駄犬です
@smilehhhhhhh
第1話
ふん、俺は他人のことなど一切気にしない男だ。だが今日、家と家の狭間を抜けようとした時、予期せぬ出会いを経験することになった。
「お前、俺の友達の妹を泣かせたんだろう?」
突然現れた男が怒鳴りつけてくる。何の話だかさっぱりわからない。確かに、顔立ちと背丈には自信があるから、たまに女の子から告白されることはある。だが俺はいつも無視してきた。この世界は「美しいもの」と「醜いもの」に二分される。過去十年ほど、目の前にいるこの男ほど「美しい」存在に出会ったことはなかった。まるで輝いているようだ…
「おい、聞こえてんのか?」
「猫目、そんなことよりさ」
その男に話しかけるのは田中翔太らしいが、俺の視線はもはやこの男から離せない。
「二年一組の猫目涼真だ。不満があるなら青嵐学園野球部まで来い。今はとっとと俺の鬱憤を晴らさせてもらう」
予想通り、猫目と名乗る男の拳が振り下ろされる。もちろん今までにもこんな暴力沙汰はあったが、背が高く少し武術の心得もある俺に、これまでのチンピラたちは手を出せなかった。もし反撃すれば、この美青年など軽々とねじ伏せられるだろう。だが俺は反撃しなかった。まるで変態のように、この痛みを堪能していた…頭の中はただひとつ、さすが猫目というだけあって、宝石のように美しいその瞳のことしか考えられない
「どんなにイケメンでも、また俺の友達の妹を泣かせたら、必ずお前の顔面に拳を叩き込むからな」
猫目は俺の襟首を放し、地面に蹴り倒した。だが最後まで、あの「妹」が誰なのか思い出せなかった。頭の中は猫目涼真の顔でいっぱいだ。この灼熱のような想いは、絡みつく藤のように骨の間を這い、心臓から血管を通って全身に広がっていく…
「これが…恋というやつか?
今までこんな感情はなかった。本当に初めてだ」
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