第13話「神の国・エリシア降臨! 次なる敵、“聖なる処刑人”」

──空が、割れた。


天を覆う光輪(オーレオール)、

世界の上空に現れた白き巨大な門。


それは神のエリシアと現世を繋ぐ“律界門”。


「来たか……ついに、奴らが動き出した」


アーヴの声に、空気が凍る。


門の中から降り立ったのは、

白銀の鎧に身を包んだ者たち。

その中心にいたのは――


「“裁定執行官”セラフィム=ルクトリア。

 神律第七位階、“聖なる処刑人(ホーリィ・ジュスティシア)”」


レガリアはその姿に息を呑んだ。


長い白髪、まるで天使のような光輪。

その美しさには一切の“人間味”がなかった。


「あなたたちが、“神”の使い……?」


セラフィムは冷たい瞳で言い放つ。


「レガリア・イレヴンス。あなたの存在は、神律に反します。

 拒絶の剣を有する者は、“例外なく消去”されます」


(感情が……ない……?)


まるでプログラムのように動くその姿。

しかし、一振りの剣が“世界そのもの”を断ち割った。


ズバァァァァン!!!


「ッ……今の、ただの“構え”だけで……?」


キルカが膝をつく。


ドローヴが叫ぶ。


「こいつ……“存在圧”がヤバすぎる!

 俺たち、ただ“いる”だけで体が崩れちまうぞッ!」


アーヴが前に出る。


「こいつは“神の代行者”。

 俺たちのような“因子持ち”では、五感すら奪われる。

 ……だが、唯一抗える存在がいる」


レガリアは静かに剣を構えた。


「拒絶の剣……私が、“抗う”!」


セラフィムは機械のように問いかける。


「問い:あなたは、神の創造した世界を否定しますか?」


レガリアは、間髪入れず答える。


「当たり前でしょ。だって私は――その世界に殺されたんだ」


セラフィムの目がわずかに動く。


「――敵性確認。戦闘モード移行」


周囲の空間が、律式によって“神の庭”に変貌する!



異空間:神律領域エリシア


舞台は神の庭園へ。


重力、時間、光、音、すべてが“神のルール”で書き換えられる世界。


だが――


レガリアの剣が、それを拒絶する!


「《拒絶律式・零奏断界》!」


ギャアァァアアアアアッ!!!


神律領域が、真っ二つに裂けた。


セラフィムが初めて、“武器”を抜く。


それは――光でできた、三対の剣(セラフィム・コード)。


「命題:《罪は剣により贖われる》

 ──あなたを、滅します」

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