第2話目覚め
爆音が鳴り響く。叫び声が遠くで聞こえる。いや、実際には、近くで叫んでいる。耳がいかれたのか、遠く聞こえる。大型四足戦闘機バルモーが近づく音が聞こえる。距離はわからないが多分すぐ近くにまできている。逃げなければ。踏み潰される。動こうとするが動けない。動きたいのに動けない。俺は何をしているんだろう。水に溺れたような感覚である。体がゆうことを聞かない。当然バルモーの音が聞こえなくなった。視界も晴れた。後ろを振り返ると巨大なバルモーが、俺を見下ろしている。汗が全身から溢れ出す。逃げなければ!逃げなければ!!しかし、身体は動かない。バルモードがその巨大な足をあげ、俺の周りに影ができる。徐々に徐々に足は降りてくる。
ああ俺はここで終わりなのか...辺りが完全に真っ暗になった。もう踏まれたはずだ。なのに意識がある!もしかしてあの世?そう考えていると一筋の光が差し込む。そこから何か音が聞こえた。耳を澄ませると女性の声だ。なんて言ってるのだろうか?一筋の光に手を伸ばすとそれは次第に大きくなり、視界が真っ白になった。
小さかった女性の声が今でははっきりと聞こえるようになった。
「聞こえますか!?聞こえますか!?アッシュさん聞こえますか?」
「うううう」
光が眩しい。目を徐々に上げると白い天井が見えた。ここは、病院か?それとも天国かもしれない。いや、病院だきっと。
「先生!目覚めました」
ナースがそう大声で言うと奥からハゲ頭でメガネをかけた医者が出てきた。
「アッシュさん。聞こえますか?聞こえたら何か反応してください。できる範囲で。」
声を出そうとしたが出そうにない。身体も動き気がしない。しかし、頭と首あたりは動けるため頷くことにした。
「いいですか、落ち着いて聞いてください。」
医者は、深刻そうな顔で言葉を発した。
「あなたは昏睡状態にありました。どれくらいの長さかって?3年です。」
「!!!!」
3年!どういうコトだ!俺は!3年眠っていたのか?しかしなぜ!なぜ!俺は、何もしてないはずだが!
息が苦しくなる。苦しい..
「落ち着いて!落ち着いて おおおおああ落ち着いてくださいいい!!」
まずお前が落ち着け。
医者は息を整えて声の調子を取り戻した。暴れ出したい気分だが、この医者では心配だ。
「良いですかアッシュさん!あなたは、惑星アカトシュ防衛戦で大きく負傷しました。右手を失い、アカトシュを奪われ、あなたは3年間眠ったままでした。人類は敗北し、帝国の属国になりました。そしてあなたの恋人は別の男と結婚しました。」
「そんな嘘だろ!おい!嘘だろおお」
あまりの衝撃で声が出るようになった。
「まずい!!ナース!落ち着いて!落ち着いて!人類は負けましたが、まだ希望はあります!」
「別の男と結婚したってどういうことだ!3年眠ってただけなのに!!恋人なら待ってくれるよな!」
「すみません。出来たことないのでわからないです」
「そうですか。」
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