それがどうしたの?
「レオンティアさん、ムーンナイトの方たち、その後、『婦人研修』は順調?」
久しぶりに、クルティザンヌ事務所にやってきたレオンティアさんに、アサヒさんが尋ねました。
「その……順調というか……自発的に一日きちんと生活ができるようになりましたが……」
「歯切れが悪いですね、なにか問題でも?」
「実は……」
レオンティアさんが云うには、ムーンナイトの方たち、毎日きちんと生活をして、一日四時間の『婦人研修』を受けているとか……
命令序列もしっかりと守り、仕事もきちんとこなしているらしいのです。
「そういえば、仕事を与えたのよね?どうなの?たしかルバーブによく似た植物を軟化栽培させているのよね」
「採算ベースに乗りそうなので、大規模薬草園を始めているのよね」
この植物、『ムーンナイト・ルバーブ』と名付けられ、主に強壮剤の原料ですが、マレーネさんがこの植物より、ヒトの白血病とがんの治療薬を作ったようなのです。
「『ムーンナイト・ルバーブ』の栽培が問題なの?」
「いえ……『婦人研修』のほうが問題で……」
「何が問題なの?『婦人研修』は完璧でしょうから、インフラでも不都合が?」
「ますます官能的になったというか、愛を求めるというか、恋愛でのいざこざが多発して……生産性が落ちたのです」
「恋愛でのいざこざ?いいではありませんか?二母性生殖のためには必要でしょう?」
「それにたとえ女性婚をしても、ネットワークでは女官になれますしね、カップルがヴィーナス様の伽をしても何ら問題はなしでしょう? 」
「大体『婦人研修』はネットワークにおいて『女性の心得』を教えるものでしょう?」
「貞淑を重んじているので、浮気などはないはず」
「したがって相手が決まったら恋愛ゲームは終わりでしょう?どこに生産性が落ちるの?若い時はそれぐらい許容されるべきでしょう」
「その……おっしゃる通りですが、婚姻後もますます官能的になって……カップルでヴィーナス様との夜伽を目指すためらしいのです……」
どうやら熱心にヴィーナス様にご奉仕?誘惑する手練手管を練っているとかで、あっという間に魅力的から蠱惑的に……
とても危険な色香を漂わせるようになったのです……
服装などもどんどん布地が少なくなり、足などもむき出し?大事なところが見えそうなとのことです。
「ムーンナイト人は不死ではありませんが不老ですから、ヒトの女性の32・3歳で成長が止まり、あとは死ぬまで老化しないようです」
ムーンナイトの方々は、幼少期を乗り越えたら大体55歳あたりが寿命のようです。
まあ、虫に食われなければの話ですが。
「それのどこが問題なの?ネットワークの女ならヴィーナス様のお手がつくことなど、名誉以外の何物でもないわよ」
「カップルでヴィーナス様に可愛がって頂くのに、貞淑は問題ないでしょう?」
「その努力のための生産性の低下なら、褒められても叱られることはないはず」
「目をつむりなさいな、レオンティアさん」
「それにね、フルーツガール系の方々はグリセットさんに採用することになっているのよ、まあ希望者に対してですけどね」
「フルーツガール系以外の方々でも、希望するならグリセットさんに採用することになっているのよ」
「フルーツガール系以外の方々は、今までのグリセットさんよりは長く勤めていただくことになりますので、グリセットさんの雇用期間が過ぎて、雇用延長という方も出てくるわよね」
今までの惑星フルーツガールの方は、食料などから半年の勤務が限度だったのですが、今回のムーンナイトの方々はもっと長期の勤務が可能となります。
そこでつぎのようになったのです。
グリセットさんの半年勤務が過ぎて雇用延長となったら、『キャセロール』と呼ばれるようになり30歳で定年、それまでに管理職のロレットさんに昇格すれば別ですが……
一年ごとに基本給与に年功加算がされることになりますし、定年退職した方は当然ですが退職金が支払われます。
ネットワークの内勤女性事務員は下から順に『グリセット』、『ロレット』、『デミ・モンド』、『クルティザンヌ』ですが、この時、『グリセット』さんの雇用延長の方は『キャセロール』と呼ばれるようになり、年功章として給与に加算されることになったのです。
グリセットさん、または『キャセロール』さんを管理するのはロレットさん、その上はデミ・モンドさん、そして最上位がクルティザンヌさんですね。
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