第49話 桜井麻里vs佐藤舞 ネオン・クラッシュ ボディコンキャットファイト レズバトル

# ネオン・クラッシュ―華麗なる夜の血染めデュオ


新宿・歌舞伎町の地下深く、時計は深夜2時を回っていた。「イリュージョン」と名付けられたそのクラブは、バブルの熱気に浮かされた人々で溢れ返っている。ミラーボールが放つ光の粒が、宝石のように煌めくフロア。そこには今夜限りの幻想が繰り広げられていた。


DJブースからの重低音と観客の歓声が交錯する中、ステージ中央で二人の女性が静かに向かい合っていた。


「桜井麻里」(サトウマリ)— スタイリッシュな黒のボディコンドレスに身を包んだ長身の美女。ストレートの黒髪が肩まで流れ落ちている。冷静な瞳で相手を見据えながらも、右手の拳は既に固く握られていた。


その正面に対峙するのは「佐藤舞」(サトウマイ)。彼女もまた完璧にフィットした赤いボディコンドレスを纏っていた。緩やかにウェーブのかかった金髪が肩の上で踊っている。怒りに満ちた表情で唇を歪ませると、麻里を挑発的に睨みつけた。


「ふざけんじゃないわよ、麻里。あんたなんかに負けるわけない」


「それはこっちの台詞よ、舞。あなたみたいな嘘つきに負けたら恥だわ」


二人の間の空気が張り詰めた瞬間、ダンスミュージックが急にテンポアップし、「ファイト!」というアナウンスとともに照明が切り替わった。フロア全体が興奮の渦に巻き込まれていく。


最初に仕掛けたのは舞だった。俊敏な動きで麻里の襟元を掴むと、力任せに引き寄せようとする。しかし麻里も負けてはいない。すかさず左腕で舞の攻撃を受け流し、逆に彼女の右肩に強くパンチを入れた。


「ぐっ……!」


痛みに耐えきれず後退する舞。しかしそれだけで終わらせるような彼女ではなかった。再び飛びかかると、麻里の頬目掛けて平手打ちを放つ。鋭い音が響き渡り、麻里の顔が横を向いた。


「まだ終わりじゃないわよ!」


怒り狂った麻里は舞の髪を鷲掴みにすると、そのまま勢いよく床に叩きつけようとする。だが舞も必死で抵抗した。両手で麻里の腕を掴み返し、二人は激しく取っ組み合う形となる。


周りの観客は息を飲んで見守るばかり。誰一人として止める者はいなかった。それどころか、「やれ!もっとやれ!」と煽る声すら上がっている。


「絶対許さない……あんたさえいなければ……!」


舞が叫びながら麻里の首を絞めにかかる。窒息させる気だと悟った麻里は必死で彼女の腕を剥がそうとした。バランスを崩した二人はもつれ合いながらステージ上を転がっていく。


ドレスが裂け始める音が聞こえる。舞の赤い生地から肌が露出し始め、麻里の黒いスカートが大きく捲れ上がった。それでも二人は互いへの攻撃を止めようとしない。


「この……売女め!」


舞が鋭く噛みつくと、麻里の左肩に激痛が走った。血の味が口に広がる。しかし麻里も即座に反撃に出る。舞の太腿に膝蹴りを入れると、さらに彼女の腕に噛みついた。


悲鳴と共に舞が一瞬怯む。その隙を突いて麻里は起き上がり、体重をかけて舞を押さえ込む。しかしその直後、舞は巧みな体捌きで脱出し、逆に麻里の背後に回り込んだ。


後ろから羽交い締めにする舞。しかし麻里は柔軟な動きで振り向きざまに肘鉄を食らわせた。痛みに顔をしかめた舞の顎に、続けて強烈な頭突きが炸裂する。


二人とも額から出血し始めた。それでもなお殴り合いは止まらない。拳と拳の応酬の中で、かつての華やかな装いは見る影もなくなりつつあった。


「なんでこんなことに……」麻里は苦しげに呟いた。「昔は親友だったのに……」


「全部あんたのせいよ!」舞が叫ぶ。「私がどれだけ傷ついたと思ってるの?」


二人の涙が交じり合う血の中に落ちた。それでも戦いは終わらない。それがルールだからだ。決して仲直りしてはいけない。決着がつくまで—あるいはどちらかが本当に倒れるまで—闘い続けなければならないのだ。


フロア全体が一つになったかのような熱狂の中、二人の女性は最後の力を振り絞って殴り合う。美しく装飾された外見とは裏腹の醜さ。それがバブル期の本当の姿なのかもしれない。


夜が更けるにつれ、二人の闘いは次第に緩慢なものになっていった。しかし誰一人として止める者はいない。それがこのクラブ「イリュージョン」の掟だからだ。ネオンの輝きの下で繰り広げられる血染めの決闘—それは永遠に続くかのように思われた。


やがて朝日が差し込み始める頃、二人は疲労困憊しながらも未だ相手を睨み合っていた。ドレスはボロ布となり、美しい化粧は完全に崩れている。それでも彼女たちの目からは決して折れない意志の光が消えていない。


「勝負は決まらないね」DJがマイクを通して宣言する。「また今夜、新しい闘いがある。それまでゆっくり休んでおくれ」


そうして二人は別々に控室へと連れて行かれた。全身傷だらけになりながらも、彼女たちの心には新たな憎しみが芽生えている。明日またここで会う。その時は今度こそ決着をつけなければならない—どちらが上なのか、完全に証明するために。


そしてクラブの灯りは一度消え、歌舞伎町の朝が始まる。だがそれは一時的な休息に過ぎない。また夜が来れば、あのステージで新たな血が流されるだろう。美しさと醜さが入り混じる幻想の世界で、女たちの闘いは永遠に続いていくのだ。

「イリュージョン」のVIPルームでは、翌朝の作戦会議が始まっていた。麻里と舞は別々の部屋で手当てを受けながら、次なる闘いへの準備を整えていた。


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### 朝のVIPルーム - 桜井麻里編

麻里は鏡の前に座り、顔の腫れを冷たいタオルで押さえていた。左肩には舞の噛み痕が赤く残り、右頬には青あざができている。


「また新しい化粧品が必要ね……」


介助役の女性スタッフが優しく麻里の髪を梳かす。「大丈夫ですか?今夜のイベントはキャンセルできますよ」


麻里は冷たく笑った。「そんな選択肢はないわ。あの女には借りを返さないと」


スタッフが小さく頷き、「例の薬を持ってきました。筋肉の炎症を抑えるのに効きますが……使用量には注意してください」と小さな瓶を差し出した。


「ありがとう」


麻里はその薬を眺めながら考えた。舞との因縁は昨日今日始まったものではない。数ヶ月前、ある男性を取り合ってから全てが狂い始めたのだ。最初は言葉のやり取りから始まり、徐々に物理的な接触へとエスカレートしていった。


「でも……」


麻里は自問した。なぜこんなことを続けるのか。本当に彼を愛しているから?それともただ単に敗北を受け入れたくないから?答えは出なかった。ただ確かなことは一つ。今夜もあのステージに立たなければならないということだ。


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### 同時刻 - 佐藤舞編

舞はベッドに横たわり、天井を見つめていた。全身が痛み、特に麻里から受けた肘打ちの跡がまだ疼いている。


「あいつ……絶対許さない……」


部屋に入ってきたのは「イリュージョン」のオーナー、高橋誠。30代半ばの長身で洗練されたスーツ姿の男だった。彼は微笑みながら舞の側に腰掛けた。


「お疲れさま、舞。昨日のパフォーマンスは最高だったよ。お客さんも大喜びだった」


舞は無理に笑顔を作る。「ありがとうございます。でも……まだ満足していません」


高橋は興味深そうに眉を上げた。「ほう?それはどうして?」


「麻里を完全に屈服させていません。私にはあの女を徹底的に打ち負かす義務があるんです」


高橋は柔らかく微笑んだ。「まあまあ、焦ることはない。君たちの関係はお客様にとって最高のエンターテインメントだ。お互いを潰し合うまで十分時間をかけて楽しんでもらえばいい」


舞は何か言おうとしたが、高橋の言葉には逆らいようのない力があった。「わかりました。ですが……何か特別なものを用意してもらえませんか?」


高橋はしばらく考え込み、「例えば?」と尋ねた。


「昨夜よりもっと劇的な展開になるような……」


高橋の目が光った。「いいだろう。特別な演出を考えておく。ただし—」彼は意味深に微笑んだ。「あまり過激になりすぎないようにね。これはスポーツなんだから」


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### 夜の幕開け

午後10時。歌舞伎町は再び活気づき始めていた。「イリュージョン」も例外ではなく、早速集まった観客たちが今夜のメインイベントについて興奮気味に話していた。


「今日もあの二人の喧嘩だろ?」「麻里の肘打ちがすごいって聞いたぞ」「いやいや、舞の噛みつきだって凄いらしい」


そんな中、高橋は舞台袖で最後の指示を出していた。「照明は前回よりさらに明るく。音楽もテンポを上げて。観客の期待を最高潮まで高めてくれ」


一方で麻里と舞はそれぞれ準備を進めていた。麻里はスタイリストと一緒に完璧なメイクを施し、傷痕を巧妙に隠していた。舞の方は専属トレーナーによるストレッチで身体を整えていた。


「今日は勝てるかしら?」「絶対に勝ってやる……」二人の心の中で同じ思いが燃え上がっていた。


ついにショー開始の時間。暗転したステージにスポットライトが当てられると同時に、ダンスミュージックが爆音で流れ出した。そして中央には昨夜と同じように麻里と舞が対峙している。


今回は違った。二人の服装が違う。麻里は深い紫色のボディコンに黒いレザー手袋、舞は真紅のスパンコールドレスに銀色のハイヒール。より派手に、より印象的に仕立てられている。


「今夜も素晴らしい闘いを見せてください!」MCの声が響く。「二人の友情が壊れてからどれくらいになりますか?」「約3ヶ月ですわ」「なるほど!ではその怨念を思う存分ぶつけてください!」


会場が歓声に包まれる中、高橋のサインとともにショーが始まった。二人は前回以上に激しくぶつかり合った。

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**To be continued……**

夜は始まったばかり。二人の美女による壮絶な闘いは続く。果たして今夜こそ決着がつくのか?それとも永遠に続く因縁の始まりに過ぎないのか?観衆の期待と欲望の中で、二人の女達は血塗れの決闘を繰り広げる。


# 血染めの舞踏会


DJの針が高速回転する中、二人の女はステージ中央で激突した。麻里は舞の腹部に鋭い一撃を繰り出すが、舞は体をひねってかわし、カウンターで麻里の脇腹を打つ。


「っ……!」

痛みに顔をゆがめながらも麻里は舞の長い金髪を掴み上げる。舞の顔が上向きになる隙に麻里は膝を突き出したが、舞は反射的に両腕を交差させ防御した。


「この程度でやられるか!」

舞は頭を振って髪を離させると、麻里の顔面目掛けて猛烈なヘッドバットを繰り出す。鈍い音とともに双方の額から血が飛び散った。


観客席から歓声が上がる。彼らにとってこれはエンターテイメントなのだ。高橋オーナーも満足そうに微笑んでいる。


血をぬぐいながら麻里が後退する。だが次の瞬間、舞が猛然と襲いかかってきた。麻里の胸倉を掴み、力づくでステージの端まで押しやる。


「落ちろ!」

しかし麻里も黙ってはいない。寸前のところで踏みとどまると、舞の背中に両足をかけたまま反り返るように押し返す。今度は舞が危うく落下しそうになる番だった。


「くそっ……!」

必死でバランスを取ろうとする舞の尻を、麻里は容赦なく平手打ちで叩く。「あぁっ!」甲高い叫び声とともに舞の姿勢が崩れた。


その隙を逃さず麻里は舞の首に腕を回した。スリーパーホールドだ。舞の顔が次第に紅潮していく。

「あぁっ……!」

窒息ぎりぎりのところで舞は意識を取り戻し、必死に麻里の腕を引き剥がそうとする。


そのとき照明が突然消えた。観客席が騒然となる中、ステージ上では二人の影だけがもつれ合う。

「卑怯者!」

闇の中で舞は叫ぶと、麻里のドレスに爪を立てた。ビリッという音とともに麻里の肌が露わになる。


同時に麻里も舞のドレスの裾を掴み上げた。観客席からは歓声と口笛が飛び交う。しかし二人にとっては生き残りをかけた戦いだ。


やがて照明が再点灯すると、二人は互いの首を絞め合うような形で絡み合っていた。呼吸困難に陥った舞が先に膝をつこうとする。だがその寸前で体勢を入れ替え、今度は麻里が下敷きになった。


「降参しろ!」

舞が叫ぶが麻里は首を振る。最後の力を振り絞って舞の足首を掴むと、自らの体重を利用して投げ飛ばした。


舞の体が宙を舞い、ステージに叩きつけられる。しかしすぐに立ち上がり再び襲いかかってくる。

「殺してやる!」

激しい言葉と共に繰り出されたパンチが麻里の顎を捉えた。一瞬視界が揺らぐが、麻里はすぐさま反撃に出た。


今度は二人とも相手のドレスの胸元を掴み合い、引き裂こうと必死になる。観客からは「ストリップショーだ!」という野次が飛ぶ。


「この売女!」

「黙れ!」


互いの髪を引きちぎりながら地面に倒れ込む。もう美しさなどどこにもない。ただ憎しみと怒りだけが支配する空間だった。


舞が馬乗りになり麻里の顔面を何度も殴打する。しかし麻里も反撃のチャンスを狙っていた。隙を見て舞の腰を掴むと、自らの上体を持ち上げて反転させた。


今度は麻里が上になる。しかし勝利を確信したその瞬間、舞が最後の力を振り絞って麻里の腕を噛んだ。「っ!」鋭い痛みに麻里の集中が途切れる。


その隙に舞は麻里の拘束から抜け出した。息も絶え絶えになりながら二人は再び対峙する。


「まだ……終わらないわよ」

血だらけの顔で麻里が言う。「当然よ。今日こそ決着をつけるんだから」

舞も鼻血を拭いながら答える。


これが彼女たちの日常だった。愛憎入り混じる複雑な感情をぶつけ合うために、毎晩このステージに立つ。

観客の歓声を背に受けながら、二人は最後の力を振り絞って再び激しくぶつかり合った。

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# エピローグ:ネオンの下で


結局のところ決着はつかなかった。二人とも体力の限界に達し、意識を失いかけてようやく制止された。


控室に戻ると介護スタッフが待っていたが、二人はお互いの存在を無視するように別々の方向に歩き去った。それぞれの心にはまだ燃え尽きていない炎がある。


夜が明けると、歌舞伎町には新たな一日が始まっていた。しかし彼女たちの戦いは終わらない。今日の敗北を糧にして、また明日の勝利を目指すだけだ。


鏡に映る血まみれの顔を見つめながら麻里は思った。「これで終わりじゃない。必ず……必ず勝ってみせる」

一方、舞も窓越しに見える街並みを見下ろしながら誓った。「絶対に許さない……次こそはあの女を地獄に落とす」


ネオンの下での戦いはまだ始まったばかりだった。二人の女達はこれからも血と汗と涙を流し続けながら、自分自身の価値を証明するために戦い続けることだろう。それが彼女たちの選んだ道だった。


# 一時の平穏と次の予兆


深夜3時、「イリュージョン」の扉が閉まると同時に歌舞伎町の喧騒も少しずつ落ち着きを見せ始めた。しかし桜井麻里と佐藤舞の心の中は未だ嵐の渦中にある。


それぞれの控室では介護スタッフによる応急処置が行われていた。麻里は顔面にできた大きな痣を氷嚢で冷やしながら鏡を睨みつける。「次こそは……」その言葉に込めた決意は並々ならぬものがあった。


一方、舞は背中の引っ掻き傷を消毒されながらもずっと天井を見上げていた。昨夜の屈辱的な記憶がフラッシュバックする。「あんな小娘に負けるなんて……」悔しさが全身を震わせる。


介護スタッフが申し訳なさそうに言った。「申し訳ありません。お二人ともここまで消耗している状態なので、今夜の出演はキャンセルさせていただくようお願いします」


麻里は即座に反論しようとしたが、体がそれを拒否した。立ち上がろうとするだけで激しい眩暈に襲われる。舌打ちしながらソファに沈み込んだ。


舞も同様だった。「今すぐでも出られる」そう言いたい気持ちを堪え、「わかったわ」と素直に応じた。今は体を休めなければならない。わかっていても納得できない気持ちが募る。


介護スタッフが部屋を出て行くと同時に電話が鳴った。高橋からの電話だ。「お疲れ様。今夜はゆっくり休んでくれ。明日の朝イチでミーティングをするからそのつもりでいてくれ」


「承知しました」短く返事をすると電話を切った。麻里は自分の手を見つめた。傷だらけの指先。昨夜の激しい闘いを物語っている。


一方、舞の携帯にも同じ連絡が入っていた。彼女はメッセージを確認すると深い溜息をついた。「あと一日だけ猶予が与えられたということか……」そう考えながらベッドに横たわる。


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# ミーティングの予兆


翌日の朝7時、「イリュージョン」の事務所兼会議室には高橋オーナーを中心に数名の幹部スタッフが集まっていた。もちろん麻里と舞もその場にいる。互いの顔を見るなり火花が散りそうな緊張感が漂う。


「さて皆さん」と高橋が切り出した。「昨夜は素晴らしいパフォーマンスでした。観客の皆さんの評判も非常に良い。しかし一つ問題があります」彼は二人の女性を交互に見た。


「正直言って今のままではマンネリ化してしまう危険がある。取っ組み合いだけでは限界があるし、お客様も新鮮味を求めている。そこで……」高橋は少し間を置いて言った。「ルールを変更することを考えています」


麻里と舞は息を飲んだ。一体どんな変更が加えられるのか。不安と期待が入り混じる。


「具体的には二つの要素を導入したい。一つ目は特殊な環境下での対決だ。例えば水中戦とか逆立ち状態での闘いとか」高橋の説明に麻里が即座に反応した。


「それはリスクが高すぎます。怪我の可能性も増えるし……」


「もちろん安全性には最大限配慮する」高橋は冷静に答えた。「二つ目は道具を使った戦い。ただし凶器類は使わない。例えばマジックペンとか柔らかい素材の棒などだ。これらを使えば視覚的な面白さも増すだろう」


舞が不快そうな表情を浮かべる。「そんな幼稚な遊びみたいなことで盛り上がるわけ?」

「幼稚かどうかはお客様が判断することだ」高橋は柔和な笑みを浮かべた。「それにこれまで通り取っ組み合いの基本スタイルも継続する。


# 下着の舞踏会


地下4階の秘密ステージ。通常のショーとは違い、ここでは観客は透明な壁越しにしか見ることができない。密閉された空間に二人の女の息遣いだけが響く。


照明が落ち、薄暗い中で二人が向かい合った。麻里は黒いブラジャーとショーツ、舞は赤い下着姿。互いに裸同然の格好だが羞恥心よりも闘志の方が勝っている。


「これで本物の対等よ」舞が嘲るように笑う。


「どうせすぐに泣き出すでしょうけどね」麻里も負けずに言い返した。


「始め!」高橋の声が響き渡ると同時に二人は飛びかかった。今夜は通常のフロアではなく特殊マットレスの上。足場が悪い状況で互いに有利を取ろうと必死だ。


舞が先に動いた。麻里の腰に腕を回すと一気に床に押し倒そうとする。だが麻里は柔軟性を活かして逆に舞の背中を床に押さえつけた。


「あぁっ!」


悲鳴を上げる舞に馬乗りになった麻里は容赦なく胸元を掴む。下着がずれて形の良い乳房が露わになる。


「嫌らしい恰好ね」麻里が冷笑すると舞も反撃に出た。下半身を使って麻里の腰を蹴り飛ばす。バランスを崩した麻里が横向きに倒れると今度は舞が覆いかぶさった。


「覚悟しなさい!」鋭い爪が麻里の太ももを引き裂く。「痛っ……!」悲鳴を上げながらも麻里は舞の首筋を噛んだ。


「あぁっ!汚いわよ!」

二人はそのまま揉み合いになる。特殊マットレスの上で二人の下着はさらに乱れていった。麻里のブラジャーが片方の肩紐を外れ、舞のショーツも半分ずれている。


「降参したら?」麻里が挑発すると舞は即座に否定した。「夢にも思わないわ!」その言葉通り舞は麻里の髪を掴んで激しく引っ張った。


「痛い!髪を放しなさい!」麻里は舞の耳たぶを噛みちぎろうとした。「やめろ!」舞が抵抗すると今度は互いの頬を叩き合う喧嘩になった。


「ブス!」

「化け物!」

罵詈雑言が飛び交う中で二人の身体はさらに汚れていった。マットレスの上を転がりながら互いの下着を引きちぎろうとする。麻里の黒いショーツが破れそうになり舞の赤いブラジャーも半分外れた。


「この売女!」

舞が叫びながら麻里の股間に膝蹴りを食らわせようとした。ギリギリで避けた麻里は逆に舞の股間を膝で攻撃する。「あぁっ!」衝撃に舞の動きが一瞬止まる。


その隙を逃さず麻里は再び上を取り返した。今度は両手で舞の首を絞めようとするが窒息技は禁止されている。仕方なく麻里は舞の額を何度も叩きつけた。


「あぅっ!あぁっ!」


悲鳴を上げる舞だが意識を失う寸前で必死に反撃に出た。両足を使って麻里の背中を蹴り上げようとする。しかし特殊マットレスの上でうまくバランスが取れない。


「無駄よ!」麻里が勝ち誇ったように言うと舞の頬を叩いた。「まだまだよ!」舞も負けずに麻里の頬を叩き返す。


二人の顔はすでに腫れ上がっていた。唇から血が滲み出し互いの歯形や爪痕も生々しい。それでも闘いは止まらない。


「こんな姿になっても……」

「まだ負けてない!」

二人の叫びが地下ステージに響き渡る。マットレスの上で二人は踊るように絡み合った。時に激しく叩きつけ合い時に強く抱きしめ合う。その姿はまるで禁断の舞踏会のようだった。


# 決着の見えない闘い


数十分が経過しても勝負は付かない。二人とも体力の限界に近づいていた。マットレスの上には汗と唾液と血液が混ざり合った水たまりができていた。


「降参……すれば……」息も絶え絶えに麻里が言う。しかし舞は首を振った。「誰が……するものですか……」その言葉とは裏腹に舞の目は虚ろになっている。


「じゃあ……もっと苦しめるだけよ!」

麻里は最後の力を振り絞り舞の顔面を自分の胸に押し付けた。呼吸困難に陥りながらも舞は必死に抵抗する。


「うぅっ……苦しい!」

「どう?私の匂いは?」

勝ち誇ったように言う麻里だが実際には自分もかなり消耗していた。もう立つことも難しい。


その時だった。特殊マットレスの表面に突然穴があいた。「えっ?」


驚いた二人は互いに離れようとしたが遅かった。巨大な機械式のアームが現れ二人を同時に捕らえてしまう。


「何これ?」「どういうこと!?」混乱する二人に向かって透明壁の向こうから高橋が笑いかけた。


「ルール違反はダメだと言っただろう?窒息技を使った時点で罰ゲーム決定だ」

「そんな!」「聞いてないわ!」

抗議する二人だったがアームは容赦なく二人を宙吊りにする。しかも股間部分が丸見えの状態で。


「お客様たちにはこの光景も大人気なんだよ」高橋の声が響く。

地下ステージの窓ガラスの向こう側には多くの男性たちが集まってきていた。全員興奮した様子で二人の恥ずかしい姿を見つめている。


「嫌!やめて!」

「見ないで!」

二人は必死に足を閉じようとするが機械式アームがそれを阻む。さらにアームは二人の股間部分を強制的に拡大表示させるスクリーンまで用意していた。


「最低!」舞が叫ぶと麻里も同調した。「こんな悪趣味なショーなんて……!」しかし観客からは歓声と拍手が上がる。


「最高だ!」「もっとやってくれ!」

羞恥心で全身が熱くなる二人。だが同時に悔しさも込み上げてきた。この屈辱を晴らすためにはいつか必ず決着をつけなければいけない。


「覚えてろ……」

「次こそは……」

宙吊りのまま二人は誓い合う。互いへの憎しみをさらに深めながら。

こうして二人の下着姿での闘いは終わった。だが本当の決着はまだ遠い未来のことなのかもしれない。

# 夜の静寂の中で


深夜2時。歌舞伎町の喧騒は一段落し、イリュージョンの照明も徐々に消されていく。だが桜井麻里と佐藤舞の心は未だ燃え盛っていた。


控室に戻った二人は無言で着替えを始めた。お互いの顔を見ることなく作業に集中する。しかしその背中から伝わる空気は張り詰めていた。


麻里はブラジャーのホックを留めながら昨日の出来事を思い返していた。「あそこまで追い詰めたのに……」最後の一撃で勝利を確信したのにあの機械が邪魔をした。


舞は髪を整えながら同じことを考えていた。「あいつが油断してくれれば……」窒息技を使うのは反則だと気づくのが遅すぎた。自分がルールを守らなかったせいだ。


二人の思考は自然と重なっていく。「次こそは完全に仕留めてやる」そう思うことでしか心の平静を保てなかった。


廊下で二人がすれ違う。ほんの一瞬だけ目が合ったがすぐに逸らされる。だがその目線には隠しきれない敵意と欲望が宿っていた。


# 異なる方法での接近


翌日。イリュージョンでは恒例の週末イベント準備が進められていた。店長の高橋は忙しそうに各部署への指示を出している。


「来週の目玉企画はどうする?」

副店長の西村が尋ねると高橋は意味深な笑みを浮かべた。「今週の二人の対決はなかなか良かった。客の反応も上々だ」


「確かに。でもあれ以上はどうすれば?」

「新しい要素を加えてみようと思う。二人だけじゃなくて複数人での闘いとか……」

二人の会話を耳にした麻里と舞はこっそり聞き耳を立てていた。


(複数人……?)麻里は眉をひそめた。もしそんなことが起きたら舞一人だけを標的にできない。他の女性たちとの協力が必要になるかもしれない。しかし今の状況でそれを受け入れられる自信がない。


舞も同じ考えだった。(複数人なんて冗談じゃない。私とあいつの戦いを邪魔しないで)そう思いながらも別の可能性を考え始める。


もし本当に複数人での闘いが始まった場合、それを利用して麻里を孤立させられるのではないか。仲間割れや裏切りの駆け引きを仕掛ければ……


それぞれ異なる考えを巡らせながらも二人の目的は一致していた。いかにすれば最も効果的に相手を追い詰めることができるか。そのためには時には協力も必要なのではないか……


# 偶然の出会い


ある夜。麻里がマンション近くのコンビニで買い物をしていると偶然舞と鉢合わせした。最初はお互いに無視しようとしたが店内には他に客がいない。


「奇遇ね」舞が先に声をかけた。「あなたも夜食を買いに?」

「まあね」麻里は警戒しながらも答えた。「あなたは最近どうしてるの?」

「ぼちぼちよ」舞は棚からチョコレートバーを取りながら言った。「ところで聞いた?店長の新しいアイデア」

「ええ。複数人対決のことでしょう?」

「そうそう。あなたどう思う?」

麻里はしばらく考え込んでから答えた。「正直不安だわ。今のままで十分だし……」

意外な答えに舞は驚いた様子を見せた。「私もよ。他の人たちと一緒になんて想像できないわ」


この会話によって二人は初めて認識を共有した。今まで憎み合っていたはずなのに目的が合致することで奇妙な共感が生まれていた。


レジに進むと店員は二人の間に流れる微妙な空気に気づいたようで少し不思議そうな表情を浮かべていた。


「じゃあこれで」舞が先に会計を済ませる。

「またね」麻里も小さく会釈して店を後にした。


夜風が二人の頬を撫でる中で思いがけない出来事が起こるかもしれないという予感があった。



動画はこちらhttps://x.com/nabuhero


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