第11話 警護じゃ足りない

マロンには言えないけど,,,,僕、たぶん、石川先輩のこと,,,,


恋って、難しい。 ドキドキして、会いたくなって、知りたくなって、もっと一緒にいたいと思う。 でも、何もできない。


だから、せめて警護という言い訳で、そばにいさせてほしい。

そうでもないと、やってられない。


次の日、ペアは僕と先輩に決まった。

男子たちの目が怖い。


「なにアイツ、めぐむとどういう関係?」

「なんであんな5年の坊主に,,,,。」

「めぐむはなんであんな奴を選んだんだよ。」

ああああ、すいません,,,,,,,,,,,,。


それに気づいためぐむ先輩は、人差し指を唇の前に。そして皆、黙り込む。た、助かったぁ,,,,。


「ありがとう、先輩」

「ん-ん。どうってことないよ。それよりさあ。そっちが敬語を使ってると中あんまり良く見えないじゃない?怪しまれちゃうから、敬語使わないでいいんだよ。」

ええっっ!?!?うそーー。いきなりだなあ、ううん仕方がない。

警護のためなんだから。ふーーーー。


「,,,,じゃあ、めぐむ、でいい?」


放課後の廊下。 誰もいない窓際で、明久斗は思い切ってそう言った。 敬語をやめる。それは、ただの言葉遣いの変化じゃない。 心の距離を、ぐっと縮める魔法のようなものだった。


めぐむ先輩は、ふわっと笑った。

「うん。,,,,明久斗、って呼んでもいい?」

「えっ、あ、うん。もちろん,,,,!」


心臓が、バスケの試合よりも速く跳ねる。 名前を呼ばれるだけで、こんなに嬉しいなんて。 それだけで、守りたいって気持ちが、もっと強くなる。


「じゃあ、明久斗。今日は一緒に帰ろう?」

「えっ,,,,い、いいの?」

「ふふっ、警護対象がひとりで帰るなんて、危ないでしょ?」


そう言って、めぐむは明久斗の袖をそっと引いた。 その手のぬくもりは、昨日よりも少しだけ近くて、やさしかった。

ふたり並んで歩く帰り道。 制服の裾が風に揺れて、影が長く伸びていく。そんなめぐむは、とっても可愛かった。


愛してる、めぐむ。


「やあ、明久斗君。」

「ああ、マロンか。おはよ。」

「どうした?やけに素っ気ないな。」

「放っといてくれよ,,,,。」


マロンは人の心がわからないのか?何とか人の心を読んでよ。

読みすぎも嫌だけどさ。

「ああ、わかった。君めぐむ先輩が好きになったんだろう。」

「ゴホッ、ガハッ、グホッ!!」


「どうしたんだい、明久斗君?図星かい?」

けらけらとマロンが笑う。やっぱりコイツ人の心を読めるのか!?

「そのようだな。よかったじゃないかぁ!私のおかげだな?」

「そ、そうだよ。マロンのおかげさ。」

「素直だな。」


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