第12話 ケルン皇国滅亡と各国の思惑
サティナ魔王国に戻ると、女王に謁見し、報告するのだが……
(サティナ魔王国女王 クイント・サティナ ダークエルフ)
セツナ、お前、何してる?!
セツナは素っ裸で謁見の間に現れたのだ。
(セツナ・レズマンコ)
女王様、この度はサティナ魔王国国民として迎え入れていただき、誠にありがたき幸せにございます。
お与えくださった身分に相応しい姿で参りました。
謁見の間がザワつく。
(クイント・サティナ女王)
いや、その、あれは冗談だ、戯れだけに気にするな、ちょっと悪ふざけが過ぎた、すまぬ(焦)
(セツナ)
えぇぇぇっ!!!(涙目)
(サティナ魔王国近衛騎士団長 ガルマン・ゲイン 熊獣人)
なんで泣きそうになるんだよ!
(セツナ)
だって、楽しそうだったし……(半泣)
(サティナ魔王国筆頭魔道士 ナディア・サティナ ダークエルフ)
分かったから、淫乱ド変態(ため息)
(セツナ)
じゃあ、せめて淫紋……
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
あゝ!!分かった!刻んでやるから、まずその姿、なんとかしようか(ため息)
メイド達により、相応の服装を着せられるセツナ。
(クイント・サティナ女王)
でだ、セツナ、我は其方を重用する。
宰相の地位が空いておる、其方を王族として迎え、宰相の地位に付ける。
(セツナ)
えぇぇぇっ!!!(嫌顔)
その反応に周りがどん引きする。
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
言うと思った(ため息)
(セツナ)
政治には関わりたくないし、自由が良い。
(クイント・サティナ女王)
なら、特別相談役としよう。
我からの相談が無い限り、自由にして良い。
身分は王族だ、それに相応しい財産と収入をやろう。
学校が建てたいんだろ、それも許可する。
貧民を救ってやってくれ。
(セツナ)
はい。
あのう……
(クイント・サティナ女王)
あゝ、分かった、あの件は身分を隠してやってやる、ほんと淫乱ド変態だな(ため息)
(セツナ)
やったぁ〜!
(クイント・サティナ女王)
まぁ、そんな暇は無いと思うがな。
あちこちから慰問の嘆願が来ておる、それをこなした上での話だ。
(セツナ)
はーい♡
それから忙しい日々が始まった。
まず取り掛かったのは、上下水道の完備。
王都から取り掛かり、地方へ行くのだが。
(村民 熊獣人①)
おい、これ、飲める水がこんなに簡単に手に入るぞ!
(村民 熊獣人②)
お風呂もこんな簡単に、しかもお湯だよ!
(村民 熊獣人③)
台所も水が出るし、薪さえあれば、簡単に火が使える!
(セツナ)
この水は全部飲めます、それと、井戸水も改善しました。
(村民 熊獣人②)
本当?!
(セツナ)
後、トイレですが、こうやって流せます。
いちいち捨てに行く必要はありません。
台所や手洗い場、お風呂もそうですから。
(村民 熊獣人①)
凄ぇ〜な!
(セツナ)
座る場所、便座というんですが、これはこの赤い魔石を触ると温かくなります。
冬とか好みで調節してください。
(村民 熊獣人③)
は?
(村民 熊獣人①)
こんなモン、お貴族でも持って無ぇ〜んじゃねぇ〜か?
(セツナ)
あはは、皆んなに付けますから。
(村長 熊獣人)
あの建物は?
(セツナ)
大衆浴場です。
たまには大きなお風呂でくつろいでください。
どの設備にも付いていますが、緑の魔石を触ると清掃魔法が作動します、使った後は綺麗にしてね。
(村長 熊獣人)
まさに至れり尽くせり!
(セツナ)
次、道行きます!
そう言うと、道を整備した。
荒れていた道が、まるで王都の道のようになった。
(村民 熊獣人①)
凄ぇ〜……
(セツナ)
こんな感じかな?
使ってみて、不満が出たら言って、改善できるならするから。
無理なら諦めてね。
(村長 熊獣人)
充分過ぎます、ありがとうございました。
こんな情報は早い、どこもセツナが来るのを心待ちにしていた。
自重なしでガンガンやっていくセツナ。
街道整備も同時にやる為、村や街の行き来がしやすく早い。
また、河川工事も必要な街や村はやっていく。
ちょっとした雨でも氾濫していた川が全く氾濫しない。
それにも村民、街民あげて感謝した。
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
恐ろしいほどの発展ぶりだな……
(サティナ魔王国近衛騎士団副団長 ギルナ・ゲオルグ 熊獣人)
これが異世界の知識と技術か……
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
もう言葉がない……
これに焦ったのはイスティニア王国。
あまりのサティナ魔王国の発展ぶりに、これではヤバいと。
商人が行き来するだけに情報は入ってくる。
そうなると不穏な動きを見せるのがケルン皇国。
宗教お決まりの汚い手。
"女神様が降臨なされた、これは我が教会に来ていただかねば"と。
しかし、ここで足を引っ張ったのが、それまでは"勇者召喚"で召喚された異世界人と言っていた事だ。
この矛盾を説明しなくてはならない。
そこで取った手が、"召喚されたのは、勇者じゃなく女神様だ。その証拠に先の戦争を瞬く間に集結させた。これこそが女神の力"と。
都合が良いな、おい。
それがセツナの耳に入った。
(セツナ)
ちょっと物理的に地図上から消してくる。
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
待て待て待て待て!落ち着け、そんな言いがかりでお前をケルン皇国に行かせたりしないから。
(セツナ)
イくのはアクメの世界よね♡(照)
(ギルナ・ゲオルグ近衛騎士団副団長)
あゝ、そうだな、ド変態(ため息)
(セツナ)
そこなら戻って来なくても……(照)
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
帰って来いよ、淫乱(ため息)
(セツナ)
だってほら、淫紋が2ヶ所に(照)
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
サキュバス特製だ、良かったな(ため息)
なんだかんだで平常運転になったセツナにホッとするガルマン・ゲイン近衛騎士団長達。
ここで困ったのが、ケルン皇国。
悪魔に囚われし女神の救出を掲げ、挙兵したが、イスティニア王国が応じない。
破門をちらつかせても、どこ吹く風で相手にしない。
そりゃそうだ、次は自分達だ、待ち焦がれているセツナを怒らせるバカは居ない。
困ったのがケルン皇国、元々信者の国、軍は弱いというか少ない。
ケルン教の名の元に他力本願で攻守を考えていた為だ。
そこへとんでもない情報が入った。
"女神様はケルン皇国を嫌っている。"
"戦時中の司教達の行いに激怒している。"
"ケルン皇国を地図上から消そうとしたが、魔族が止めた。"
と。
これにはいくらなんでもブチ切れた司教達。
あくまで司教達だけ。
私腹を肥やしていた後ろめたさがある。
同じく、信者もブチ切れた。
司教達に。
戦時中に高額なお布施を要求されたり、高価なわけの分からない物を買わされたんだ。
それを女神様は知っていたと。
我々は、ケルン皇国は女神様に見捨てられた、司教達のせいでと。
挙兵しているんだ、軍は組織されていた、武器もある。
"女神様の御心のままに、我らに救いを"
を掲げ、クーデターが起こった。
"悪徳司教を追放せよ、大司教を殺せ"
と。
あっと言う間に教会を取り囲み、粛正が始まった。
大司教達は真っ青になった。
しかし、大教会は皇都中央。
挙兵したのも皇都中央。
各地は領軍が取り囲み、教会は片っ端から潰され、司教達は処刑されていく。
その状況、まさに"魔女狩り"。
早かった、なんと5日でクーデターは終了した。
そしてケルン皇国から教会は無くなった。
大司教以下幹部は公開処刑された。
この一報は、サティナ魔王国にもイスティニア王国にも即伝わった。
(クイント・サティナ女王)
・・・は?
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
たった5日で国が崩壊……
(ギルナ・ゲオルグ近衛騎士団副団長)
皇国から教会が消えた?
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
大司教以下教会関係者は全員処刑された?
(セツナ)
なんで?
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
アンタがとことん嫌ったからだよ(ため息)
(セツナ)
えぇぇぇっ!!!(驚愕)
(ギルナ・ゲオルグ近衛騎士団副団長)
いや、驚くなよ。
我が国の発展は知れ渡っている。
訳の分からん因縁を付けて挙兵したは良いが、相手にされなかった。
そうなれば、人族唯一のケルン教のはずが、なんでそうなる?神をも恐れぬ暴挙かと。
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
そこに女神と持ち上げたアンタがとことん嫌っている。
戦時中の司教達の私利私欲がバレてブチ切れている。
だから、女神様から我らは見捨てられたと話が飛躍する。
信者の国だけに信仰は厚い、女神様の御心のままにと司教達を排除にかかるのは当然だわな。
信仰の厚さから、女神の許しを乞おうと徹底的に排除するに決まってるだろ。
その頃、イスティニア王国では……
(イスティニア王国国王 サドム・イスティニア)
何!ケルン皇国がクーデターにより、5日で滅亡したと……
(イスティニア王国宰相 グレン・ケインズ:男)
どうも、勇者様を女神様と担ぎ上げたのが原因かと。
それにより、勇者様が嫌っている原因が、司教達の私利私欲。
私の名前を利用したとブチ切れていると噂が立ち、女神様に見捨てられたと信者達が発狂したと。
(イスティニア王国近衛騎士団副団長 カリン・テイム:女)
それで、教会関係者は根絶やしになり、教会も破壊された?
(イスティニア王国筆頭魔道士 マキナ・タイラント:女)
信仰が厚いだけに、誰も不思議に思わず、止める者も居なかったと。
(サドム・イスティニア国王)
どうなるんだ?ケルン……いや、旧ケルン皇国は?
(ガルグ・ケイエン近衛騎士団長)
誰が統治するんだ?下手に手を上げたら自殺行為だぞ?
(カリン・テイム近衛騎士副団長)
・・・勇者様?
(グレン・ケインズ宰相)
いや、政治には関わりたくない、自由で居たいと言っている。
奴らからしたら、統治を無理強いしたら、それこそ女神様の御心に反すると、下手したらまたクーデターだ。
(マキナ・タイラント筆頭魔道士)
領地には領主がいる、領主達による共同統治?
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
いや、派閥がある。
もしかすると、派閥による統治。
分裂し、小国がいくつも出来るのでは?
(カリン・テイム近衛騎士副団長)
今は"女神様"の名の元に団結しているが、落ち着くと派閥同士の争いが起こるからなぁ……
(マキナ・タイラント筆頭魔道士)
それを嫌って女神様がブチ切れたと噂が立てば、再びクーデター。
なら、最初から派閥単位で建国すれば良いとなるわな……
(サドム・イスティニア国王)
我が国とすれば、海産物が手に入れば、国交断絶でも良いが……
そうなると農産物が余るか……
(ガルグ・ケイエン近衛騎士団長)
この際、農産物を減反し、海産物確保に漁師を育成すれば?
(カリン・テイム近衛騎士副団長)
自給自足が出来れば、輸入の必要もなくなる。
(グレン・ケインズ宰相)
しかし、問題が……サティナ魔王国からの輸入を止めると……
(マキナ・タイラント筆頭魔道士)
勇者様がブチ切れたら、ケルン皇国の二の舞……
(ガルグ・ケイエン近衛騎士団長)
かなりの上質な高価な品だけに、打撃はデカいか……
(グレン・ケインズ宰相)
では、上質な高級品は輸入し、安価な民の為の分を自足するという事で、発注すれば?
下手な品種改良などせず、漁獲量だけを確保する。
それならは、高級品は今まで通り輸入する事になり、怒りを買わなくて済むかと。
(ガルグ・ケイエン近衛騎士団長)
悔しいな……
(サドム・イスティニア国王)
仕方あるまい。
我が国は出遅れた、それがここまで国益に影響した。
バカ息子よ、取り返しのつかない事をしてくれたものだ。
死してなお、償いきれぬとはな。
今更遅いがな。
(グレン・ケインズ宰相)
ならば、早速使者を送り、受注いたしましょう。
(サドム・イスティニア国王)
不要だ、私が直接行き、魔王と交渉しよう。
どれだけ受注しているか分からないのだ。
交渉してこちらの事を割り込ませてもらうしか無い。
待っていれば、手遅れになる。
情勢が落ち着けば、旧ケルン皇国どもも動き出すだろう、早く手を打たなければ。
という事で、サティナ魔王国に使者を送り、国王自ら発注について交渉したいと伝えられた。
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
なんだと?人族の国の王、自ら頭を下げてきただと?
(ギルナ・ゲオルグ近衛騎士団副団長)
どういう事?あれだけ嫌っていたくせに?
(クイント・サティナ女王)
これによると、相当焦っておるな。
我が国からの高級品の輸入は止めない、手を出さない。
情勢不安な旧ケルン皇国とは国交を断絶したいが、海産物等の確保に困ったらしい。
そこでテコ入れをしたいので、我が国の受注の間に挟ませてもらえないか?という事だな。
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
都合の良い話だ。
しかし、我が国の発展はひと段落ついたと言えばついたな。
(ギルナ・ゲオルグ近衛騎士団副団長)
今は商人と新しい娯楽や商品について、販売戦略を立てているからな。
(クイント・サティナ女王)
これを飲んでやると、返しきれない恩をイスティニア王国に売る事になるな。
どうせ、視察も兼ねるだろう。
我が国レベルまで発展させてほしいと縋りつくのは目に見えている。
(ガルマン・ゲイン近衛騎士団長)
飲むのですか?
(クイント・サティナ女王)
先の挙兵に応じなかったのは褒めてやろう。
セツナも悪い気はしてないんだろ?
飲んでやるのが大人の対応とは思わぬか?(ニヤッ)
(ナディア・サティナ筆頭魔道士)
たしかに、下手に突っぱねるのも大人気ない。
かなりの恩を売る事になるだけに、悪い話ではないですね。
という事で、セツナを呼び出したクイント・サティナだった。
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