第2話 影を追って
冒険者ギルドの掲示板へ向かうため、タクマはランデルと共に狭い路地を抜ける。ギルドの掲示板には、依頼状が無数に貼り付けられ、どれもが地域の小さな事件や探索の依頼を記している。最近特に目立つのは、町外れで行方不明になった住民たちや、何か異常な現象に関する依頼状であった。
掲示板の前に立ち止まったタクマは、アナログな紙に記された案内文を、丁寧に読み込む。そこには、数日前に発生した、夜な夜な町の外れで子どもたちが忽然と消えた事件の記述があった。その事件は、普段の平穏を突如として破壊するもので、冒険者としても興味深いが、同時に不安を掻き立てる内容であった。
「何が起きているんだ・・・」
タクマは、ささやかな疑問を心に抱えながらも、これまでの経験に基づいた実践的な判断で、自らの目的を再確認する。ランデルは、掲示板の上に散らばる依頼状の中で、特に一枚の紙に目を留める。字はかすれながらも、切実な呼びかけが記されており、「探索」や「救出」といった言葉が並んでいた。
「俺たちも依頼を受けるか」と、ランデルは低い声で呟く。その言葉に、タクマは静かにうなずきながら、ふたりでギルドへ書類を届ける準備を始める。
ギルド内は、普段の賑やかさとは対照的に、最近の依頼件数の増加と、行方不明者の報告に怯える雰囲気が漂っていた。職業仲間たちは真剣な面持ちで各依頼状に目を通し、状況を見極めようとしていた。タクマは、自分もいつかそうした事件の現場に足を運び、確実な真実を見つけ出す使命があることを改めて感じた。
「俺たちの力で、何かを変えてみせる―」
心に固い決意を抱き、二人はギルドの奥へと歩みを進める。その足取りは、単なる依頼状への対応としてではなく、町の安全と自分たちの成長をも左右する重要な一歩であると感じさせるものであった。
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