第2話 ここは天国?

 ばちんっ。


 突然、頬に平手打ちを食らった痛みで目を開けると、目の前には、羽根を生やした白装束の美女(?)が微笑んでいた。


天使?

「あ、やっと気が付きました?」


 頭の上には、金の輪っかが見える。


天使?

「突然ですが、あなたは死にました。

 通常であれば、魂の転生を行い、新たな生を開始することとなりますが、

 あなたの場合、死に方が本来の運命と異なるため、特例として人生の〝やり直し〟を選択することができます」


皆野 真呑奈

「え? 私、死んだんですか?」


天使?

「なので、もう一度人生をやり直すか、それとも新しい人生を一から始めるか、選んでください」


皆野 真呑奈

「は、あの……話の展開が早過ぎてついていけないんですが……」


天使?

「だーかーら、あなたは死んだって言ってるじゃないですか。

 頭の回転が悪い人ですねぇ」


皆野 真呑奈

「いやいやいや、誰だって突然そんなこと言われたら動転しますよ!

 簡単に納得できるわけないじゃないですか!」


天使?

「えー、そんなこと言われても、納得頂かないとこちらも困るんですよ。

 あとも詰まってるし」


皆野 真呑奈

「はぁ」


天使?

「うーん……それじゃあ、あなたの死体、見ます?

 車に跳ね飛ばされて、ぐっちゃぐちゃの血みどろ状態ですけど。

 免疫のない方には、あまりお勧めしませんねぇ」


皆野 真呑奈

「いえ、結構です」


天使?

「あ、そ。じゃあ、この書類にサインしてください。

 人生をやり直すか? それとも、新たなスタートを切るか?」


皆野 真呑奈

「あの、本当に人生をやり直せるんですか?」


天使?

「はい、特例ですけどね~」


皆野 真呑奈

「それじゃあ……私、高校生からやり直します!」


天使?

「え、高校? またずいぶん時を遡りますね~何か理由でも?」


皆野 真呑奈

「あの頃が私の人生で最高のモテ期だったんです!

 もし、あの時、私が誰かと付き合っていたら……今の人生きっと変わってたと思うんです!」


天使

「ふむふむ。人生の転換期ってわけですね。本当は、あまり時を遡り過ぎると上から怒られちゃうんですが……」


天使?

「まぁいいでしょう。あなたの人生履歴を見ると、なんだか可哀想だし。これ以上、ここにいられても面倒だし」


皆野 真呑奈

「え」


天使?

「それでは、これで契約は交わされました。死と再生の神の名のもとに、あなたのこれからの人生がより良きものとなりますよう」


 次の瞬間、再び私の意識は白濁した。

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