第54話 城塞国家プロマスを救え! 俺の旅立ち!
「ということで、敵軍の兵士を解放したんですがそいつらの国が支配されてて、あいつらの母とか奥さんとか姉とか妹とか娘がNTRされてるんですよ! 許せねえ!」
「なるほど分かった」
団長が厳しい表情で頷いた。
これを見て、後ろの女子たちがざわつく。
「ジョナサンさんの説明が分かるんですか!?」
「流石騎士団長だねー!」
「理解力では不死者を超越しているかも知れませんね」
「理屈じゃなくパッションで分かる的なやつ?」
『やれやれ、勇者は常に心の中をあけすけにして魂からの言葉しか叫ばないのに、まだ理解できない娘ばかりですねえ』
「ジョナサン、お前が帝国の本隊を瓦解させたお陰で、我が国も余裕ができた。さらに兵士たちの国である城塞国家プロマスを解放することができれば、帝国の支配地を削ることもできるだろう。よし、行くがいい!」
「はっ!! あと、こう、マリーナ姫に悪い虫が寄らないように注意を……」
「お? 何のことかは分からないが分かった」
団長がダメージを受けて、マリーナが看病する方向に話が進まねば、この人が間男になることはない。
ダイオンは自分の部隊を率いて遠出しているらしいし……。
しばらくはマリーナは安心と言ってよかろう。
あのバカ皇子が来ない限りはな。
俺が帝国を痛めつければ痛めつけるだけ、バカ皇子が訪れる可能性が減る!
一応マリーナにも会っておく!
そう決意し、謁見の間に行った。
おお、都合のいいことにデュエル王子もいるぞ!
「マリーナ。しばらくまた旅に出ることになったんだ。だから知らせに来た」
マリーナの前では、ジョナサンっぽいロールプレイがすぐに出るな。
「ええ、話は聞いているわジョナサン。前の優しくておとなしい貴方も好きだったけど、今の前へ前へと突き進む貴方も好きだから、私は応援するわ。頑張ってジョナサン! 誰かにとって大切な人たちを助けてあげなさい!」
「御意!」
ついでにデュエル王子に、
「あのー、マリーナに悪い虫が寄り付かないようにだけ注意していただけると……。殿下にこういうのお願いするのは大変申し訳無いのですが」
「構わんとも。優秀な騎士のモチベーション維持は、我が国の防衛に直結する。妹の身の安全と貞操は俺が守ろう。ジョナサン、お前は全力で帝国軍をかき回せ。戦争どころでは無いくらいにしてやれ!」
任せてくれ!
俺は意気揚々と城を出発した。
無論、マリーナ以外の女子は引き連れているぞ。
全員チョロインだからな。
そして、解放した兵士たちと合流。
彼らを仮に解放軍と呼ぼう。
「解放軍諸君!」
「解放軍!?」「俺達が!?」「なんで解放軍……!?」「ハッ!!」
その時、兵士たちに電流走る!!
彼らは、俺が向ける笑みを見て全てを理解したらしい。
男には何が必要か?
使命感と大義ある目的である!!
「祖国を解放するんだ!」「プロマスを取り戻せ!」「帝国を追い出せ!」「うおおーっ!! 俺たちは解放軍だーっ!!」「やるぞーっ!!」
うわーっと一気に盛り上がる解放軍!
勝手に察して、勝手に理解してくれて本当に助かる。
こうして俺たちは城塞国家プロマスへ向かった。
さて、プロマスという国についてだが……。
俺はドット絵で描かれたチープな地形しか知らない。
レイク王国城だって、原作だともっとシンプルな構造だった。
だがいざこの世界に降り立ってみると、一日では回りきれないほど城内は広く、様々な構造に満ちていた。
「俺はあまりプロマスのことを知らないので、色々教えてもらえると嬉しい」
「ハッ!」
兵士たちのまとめ役っぽいおじさんが敬礼する。
ジョナサンなんか、自分の息子くらいの年齢だろうになあ。
「年は関係ありません。我々には成すことができなかったことを、あなたならばできる! あなたがそう信じさせる何かを持っているからこそ、我々は敬意を払うのです!」
「そうか……! ちなみにプロマスには奥さんを残して……?」
「妻と……娘が……!!」
「なにぃ!! ゆ"る"せ"ん"!!」
NTR贅沢セットの王道ではないか!!
絶対に絶対に許せん!!
俺が賢者モードでいる間は見逃せんぞ!!
帝国め叩き潰してくれる!!
怒りに燃え、強烈な感情の発露に周囲の光景を陽炎のように揺らめかせる俺を見て、おじさんが頷く。
「その顔です。あなたは我々の置かれた窮地に対して、我が事のように怒ってくれた! 嘘偽りのない、あなたの怒りが我らの信頼につながったのです!」
だってNTRは許せないからな!
こうして俺たちは一路、プロマスへ向かう。
出会ったばかりなのに、なんか物凄い信頼によって繋がれながら……!!
とは言っても、集団での移動だ。
飯が必要になる。
帝国はどうやら片道分の食料しか持ってきていなかったようだ。
解放軍をこの戦争で使い潰す気だったのだろう。
従って、食料は現地調達することになる。
これだけの数の兵士の胃を満たすには……大量の食料が必要になるだろう……。
「ナル、頼む! 狩りをするんで手伝ってくれ!」
「オッケー! 食べがいがありそうな動物の群れとか見つければいいんだよね?」
「どれだけの大物でも、私が仕留めて見せますわ」
「兵士の皆さんは釣りをしてくださーい! 魚が一匹でも多く釣れれば、食事の量が増えますからー!」
「人間って大変ねー。サキュバスは精気だけ吸ってれば満足なのに」
チームの女子たち総動員で、解放軍のサポートを行う。
ナルが鹿の群れを発見した。
これを解放軍で追い込み、ヴェローナが仕留める。
水面にアルシェが誘惑ビームを打ち込み、食らった魚がどんどん浅いところに浮かんでくる。
これを即席の網や釣り竿で次々にゲットする。
チエリが思わぬ釣りの才能を見せ……。
「フィーッシュ!」
バカでかい鯉を釣り上げていた!
こいつ、川の主ではないか?
『あっ、チエリに釣り人スキルが生えてきてますね!』
「ほんと? それは強いな! ちょっと伸ばしておこう……」
『彼女は目星スキルもありますから、釣れるポイントが分かるみたいですし』
「目星+釣り人でコンボか……」
こうして集まった食材を、みんなで捌いて加工して、その日の食事と保存食にし……。
兵士たちは一刻も早くプロマスへ帰りたいだろうが、そのための備えをすることが肝要なのだ!
食事をしながら気付く。
「厨房や食堂じゃなければ、ただ焼いただけとか煮ただけの料理になるじゃないか! これぞファンタジー!!」
「なんでジョナサンさんは興奮してるんでしょう……」
チエリが川の主の頭をもぐもぐ食べながら、不思議そうな顔をするのだった。
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