日記未満
落葉沙夢
序文 これを書くにあたって
日記とは自己を記録する行為であって、その主目的は個人的な回顧録なのだと思う。
その観点から見れば、これは確かにある意味で日記ではある。
けれど、それを作品という体で公開するのであれば日記ではないのではないか?
とは、まぁなんともこすり倒されたような話ではある。
個人ブログにとどまらず、あらゆるSNSがいまや日記のようなものになっている現代で態々そんな定義をする必要もない。
例えば写真が今よりも遙かに使いにくかった時代。
1枚を撮ることさえ困難な時代には、それ自体が一つのイベントであり貴重な記録だった。
それから少しばかり写真が容易なものになった時代、今の若者が知るよしもない使い捨てカメラやフィルムカメラの時代、それらは日々の記録というよりは旅行などのイベントを写すものでありその特別な日を思い出す為のものだった。
現代、写真、動画はより直接的に日々を切り抜き、態々日記など付けなくてもあなたのスマホの写真フォルダを見れば日付毎に撮った時間や場所まで正確に記録されて、あなたの日常を非日常を残している。
日記はもはや文字に頼る必要すらなくなった、と言えるのかもしれない。
とはいえ、私たちは目に映らないものこそを残しておきたいと考える生き物であることもまた確かなのだ。
堅い話になっているけれど、これがつまり私がこの作品を書こうと思った理由になる。
写真フォルダに写らない、1年経たずとも忘れてしまいそうな、私の中に去来するささやかな感情を残しておきたい。
そういう意味ではまさしくこれは個人的な回顧録だと思う。
ただ、そんな日が毎日あるわけもなく必然これは断片的な記録になる。
だから、これは日記未満なのだ。
と、ここでまとめていいのだけれど、ついでに私がどんな人間か簡単にここに残しておくよ。
私の筆名は落葉沙夢、一応新人賞を獲って本を出版した過去があるから小説家を名乗ってもいいのかもしれないけれど現状そこまで書いていないし認知もされていないからただの文字書き。
現在は地方の児童館の館長をしている。
とはいえ、仕事の話は守秘義務とか個人情報の観点からここではほぼ書けないので悪しからず。
生まれ育った町に未だに住んでいて、小学校とか高校からの友人とよく遊んでいる。
趣味は執筆とゲーム。
ゲームにはビデオゲームにボードゲーム、トレーディングカードゲームも含まれる。
あと散歩。
そんな感じの人間。
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