失敗ハ成功のモト

萌パーカー

失敗

パリンッ!

物が割れた音がした。

これは、皿の割れた音…そうか。

またやってしまったのか

と、思いながら叱られている。

「お前はなんでこうなんだ…いつもいつもこうじゃないか!」

ああ、分かっている。俺は、いつもこうだ。

前の仕事でもそう、一回はどこかでやらかす。

分かっている、分かっているんだ。

もう、理解はできている。

安全に仕事をこなそうとしている。

…それなのに、まったく身につかず、

結局はこのざま。

…本当に、何がしたいのだろうか。

自分が虚しくは思わない。けど、

逆に笑えてきたな。

「聞いてんのか、新人」

分かったから。

もう、お前よりも自分が一番分かってる。

だから、もう言わないでくれ。

「だからお前は――」

聞きたくない。

自分の耳を引きちぎりたい。

もう、許してくれ、こんなにも反省しているんだ。だからお願いだよ、許してくれ。

「すみません。」

ああ、やってしまった。

何も反抗もできないまま、謝った。

反省はしている。

けど、流石にめんどくさいだろ。

なのに…なんで俺は、こいつになんか――

仕方ないのか?

…疲れたな。

さっさと、クビにしてくれ。

早く楽に立ち去りたいんだ。


ああ、やっと終わった。

これで、自由な気がする。

さあ、早く帰ろう。

我が家に。

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失敗ハ成功のモト 萌パーカー @weed_93

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