こ、この歌は一体……!?
本作におさめられた歌を詠み、最初に胸のうちから飛び出してきたのは、戸惑いの声でした。
冷静さを取り戻し、もう一度詠んでみますと、やはり戸惑いは隠しきれません。
しかしながら、何か危ういものが潜んでいる……そんな心の状態を見出しました。
危うさとは、歌の景色の中にはありません。
歌われている世界は、どっしりとその存在を明らかにしています。
では、一体何が、私の心をざわつかせるのか……!?
比較的に理解できたと思われる5の歌を手がかりに、あれこれと思い悩んでいると、あることが見えてきました。
「一体、何の心が歌を詠んでいるのか?」
私は無意識のうちに、短歌というものは人の心を表すものだ、と考えていました。
しかし、本作の歌は、人の心に関するものなのか……そもそも、隠された「主語」は人なのか!?
あの危うい状態というのは、私の中にある固定観念が揺さぶられた、という体感ではなかったか……!
そんな疑問を抱きながら、5の歌をもう一度詠んでみると、自分の中の何かが変わっていくような気分に浸ることができました。
「人間である」とは別様に生きてみる。
そんな感想が、ふと頭に浮かんだ次第です。
間違った解釈かもしれません。
しかし、本作と「出会えた」こと、それだけでも素晴らしい体験でした!