第2話 投稿impossible


「ここどこだろう」




あんなこと息巻いといて普通に道に迷ってしまった。


まぁなんとなくで行けるだろうという軽々しい考えで行ったのがダメだった。


同じ道を何度も歩き続けたり、途中で猫を見つけて追いかけたりしたのも原因だろうけど。


まぁ仕方ない。ここは文明の利器に頼るのが一番だ。




「テッテレー『スマートフォン』!」




僕は割と機械音痴だからあんまり使ってなかったけどやっぱりスマホって便利だしな。


しかし僕はあまりスマホに頼るということはしたくない。


なんだかスマホに頼りすぎると人間としてダメになってしまうのではないかと思うからだ。スマホで得る情報と人から得る情報は結構違うんだから。まぁ人から得る情報は誤ってることも多いけど。


とりあえず僕はスマホで道を調べるために電源を入れる。


だが、なぜだろう。電源ボタンを押しても押しても画面が反応しない。




「まさか………」




その時、僕に電流走る。


思い出したのは、昨日一応充電しておこうと充電ケーブルをスマホにさしといた時の記憶である。


よくよく思い出すとちゃんと奥までさせてなかったわ。


死ねクソッ!


あーどうしよう。学校からの距離は割と離れてるからここら辺の人は行き方なんて知らないだろうし…。


これ終わったやつかもな。


僕があきらめかけていると、僕の首元から低い声が響いた。




「主よ、あきらめてはいけません。どうしようもないなら『剛翼』を使いますか?」




そういや言ってなかったけど、あの時にもらったマフラーは喋れるみたい。名前はカゲロウ。


貰ったはいいもののこんなマフラーでどうやって敵倒すん?ってなっていろいろと試していたところ、急にマフラーが蠢きだしたのだ。話を聞いてみると割といいやつだったので友達になった。


カゲロウは僕のことを主と呼ぶ。別に友達だから塁でもいいのに。


そしてこいつが言ってる『剛翼』とはこいつの異能の一部である。


カゲロウの異能は『模倣』。構造などを理解すると自分の霊力を使って何でも作り出せる。主に武器。


だからこいつの言う『剛翼』はなんか大きい翼みたいなもん。漢字で分かれ。




「いや、こんな朝っぱらから飛ぶのは目立つからやめとく。何とかして道を探そう」




最悪交番に行けばどうにかなるだろう。でも、やだなー。高校生にもなって道に迷いましたって言うの恥ずかしいし。あくまでこれは最終手段だ。他にも手があったら検討しよう。


まぁまだ幸いにも時間はある。たしか入学式は7:45からだから…えっと………。


僕は体中のポケットをまさぐる。しかし見つからない。




「クソ!!時計も忘れた!」




なんという失態。




「主よ!あれ!」




カゲロウがマフラーの一部を指のように変化させある一点を指す。


その方向を見てみると少し先の方に僕の通う桜ヶ丘高校の制服を着た女子生徒がいた。




「おお、でかしたぞカゲロウ!」




これで道を聞ける。いやーやはり僕は運がいいな。


しかしその女子生徒は一人でもなくもう一人誰かと一緒のようだ。保護者かな?


もう一人の方は少し身長が高めでガタイ的に男の人だろうか。黒いパーカーのフードを深々とかぶっている。


そしてその女子生徒はフードの人と家に入っていった。




「あれ、なんで入ってったんだ?」




少し急ぎ足で向かう。たしかあの場所は………。




「廃館ですね………」




ちょっと前にランニング中ここら辺を通ったことがある。その時に少し目に残った場所。それがこの廃館だ。割と大きめの館なのにボロボロで窓ガラスもほとんど割れていて草木も生い茂っておりなんだか少し不気味だ。




「主よ、この館…モノノケの気配がします」




え、嘘。この前通ったときは特に反応なかったのに…。


カゲロウは霊力の探知が得意でモノノケの気配ができる。その範囲はまぁまぁ広い。


でもこの前までは無かったということは最近出てきたモノノケなのかな。


うーん、でもなぁ………正直めんどくさいし怖いから入りたくないけど…行かないと道聞けないし…。




「仕方ない。入るか」




「しかし主よ、この館の中の気配は一つだけではありません。強くはないですが数十体はいます」




「でも入るしかないでしょ」




重い足取りで扉を開き中に入る。


あ、ドアノブ取れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る