第44話 レイク王国解放!
「では再びコールポータル。これで君をギルドまで送ってあげよう」
「ありがたい! じゃあ俺がもうちょっと強くなったら決着の時ということで」
「うむ。私も、君がNTRが発生する現象の根源ではないかという情報の裏取りをしておくよ」
NTR絶許勢の不死王。
いつかはぶつかり合う運命であったか!
でもまあ、今ではないからいいや。
ヴェローナが複雑そうな顔をしてついてくる。
「グーテンダーク様から宣戦布告されてなお、飄々としたその態度。あなたという人間が分かりませんわね……」
「なに、俺にとっての大目標はもっと遠くにあるというだけだ」
『そうですよ! 勇者はこの世界を裏から操ろうとする最悪の侵略者、超越者を倒すために私が召喚したのですから!』
俺の肩の上で、セレスがえっへんと胸を張ったっぽい気がした。
手のひらサイズの光だからよく分からんなあ!
「えっ!? ジョナサン、あなたの肩の上に光がいて、私に話しかけてくるのですけれども!?」
「あっ、聞こえた!? おめでとう。ヴェローナは晴れて俺のパーティメンバーだ」
「どういうことですの……?」
「この光、豊穣の女神セレス」
『セレスですよー! 不死者たちとは本来相反する存在ですから、私が元気になったら不倶戴天の敵ですね!』
「セレス……!? 神々は力を失い、この大陸を去ったはずでは……」
『ちょっとお昼寝していたら千年経過していて、神々への信仰は失われ、私達の力は弱り、超越者がパルメディアを手中に収めようと侵攻を開始していたのです。それで私は、残された力すべてを使って勇者を呼び込みました!』
「そ、そう……。セレスという女神の名前は存じ上げませんけれども……。なるほど、ジョナサンの人間としては異常な成長速度に合点が行きましたわね。それで、私があなたのパーティに加わったとして、何をされますの?」
警戒の目で俺を見てくるヴェローナなのだ。
これ、本来だったら叡智なイベントもいけた雰囲気だな。
だが、俺は賢者モードなのでな。
「ステータスをいじる……。ちょっと見せてね。うわっ、レベル57!? つっよ!! それにスキルもびっしり埋まってて、スキルポイント余ってないじゃん」
『なるほどー。モンスター種だと自動取得されていくのですね。これは育成の喜びが薄いですねえ』
「なー」
「なんだか分かりませんが、私の誰にも知られていない場所を覗かれて無遠慮に批評されている心地です……!!」
ごめんごめん。
こうしてギルドの前に俺が戻ると、チエリとナルの閉じ込められた結界の球がパリンと割れた。
「おかえりー! 早かったね!」
「心配してました! それで……解放の方法は分かったんですか?」
「分かったぞ。今から、レイク王国を解放に行く!」
俺、仲間を伴って出撃~!
ここから数日掛けて、レイク王国まで向かうのである。
と思ったら、道端で見覚えのある女が俺を待っていた。
頭の脇から伸びる角。
コウモリのような翼に、水着のような扇情的衣装。
先端がスペードのようになった尻尾を生やした……。
「あっ、サキュバス!!」
「不本意だけど、御主人様の命令だからね。王国を解放しようっていうお前を待っていたわ」
以前、声に掛かっていたエコーみたいなのが無くなっている。
『素の状態に近い、戦闘モードではないサキュバスですね! 彼女から戦意は感じられません』
「セレスそんなのまで分かるの?」
『ふっふっふ、勇者がパワーアップする度に、私はおこぼれをもらって強化されているんです』
な、なんだってー!!
すっかり女神が俺のオプションではないか。
ということで、一行にサキュバスまで加わった。
「アルシェと呼ぶがいいわ。はあー、何の因果でこんな変態男と行動をともに……」
「おや……? 魔道士ボナペテーの眷属ではありませんの?」
「そういうお前は不死王の眷属……!? どうなってるわけ!?」
「ひいー。とんでもないことになってますー!!」
「ボク、明らかに場違いなんだけど! なんでこの中にいるのー!」
女子たちが賑やかであることよ。
サキュバスのアルシェは、まだ俺に心を許していないのでパーティ登録はされていない。
だが、明らかにちょっと態度が柔らかいな。
『勇者には女性の心を解きほぐす力がありますからね』
「竿役に回ったら無敵のスキルじゃないか。まあ俺は賢者モードなんだけど」
ちなみに、ボナペテーは五将軍ゾンビーネと戦っているので、こちらには来られないようだ。
そのために、使者としてサキュバスが送り込まれた。
元はと言えばボナペテーのやらかしだが、お陰で俺がパワーアップする時間を稼ぐこともできたし、強力な仲間も増えた。
ある意味、ボナペテーには世話になったと言えよう。
こうして五人で賑やかに移動していると、ついにレイク王国が見えてきた。
巨大な氷山に飲み込まれてしまったように見える。
まさかこの、巨大な時間凍結が……物理的な攻撃で解けるとは!
「では時間凍結を物理的に破壊する! みんなついてくる?」
「行くー! チエリが移動できないねえ」
「あーん! 私だけ置いてけぼりはいやですー!」
「仕方ないわねー。これだから人間は」
サキュバスのアルシェが、チエリをひょいっとおんぶした。
「別に私でもいいのですけれど?」
「あたしはこうやって、この変態に恩を売ってるの!」
問題ないようだ!
彼女たちを率いて、時間凍結の氷山を駆け上がる。
もちろん、つるつる滑る氷山は並の身体能力では移動することすらできない。
具体的には、運動スキル5レベルは無いとどうしようもないのだ。
サキュバスは飛んでるから無効化できるけど。
飛べるのいいなあ!
さあ、到着したのは王国の中心。
王城の真上に当たる場所だ。
そこに、一箇所だけ真っ青な氷の塊があった。
これが時間凍結の核。
これを砕けば、時間凍結は解除されるのだ。
ただし、それを破壊するためには非常に強固な物理的、魔法的防御を抜かなければならない。
つまり……。
「練気!」
じっくりと気を練って……。
「浸透勁……氷柱割りチョーップ! ツアーッ!!」
真っ向唐竹割りである!
十分に練り込まれた気を纏い、放たれたチョップが青い氷塊に突き刺さる!
浸透勁なので防御は無視なのだ。
一撃で、これを真っ二つに叩き割った。
それと同時に、王国全土を包み込む時間凍結の氷山に亀裂が走る。
どこまでもどこまでも亀裂は広がっていき……。
やがて、甲高い破裂音とともに、氷山は砕け散ったのだった!
よっしゃ、王国解放!
冒険者編、完!!
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