ガチ凡人なのに勇者パーティに混ざってるけど質問ある?
@syoremi
第1話 僕は勇者フェチ
加護無し・能無し・スキル無し。
魔法も剣も微妙でさ。雑用二流で、命のストックもたぶん底。
毎回毎回迷惑かけて、毎度毎度死にかけて。
それでも、俺は“勇者パーティ”にいる。
なぜかって?──
勇者がかっこよすぎるからだよ!!!
凄すぎ。尊敬してる。憧れ。フェチと言われても否定はできない。
これは、ガチ凡人が“最強の背中”に魅せられて、
命を削ってでも隣を歩こうとする、無謀で愛おしい冒険譚。
「ケイル、大丈夫?荷物、重くない?」
振り返った勇者アリシアが、まるで陽の光そのものみたいな笑顔で僕にそう言った。
「あ、うん。大丈夫、大丈夫。慣れてるし」
僕は笑って答えたけど、その背中の荷袋はすでに肩に食い込んでて、足は棒のようだった。
彼女はその気になれば、僕の10倍の荷物を片手で持ち上げられる。女神の加護を受けた選ばれし勇者。それが彼女、アリシア。
いや、ほんと、すごいんだ。
魔物の大群が襲ってきたときも、彼女が剣を振るえば一閃で空が割れる。
雷鳴のような叫びとともに、地平線ごと魔物が吹き飛ぶ。
それらを初めて見た時、芸術ってこういう事を言うんだなって思ったね!
魔法の使い手である賢者セラも同じくらい凄まじくて、ひと振りの杖から放たれる氷の槍は山を貫通する。
その迫力と美しさときたら。もはや例えようがない!
で、僕はというと。
せっせと荷物を運び、テントを張り、料理の準備をして、夜の見張りをして……。
要するに、雑用係だ。誰でもできる。僕じゃなくても。むしろ、もっと器用な人なら、もっと役に立てるかもしれない。
「でも、君がいてくれてよかった」
キャンプの火を囲んで、アリシアがまた、そんなことを言ってくれる。
笑顔で。
何の裏もなく。
「君がいると、なんか安心するんだよね」
そんな風に言われるたびに、胸の奥がじわってする。
嬉しい。でも、その何倍も、申し訳ない。
僕には彼女の隣に立つ資格なんてない。
それでも、明日も僕は、荷袋を背負って彼女の背中を追いかける。
なぜって?
だって、勇者ってほんとに――すごいから!
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