第2話 お前を幸せにしてみせるぞ!
「赤ちゃんの才能!?」
赤ちゃんの才能とはこれいかに。
「喜怒哀楽の感情が発露すると、言葉を発する程度の赤ちゃんになってしまうのです。赤ちゃん同様のものの見方ができることで、国家の立て直しにもかかわったお方です。あとあなた一人が幸福になれば、みなが幸福な社会ができあがるんです!ぜひ、相談役として協力してください!」
え。なにそれ。ただでさえ子供嫌いなのに、25歳の赤ちゃんなんて絶対嫌なんだが。
なんか言い訳して断らないと!
「私は生きるがしんどい人間でございます。それに私は、子供嫌いでございます!どうかご慈悲を…!」
「何を言うか。王子は子供ではあらぬ。何度も言わせるな。赤ちゃんにもなれる稀有な存在というだけで、25歳の成人だ。」
この国の成人は、18歳だから、当然成人していると思うのだが、人がいる中で大声で泣きわめく存在を、成人しているというのはさすがに馬鹿げている。
私だったら恥ずかしくて死にそうだ。
「どうちて、いっしょにいてくれないのー。ぼくとあそぼうよー。」
ひえ。これがリアル赤ちゃん言葉か。王子は誰がどう見ても偉丈夫だ。それなのに、今は鼻水まで垂らしながら、手足をバタバタさせて泣いている。泣き声は苦手だし、早く泣き止んでもらわねば。
「正直私の手には負えません。負えませんが、一週間だけなら、相談役として、おそばにいましょう。」
押しに弱い私、とうとう折れる。
そのとたん王子の泣き声はピタリと止んだ。そして、満面の笑顔を浮かべた。
「お前を幸せにしてみせるぞ!」
まあ、私の死にたがりは、そうそう治らないと思うが。
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