとめていた。
すらりとした立ち姿に人形のように整った顔立ちは、まるでカタログから出てきたマネキンのモデルだ。
道行く人達がその人のことを気に留めているのが分かった。
「あ……」
その人が突然こちらへ振り返る。
歩きながらジロジロと見ていることに、気付かれてしまったようだ。
僕は慌てて視線を逸らそうと下を向くが……その人は表情を変えずに僕とは別方向へ歩いて行ってしまった。
目があった時に見えたガラス玉のようなその瞳や、陶器のように白い肌……本当に人形のようだ。
そして。
「手袋……?」
先を歩くその人の制服の袖から、真っ白な手袋が見えた。
この時期に手袋をしているなんて、珍しいな。
それにしても、どうしてここにいたんだろう。
この学校に知り合いでもいるのだろうか。
僕はただただ、首を傾げることしかできなかった。
*四月七日 日曜日 図書室
誰もいない校舎一階の廊下を通り抜け、図書室へやってきた。
休日ではあるが、自分のカードを翳せばドアが開き校舎へ入ることができるのだ。
しかし図書室の中は誰もいない。
校舎の隅にあるこの場所は、自分の足音だけが反響していた。
せっかくの日曜日に、わざわざ学校の図書室に来る生徒なんていないのだろう。
予定がない僕だからこそなせる行動だ。
「よし、早速……!」
課題はさておき。
僕は海外の児童書のコーナーへと移動する。
昔、おじいちゃんに読んでもらった本を、久しぶりに読みたいと思ったのだ。
角を曲がった先の棚には、『ドイツ文学』と見出しが書かれていて、隙間無く本が入れられていた。
学生向けのためかあまり難しい本は無く、僕が望んでいた児童書がメインのようだ。
しかし思っていたよりもずっとたくさんの本が置いてある。
これ……読み放題、なんだよね……!
小さくガッツポーズをして、端から本の吟味をはじめる。
司書の先生もいないようだが、本の貸し出しは本のバーコードを読み取る装置によってセルフでできるみたいだ。
気に入った本があったら、寮でゆっくり読もう。
僕は整列された本のタイトルにサッと目を通してみる。
『シンデレラ』や『ヘンゼルとグレーテル』……。
主にグリム童話がメインのようだが、『はてしない物語』や『 黒い兄弟たち』などの日本でも有名どころの作品もズラリと並んでいる。
うん、今の僕には申し分ないラインナップだ。
「ん? この本は……」
他の本よりも少しだけ色あせた、石竹色の背表紙が目に留まる。
なんだか気になったのでそれを取り出してみる。
「『眠り姫』……」
これもおじいちゃんに読んでもらったことのある本だ。
魔女の魔法で百年の眠りについてしまうお姫様の話だっけ。
「…………」
眠りについたまま、荊棘に包まれるお姫様。
だけどそのお姫様は――――。
「王子様のキスによって、目が覚める」
「!」
「それって、そんな結末の話じゃなかったっけ?」
「と、東郷先輩……!?」
「しーっ。ここ図書室だから、静かにね。って言っても誰もいないけど」
突然現れた東郷先輩は僕の口元に人差し指を当てると、優しく微笑む。
「おはよ、ご機嫌いかが?」
東郷先輩は昨日と変わらない笑顔で、僕に話しかけてくれる。
ヘアピンで留めた長い前髪から、優しそうな瞳が覗いていた。
先輩も僕と同じ制服姿なことに、安堵を覚える。
「おはようございます。えと。ご機嫌は……いいです……」
「それは良かった」
「先輩、どうしてここに……」
「え? なんでって、勉強しに来たんだけど」
ずっといたんだけどね、と付け足される。
「ここ、朝七時から空いてるんだ。割と便利でたまに利用してるんだよ。キミ達一年生は入学試験があったから免除されてるけど……僕達在校生は、来週の月曜日は進級お祝いテストとかいう嬉しくないテストがあるわけ。日曜日だからって、のん気に遊んでられないんだよねー」
先輩の長い指が僕のおでこの方へと移動し、そして軽くデコピンされた……。
「痛いです……」
僕がおでこを押さえている間に、先輩の視線は上へと向かい、本棚の見出しを一見する。
「ってゆーか……なんでいきなりドイツ文学?」
「あ……おじいちゃんの母国がドイツなので……」
「え、キミ……クォーターなの?」
「クォーター……? あー……ええと……そんな感じですね」
「まさか帰国子女とか?」
「いえ、僕は生まれも育ちも日本ですよ。おじいちゃんとの会話で、少しドイツ語が分かるだけです」
「……やっぱ、とんでもない編入生だね。キミ」
「え……編入生だって、ご存知だったんですか?」
「もちろん知ってるよ。ここの学校、エスカレーター以外で入ってくる人なんてなかなかいないからね」
そういえば小鳥遊くんも同じことを言っていた。
もしかしたら、僕の知らないところで噂が一人歩きしているのかもしれない。
「それじゃあ先輩も、エスカレーターなんですか?」
「え……キミ、ここの学校の理事長の名前知らないの?」
東郷先輩が呆れたように続ける。
理事長の名前……ええと、生徒会長さんのお父さんだということは、浅倉くんに教えてもらったのだけど……。
「それとも何? エスカレーターで悠々進級してるからバカなのかってこと?」
「そ、そんなこと言ってません……っ!」
思ってもないことを深読みされてしまった。
ニホンゴ……ムズカシイ……。
「ええと、東郷先輩は……」
とにかく弁解するため、話題を変えようとするが……。
その様子を見て、東郷先輩は楽しそうに笑った。
「
「え……?」
「恭次でいーよ。僕、自分の苗字好きじゃないんだよね」
「ええと……恭次先輩……?」
「……ん、いい子いい子」
今度は、頭を撫でられた。
どうやら機嫌を直してくれたようだ。
僕がホッと胸を撫で下ろしていると、先輩はポケットから携帯電話を取り出す。
ブーブーと、電話が揺れていた。
「電話、ですか?」
「そうみたい」
「……
そう言うと、カバンが置いてある席に移動した。
そして、急いで荷物をまとめ始める。
「ごめんなさい……僕のせいで、あんまり勉強できなかったですね……」
「後輩は、そういうの気にしなくていいの。そもそも話すのが嫌だったら、話しかけになんか行かないよ。僕は勉強する気無かったからさ、いい時間潰しになったよ。ありがと。それじゃあ、そろそろ帰るけど……四季くんは、まだここに?」
「あ……はい。でも数冊読んだら、帰る予定です。本当は課題を済ませてしまいたいと思っていたんですけど……出かけたくなってきてしまいました」
「分かる。せっかくの、日曜日だもんね……あ」
恭次先輩はポンと手を叩く。
「ねえ、四季くん。今、部室に行ってみると面白いものが見れるかも」
「面白いものですか?」
「ん。きっと……とーやがいると思う」
「平倉先輩が……?」
どういう意味か聞こうとしたけれど、恭次先輩はもう荷物をまとめて帰る準備を始めているところだった。
急いでいるみたいなので、呼び止めるのはやめておこう。
「……じゃあね」
恭次先輩は一瞬だけ微笑んで、早歩きで図書室から出ていく。
「部室、か……」
このあとは特にやることないので、少し部室を覗いてみることにしよう。
*四月七日 日曜日 部室棟階段
「平倉先輩、好きです。付き合ってください……!」
突然聞こえてきた女生徒の声と、聞いたことのある名前に、僕の足の動きが止まってしまう。
さっきよりも校舎内に人が増えてきたなぁ、部活の人達かなぁ……と、窓の外のグラウンドに視線を落としながら、のんびり部室に向かい、階段を上っていた矢先のことだった。
部室から少し離れた階段の踊り場で、まさかの告白現場に遭遇してしまったのだ。
僕は慌てて、でも静かに中腰になり階段の手すりの影に身を潜める。
このまま数段登るだけで、確実に二人に見つかってしまうと思ったからだ。
こんな大切なイベントの邪魔するわけにはいかない……!
「ええと……悪い」
しばしの静寂を破ったのは、平倉先輩だった。
相手を傷付けないよう、声を優しくしているのが分かる。
「彼女……いるんですか?」
女の子の声は震えていた。
姿は見えないが、とても可愛らしい声だった。
「彼女はいないが、他に好きなヤツがいて……」
「それって、もしかしてあの雑誌に一緒に写ってた女の子ですか……っ!?」
「いや、あれはイトコで……だから違う」
「そう、なんですか……」
その子の声色には、悲しみと諦めが滲み出ていた。
もう自分の打つ手がなくなったことを悟ったようだった。
「……話を聞いてくれてありがとうございました」
その子は深く頭を下げると、階段を降りてくる。
しまった、と思ったけれどもう遅い。
階段下で身を潜めているのがバレてしまった。
しかしその子は僕のことを一瞬見ただけで、目に涙を溜めたまま階段を駆け降りて行ってしまった。
リボンの色から、同じ一年生だと分かる。
入学してまだ時間は全然経っていないのに、告白なんてすごいなぁ……。
その後ろ姿を見ながら、感心してしまう。
「はっ……!」
もしかして、恭次先輩が言っていた面白いものが見れるってこのことだったんじゃ……。
「覗き見か?」
「!」
背後からの先輩の声に、僕は両手を頭の上に上げて、隠れている場所から一歩横へ出る。
「え……宮守?」
「お、おはようございます……」
「なんでオマエが……俺はてっきり、東郷かと……」
「あ……えっと。本が読みたくなって、学園の図書室に来たんです」
「マジ? 本が読みたくなるなんて現象、存在するのかよ。……ああ。そこで東郷に会ったわけか。どうせ面白いものが見れるとか言われたんだろ」
「そ、その通りです!」
見事な推理に思わず拍手をしてしまう。
しかし平倉先輩は目を細めて腕を組み、深く息を吐き出す。
「やっぱりアイツの差金か……」
「もしかして、図書室で先輩とご一緒だったんですか?」
「ああ……昨日オレが誘ったんだ。今朝、時間あったら勉強教えて欲しいって。アイツ忙しいから、あんま時間は取れなかったんだけど。そんで、図書室で東郷と勉強していたら、突然一年生に呼び出されたってわけだ。今週で一年からは三人目。ほぼ初対面で、よく告白できるよな……」
「す、すごい……! 平倉先輩、おモテになるんですね!」
「全然嬉しくないけどな。できるだけ波風立てないように断るの、大変なんだよ」
「それは……確かにそうですね」
たくさんの人に告白されれば、断る作業に慣れてしまい、雑な答えを返してしまいそうなものだけれど……。
一人一人のことを考えて、最適解で答えを返す平倉先輩は、きっと優しい人なんだろう。
「……あ、でも、東郷先輩はさっきどなたからか連絡が来たようで……もう帰ってしまったかもしれません」
「……みたいだな」
平倉先輩は自分の携帯電話を取り出すと、慣れた手付きで操作する。
どうやら恭次先輩からもメッセージが届いていたようだ。
「……せっかくのチャンスが」
そう言って平倉先輩は肩を落とす。
テストはもう直前のため、恭次先輩に勉強を教えてもらえる最後の機会だったのだろう。
「あ」
その時。
空気を読めない僕のお腹が、ぐうと音を立ててしまった。
朝食を食べてこなかったことが今更になって影響してきてしまったようだ。
チラリと中庭の時計を見れば、時刻は一〇時半をまわったばかり。
学食の昼の部は一一時半から開始だから、そこで食べるのならばまだだいぶ待っていないといけない。
「何オマエ、腹減ってんの?」
「す、少し……。あまり食欲が無かったので、朝食を抜いてしまいまして」
恥ずかしい気持ちを隠すように、お腹を押さえる。
「なんだ、じゃあどっか食べ行くか。俺も腹減ったし」
「! ほ、本当ですか……!」
「ああ。今日一日ヒマだし。ファストフード位なら奢ってやるぜ?」
そう言って豪快に笑う。
その上品な顔立ちとは正反対な、兄貴分な性格のようだ。
「い、行きます! ぜひお願いします!」
僕は二つ返事で頷き、先輩の後にくっついて校舎を後にした。
*四月七日 日曜日 駅前
平倉先輩の後に続いて、僕は駅前と呼ばれる場所を歩いていた。
休日ということもあり、以前商店街を探索した時よりも多くの人が街を埋め尽くしていた。
「ほら、着いたぞ」
辺りをキョロキョロ見回しながら歩いていたら、いつの間にか、目的地の場所に到着していたらしい。
テレビのCMで何度か見たことがある、ファストフード店だ。
『マスド』というらしい。
少し背伸びして大きな窓ガラスの先を覗いてみる。
昼のゴールデンタイムよりも早く着いた為、レジにはまだ誰も並んでいない。
席にもたくさん空きがありそうだ。
「いらっしゃいませー!」
自動ドアを通ると、店員さんの元気のいい声が店内に響く。
揚げ油のいい匂いが、辺り一帯に充満していた。
僕達はまっすぐレジに向かった。
「俺は……チーズバーガーのセットで。サイドはポテトでドリンクはコーラ。オマエは?」
「え、ちょ……ちょっと待ってくださいね……っ」
慣れたように注文を終わらせる先輩に、僕は机に広げられたメニューを確認する。
どれも美味しそうで、全てのメニューに目移りしてしまう。
メニューを端から端まで見ていると、背後でお客さんが並んだ気配を感じる。
あまり待たせるのも悪いので、早く注文しなければ……。
「ええと……先輩と同じ物でお願いします」
「かしこまりましたー。少々お待ちください」
店員さんの声に、僕はホッと胸を撫で下ろす。
良かった……とりあえず、注文することができた。
「同じので良かったのか?」
会計を終わらせてくれた先輩が、不思議そうに僕の顔を覗き込む。
「ぜ、全然大丈夫です! あの……僕、マスド初めてで……どれも美味しそうで決められなかったので……っ」
「マジ? 今まで一回も来たことないのか?」
「恥ずかしながら……」
「いや、別に恥ずかしいことはないだろ。うちの学校、無駄に金持ちが多いからな。こういう庶民的な場所には入ったことがない……みたいなヤツ、たまにいるぜ」
僕の言葉に、先輩は優しく笑う。
「これからいくらでも来れるんだから、好きなメニュー見つければいいさ」
「そうですね」
やっぱり、平倉先輩は優しい。
見た目だけじゃなくて、新参者の僕なんかに気を使ってくれることが何よりも嬉しかった。
「えーっ! とーや君?」
「!」
すぐ後ろから、平倉先輩の名前を呼ぶ女性の声が聞こえた。
「桃香……!」
声の方へと振り返った、先輩が驚いた声を上げる。
そこに立っていたのは、平倉先輩と良く似た顔立ちをした女の人だった。
年齢は僕達と同じ位だろうか。
平倉先輩と同じ、腰辺りまで伸びたピンクベージュのふわふわした髪。
白い薄手のニットと、珊瑚色のマーメイドスカートが細身の体型に良く似合っていた。
「あれ、桃矢さん。お久しぶりです」
その後ろからもう一人、同じ年齢位の男の人が現れる。
平倉先輩と並ぶの高身長だ。
脱色しているのに痛みを感じさせない金色の髪が、店内のライトに照らされて、とても綺麗だと思った。
どこからか入ってきた風に、前髪が揺れている。
ベージュのジャケットに、細身の黒いスキニー。
足が長い為、とても格好良く見える。
ちんちくりんな僕には真似できない、まるで海外モデルのようなファッションだ。
「駒込も一緒なのか……ってことは、え? デートか? ついに!?」
「ヤダっ! とーや君ったら!」
「ぐ……っ!」
パニックになったらしい女の子の平手が、平倉先輩の肩にクリーンヒットする。
店内に響く程に、とてもいい音がした。
「午後から撮影があるんですよ。早め着いたのでここで時間を潰そうかと思って」
金髪の人が、後ろから説明してくれた。
「売れっ子達はすげーな。つーか変装もせずこんなとこにいたらファンに見つかるんじゃねーの?」
先輩はさっき叩かれた場所をさすりながら、店員さんから商品の乗った二人分のトレーを受け取る。
「意外とそんなことないんですよー」
「あんまり騒ぎになったことないよね」
「そんなもんなのか」
三人は世間話のようにのんびりと話しているが……。
僕は周りの人達が騒ぎ始めていることに気付いていた。
しかし話しかけてくる人はいない。
というより、この三人が輝き過ぎていて近付けないのではないかと感じる。
「おい、宮守。何ボーッとしてんだ? 席行くぞ」
「は、はい!」
先輩に促され、僕は空いている席を探す。
「とーや君、私達も相席していい?」
「ああいいぜ。席取っとく」
先輩は店の奥へと迷わず進んで行く。
選んだのは一番端の席のようだ。
ちょうど日の当たる場所で、ポカポカしていて気持ちがいい場所だった。
すぐ横には大きな窓があり、背の高い街路樹が見える。
「ここなら、通行人からも店の客からも見えにくいだろ」
先輩は机に二人分のトレーを机に置くと、僕の隣に座る。
死角になる位置に二人を座らせるようだ。
「お待たせしました」
僕達が座ってすぐに二人がやってきた。
どうやら飲み物しか買っていないらしく、注文からの流れがすぐに済んだみたいだ。
二人で譲り合いながら席に座る姿は、先輩の言う通り、とてもお似合いの二人に見えた。
「改めまして、とーや君のイトコの
田端さんが先に挨拶をしてくれる。
「イトコ……! だからお二人とも顔立ちが似ているんですね」
「良く言われるけど、そんなに似てるか?」
「自分達じゃ分からないね。とーや君はお母さんにそっくりだとは思うけど」
「……やめてくれ」
「えー、お母さんすごく綺麗なのに」
平倉先輩と田端さんが顔を見合わせる。
平倉先輩の大きな猫目に対して、田端さんは大きな垂れ目。
となると……二人は鼻と口元がよく似ているのだ。
「あとは髪質じゃないかな。二人とも綺麗なウェーブかかってるし」
隣に座った男の人が、追加情報をくれる。
確かに、田端さんが肩位まで髪の毛を短くすれば、後ろ姿は見分けがつかないほどそっくりになるかもしれない。
「僕は
飲み物を一口口に含んで、自己紹介をしてくれる。
「は、初めまして……! 平倉先輩の部活の後輩で、宮守四季と申します。椿乃学園、一年生です」
「え……桃矢さんの後輩ってことは……例の部活ですか?」
「まあ、そうなるな」
駒込さんの目が光ったのに対し、平倉先輩は苦笑いを返す。
「そうなんですね! だったら、僕達のチームにもぜひ入って欲しいです。もちろん、桃矢さんもですが」
駒込さんは目をキラキラさせて、僕と平倉先輩を見る。
チームという聞き慣れない単語に、僕は首を傾げた。
「それよりも、東郷を入れてやってくれよ。アイツ、まだ狙ってるみたいだぜ」
「前も言いましたが、それはできないんです。僕達のチームは、力を持つ者しか入れないので」
そう言って駒込さんが静かに首を振る。
力って……一体何の話だろう。
田端さんも何も言わずに、少し悲しそうな目をしていた。
しかし駒込さんは僕の目をまっすぐに見つめて、微笑む。
「また、スカウトさせてくださいね。今度は桃矢さんがいない時にでもゆっくりお話ししたいです」
「駒込」
平倉先輩は窘めるように駒込さんの名前を呼んだ。
「ごめんなさい、冗談です。大切な後輩ですもんね、危険な目に合わせたくないですよね。……あ、そうだ桃矢さん、話は変わりますが、
駒込さんの表情がコロっと変わる。
「
「それはそうなんですけど、集会だと邪魔者がいて、ちゃんとお話しできないんですもん」
駒込さんは子供のように口を尖らせる。
「……まあ、付き合ってるからな、あの二人」
平倉先輩は苦笑しながら、ポテトを口に運ぶ。
「僕は認めてないですけどね。早く別れて欲しいです」
「相変わらずいい性格してんな。オマエらぴったりじゃん、付き合っちまえばいいのに」
そう言って田端さんと駒込さんを交互に見て笑う。
「ち、ちょっととーや君!」
田端さんが顔を真っ赤にして抗議の声を上げた。
そしてすぐに辺りを見回して、悪目立ちしていないか確認する。
「ダメですよ、桃矢さん。そういうこと軽々しく言っちゃ。最近はどこで動画撮られてるか分からないんですから。すぐにスキャンダルになっちゃいますよ」
駒込さんが楽しそうに言い返す。
「その割には結構二人して一緒にいるじゃねえか」
「桃香ちゃん、一人でいるとよくナンパされてしまいますので……まあ、護衛みたいなもんですね。プライベートでは、学校ぐらいでしか話さないですよ」
そう言って、駒込さんは窓の外を見つめる。
右耳についたピアスが日光に反射してキラリと光った。
「……まあ、僕がカミングアウトするのがてっとり早いんですが。それはそれで面倒なことになりそうなので」
そう言って微笑むと、平倉先輩のポテトを摘んで食べた。
「確かにメディアに出るって反響すげーのな。俺も桃香と一回だけ……メンズなんとかって雑誌に出ただけなのに、結構声かけられるぞ」
「まあ桃矢さんの場合は、モデルっていうブランドが無くても格好いいですからね」
「売れっ子のオマエに言われたくねーよ」
平倉先輩は自嘲気味に笑う。
「とーや君は、モデルになる気はないの?」
「面倒くさい」
「あはは。桃矢さんっぽいなぁ」
駒込さんは目尻を更に下げて笑った。
その時、机が小さく揺れる。
誰かの携帯電話が鳴っているようだ。
「わ。もうこんな時間。すみません、桃矢さん。そろそろ僕達は行きますね」
駒込さんは自分と田端さんのトレーを持ち、立ち上がる。
「ああ。仕事頑張れよ」
「ありがとうございます。ええと、宮守くん……でしたっけ。お邪魔しました」
「二人共、ありがとね」
二人は僕達に手を振って、自動ドアから駅の方へと歩いていく。
僕達以外にも、二人を目線で追っている人達が何人もいたのが見えた。
「騒がしくなっちまって悪かったな」
「いえ、全然平気ですのがお気になさらず。二人共とっても美男美女ですね。しかも気を使えるし、優しいし……」
「あー……まあ、第一印象はそうだろうな」
僕の言葉に、平倉先輩は苦笑を浮かべる。
「二人共、いいのは外面だけだぞ」
「え……?」
「おっと……余計なことは言わないようにしないと」
平倉先輩は自分の口を手で塞ぐ。
「あ、でもこれだけ教えてやるか……というか、すでに気付いてると思うけど、駒込は桃香の片思い中の相手でもある」
「!? そ、そうなんですか……!?」
「え……見て分からなかったか?」
「全然気付きませんでした……!」
あんなに分かりやすいのに、と平倉先輩はまた笑った。
「そういや、宮守。このあとどこか行きたいところあるのか?」
先輩は、最後のポテトを食べ終わったようで、箱を折りたたみはじめる。
「行きたいところ……言ってもいいんですか?」
「ああ。今日は特にやることないし、テストは諦めたから付き合ってやる」
「あの……ご迷惑でなければ……。この町を案内して欲しいんです!」
思い切って自分のやりたいことを伝えてみる。
「いいけど……って、オマエこの辺の出身じゃないのか?」
「そうなんです。ええと……高校入学と同時に引っ越してきた……と言いますか……」
「なるほどな。つっても、そんなに珍しいもんはないけど……まあいいや。どうせヒマだし、ちょっと散歩がてら歩いてみるか」
「はい!」
僕は大きく返事をすると、残りのチーズバーガーを急いで詰め込んだ。
*
僕達はマスドを出て駅方面に向かう。
駅の正面にある看板に大きく『
先輩曰く、大都会というわけでもないけれど、都心へは片道三〇分位で行ける場所にあり、暮らすにも遊ぶにも特に困ることはない、住みやすい場所みたいだ。
駅は学校から東方向に歩いて一〇分位の場所にあり、大きく東口と西口に別れている。
「西口はまあ、オフィスビルやホテル、うちの学校がある位だな。少しずつ都市開発が進んでる地域でもある。ほら、あのデカい『イーストホテル』も、わりと最近できたしな。あと、スポーツで有名な
「今歩いてるのは駅の東口ですか?」
「ああ。こっちの方が色んな店が多いな。映画館、プラネタリウム、ゲームセンター……学生の遊び場がたくさんある。だから放課後は自然とこっちに人が集まってくるぜ」
「すごい……!」
平倉先輩の口から出てくる情報は、テレビでしか見たことのない場所のことばかりだ。
僕が行きたいと思っていた場所目白押しで、歩くだけでワクワクが止まらない。
立ち止まっては質問を繰り返す僕に嫌な顔一つせず、逆に面白いヤツ、と言って笑ってくれる。
「東口の方はいつも人が多いが、昼間出歩く分には治安はいいと思うぜ。夜は知っての通り、面倒なヤツらが出てきたりするけどな。特にメインストリートから外れた場所には近付かないように」
「はい……」
あの日、先輩に助けてもらったことを思い出す。
確かにあの路地裏の場所は、大通りから外れた場所にあった。
遠野先輩のライブを見る時は、一緒に行ってくれる人を探してみよう。
「あっちには何があるんですか?」
僕は駅東口を背にして、まっすぐ東を指差す。
「商店街だな。入り口近くに教会や児童養護施設があったっけな。で、そこを抜けた先に、桃香達が通ってる
商店街……。
この前、小鳥遊くんが商店街に美味しいケーキ屋さんがあると教えてもらって探検した場所だ。
あの時は残念ながら新作プリンは売り切れだったけど、またいつか再チャレンジしたいな。
その先へは行ったことが無かったので、高校や教会があるのは知らなかった。
「では、あっちは?」
今度は南方面を指差す。
「あっちはマンションとか公園とかがあるな。最近、新しいラーメン屋ができたんだっけ。で、その先には団地とか、住宅街が続いてるけど……あ、でもその更に先は、オマエは行かない方がいい」
「なんでですか?」
「しばらくはシャッター街が続いてて、まあそれだけでも暗い雰囲気なんだが。その途中に
「榎田……あ」
「そ。例の黒い学ランのとこ。この制服で近くをフラついてたら、確実に絡まれるな。ただでさえオマエ、ちっさくて弱そうだし」
「うう……」
先輩の言うことを全く否定できない。
「さて、駅周辺の説明はこんなもんかな」
「お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした。でも、すごく助かりました!」
「いや、ちょうどヒマだったから気にすんな。他に行きたいところはあるか?」
「行きたいところ……」
僕は先輩の言葉を鸚鵡返しする。
実は、特に気になっていた場所があったのだ。
このチャンスを逃さまいと、僕は先輩の優しさに甘えてみることにした。
「あの……この辺りで一番大きな本屋さんってどこにありますか?」
*四月七日 日曜日 本屋
「すごい……!」
駅前にある一番大きな書店に連れて来てもらった。
一階から五階まで全部が書店になっていて、各階で本がジャンル分けされているみたいだ。
本の検索システムも充実しているようで、探せばどんな本でも見つかりそうだ。
図書室もたくさん本があったけれど、ここは更に多くのジャンルが並んでいる。
僕は案内板を見て、外国語のコーナーが何階にあるか確認する。
「何か欲しい本でもあるのか?」
「特にこれが……っていうものはないのですが、ドイツの本が読みたくて」
「ドイツ? なんでまた」
「ええと……祖父の出身国がドイツでして……。簡単な文章であれば読めるんです」
「噂には聞いていたが……やっぱりオマエ、とんでもない編入生だな」
「あーそれ、恭次先輩にも言われました。他国語を読める人って日本では少ないのでしょうか?」
質問したのと同時に、エレベーターの扉が開く。
僕はステップを踏むように中へ入り、そして目当ての階のボタンを押した。
「…………」
「先輩、どうにしました? エレベーター、来ましたよ?」
「……え? ああ」
先輩は慌ててエレベーターへ乗り込むと、扉が閉まり上の階へと動き出す。
「先輩?」
何かを考えるように黙ってしまった先輩を不思議に思い、質問してみる。
先輩はハッとした表情になりゆっくりと口を開いた。
「あ、いや……悪い。呼び方が……」
ようやく声を発した先輩だったが、何故か語尾がどんどん小さくなっていく。
「呼び方?」
言葉の意図が掴めず、首を傾げる。
「東郷のこと……名前で呼んでたから……その……な」
「あ」
そこでようやく、先輩の言わんとしていることが分かった。
「ああ、そうですよね。朝、図書室で恭次先輩に言われたんです。苗字が好きじゃないから、名前で呼んで欲しいって」
「そ……なのか」
「?」
説明は通じたようだが、なんとなくパッとしない先輩の表情。
今度は顎に手を当てて、深く考えごとをしているように見える。
先輩が口を開きかけたのと、エレベーターが目的の階に到着したのは同時だった。
先輩の後に続き、僕もエレベーターから降りる。
この階は海外の書籍を扱っているフロアだったが、あまり人がいる気配は無かった。
「東郷は……まあ、有名人だからな」
「そうなんですか?」
「ああ。『イーストホールディングス』って言ったら、日本有数の大企業だ。さっき説明した『イーストホテル』、あれは東郷の会社が経営してる。他にも『イースト』が付く店は大体そうだな。アイツ、御曹司なんだよ」
僕は小鳥遊くんが教室で言っていたことを思い出す。
この学校は、政治家や社長の子供がたくさん通ってるって。
「俺達の学校の理事長の名前は東郷
「あ」
そこでさっき、恭次先輩が理事長の名前知らないのかを僕に訊いたことを思い出した。
「え、でも……理事長って、生徒会長さんの……」
「それは知ってんだな。アイツら兄弟なんだよ。パッと見、全然似てないけどな。まあ……だからこそ変な部活作ったり、好き勝手できてるってわけだ」
「な、なるほど……。僕、ちょくちょく失礼な態度をとってしまっていた気がします」
とても気さくに話しかけてくれるので、恭次先輩がそんなに凄い人だったとは全然気付かなかった。
「まあアイツ、特別扱いされること好きじゃないっぽいから、そんな畏まることはないと思うぜ」
平倉先輩の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「皆さん、とても優しい方で良かったです」
「約一名、キッツイのがいるけどな」
その対象者がすぐに頭に思い浮かび、僕達は二人で顔を見合わせて笑った。
「ちょっと、失礼」
突然後ろから声をかけられ、僕は反射的に横にズレる。
いつの間にか背後に僕達以外の人が立っていたのだ。
全く気付かなかった。
「あ、すみません……!」
慌てて謝ると、その人は少し微笑んで、そして本棚から一冊の本を取り出す。
その人は、青い色の制服を着ていた。
僕よりも一五センチ程高い身長に、人形のように整った顔立ち……そして、手には真っ白な手袋。
間違いない、今朝……学校の校舎を見上げていた人だ。
しかしその人はそれから特にこちらを見ようともせずに、表紙を確認してレジへと向かって行ってしまう。
「びっくりしました」
「全然気付かなかったな」
「本屋さんだから、静かにしないとですね……」
ふと、さっきの人が手に取った本のある、本棚の見出しが横目に入る。
「風景写真……」
色々な国の本が並ぶ中、その一角に風景写真のコーナーがあった。
日本の風景から海外まで、様々な写真集が並べられている。
僕は気になった見出しの本を手に取ってみる。
それは遠い、憧れの国の写真が集められた本だった。
「城か?」
先輩が後ろから覗き込む。
「はい。ノイシュヴァンシュタイン城。日本の有名なテーマパークのシンボルのモデルとなったと言われている、ドイツのお城です」
「あーあの、夢の国ね」
先輩の言い方に、思わず笑ってしまう。
「……いつか、行ってみたいです……おじいちゃんの母国に」
「そんな夢物語みたいに言わなくてもさ。今なんて宇宙旅行だって金があれば行けんだし、海外旅行なんて簡単に行けるだろ」
「そうですね。そんなに難しく考えること、ないですよね」
僕は表紙をひと撫でし、それを大切に抱えてレジに向かった。
*四月七日 日曜日 並木道
「あの……今日は色々と連れて行ってくださって本当にありがとうございました!」
オレンジ色の光が、人のいない桜並木道を照らしている。
あれから寄り道せずに寮に向かって歩いて来たのだが、日はすっかり傾いていた。
先輩は、深く下げた僕の頭の上に手を置くと、ぽんぽんと優しく撫でた。
「いいんだよ、一年の面倒を見るのは上級生の仕事なんだから」
そう言うと満足そうに微笑んでくれる。
ここまでに迷うといけないからと、学生寮の前まで送ってくれたのだ。
今日は……いや、出会ってからずっと先輩にお世話になってばかりだ。
「頭に花びらついてるぞ」
「え!? あ、ありがとうございます!」
先輩は優しくそれを取り、そして風に飛ばす。
四月に入り、散り際ではあるけれど……。
それでも桜は、生命力豊かに花を咲かせている。
「先輩の髪も、桜の色みたいですね。とても綺麗だと思います」
「……オマエ、よく恥ずかしげもなくそういうこと言えるよな」
平倉先輩は赤くなった顔を隠すように、自分の手で口を覆う。
「先輩でも照れるんですね。褒められ慣れてそうなのに」
「そりゃあ……同性に言われることはあんまないからな」
そう言われればその通りだ。
しかも綺麗って、男の人に使う言葉じゃないのかも。
もっと日本語、ちゃんと覚えないと……。
「まあ、素直なのはいいことだと思うが」
「そうでしょうか……もし、変なこと言っていたら教えて下さいね、平きゅらせん……」
……やっぱり、日本語は難しい。
「噛みました……」
「呼びにくかったら、俺も名前呼びでいいぞ」
「いいんですか……っ! そ、それでは……
「ああ。好きに呼んでくれ」
桃矢先輩はあどけない笑顔を見せてくれた。
「そんじゃ、俺は帰るな」
そう言って、先輩は右手上げる。
僕も慌てて左手を大きく振った。
「はい! また明日!」
「じゃあな」
先輩は歩いて来た方角と反対側へ踵を返すと、慣れた足取りで帰路に着く。
僕は伸びた影と、その背中が見えなくなるまでずっと見送っていた。
*四月七日 日曜日 学生寮
「ふう」
備え付けのお風呂に入って一息。
ベッドに座りながら、簡易冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターで喉を潤す。
たくさん歩いたため、足はすっかり疲れ果ててしまっていた。
「今日も充実した一日でした……」
誰に言うでもなく一人呟く。
ベッドサイドの机に置いてある猫のぬいぐるみが悲しそうな目でこちらを見ている気がした。
今ではすっかり『猫童話シリーズ』して定着しているそれは、童話と猫がコラボレーションしているものらしい。
つい最近、他にも様々な種類があることを知った。
この子は『いばら姫』をモチーフにしている。
おじいちゃんも誰かからもらったらしいのだけど、詳しいことは知らなかった。
「ん」
昨日と同様に、その子に向かって指先に少し力を入れてみるが……。
今日はピクリとも動かなかった。
僕の魔法は弱い上に安定していないのだ。
普通の魔法使いはそんなものだと、おじいちゃんが慰めてくれたことを思い出す。
「ね……おじいちゃん。僕、今すごく楽しいです」
誰もいない寂しさを紛らわすように、ベッドに潜り込む。
ゴロゴロと寝返りをうっていると、いつの間にか眠りについていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます