合戦!スポーツチャンバラvsサバイバルゲーム
第11話 新たなる敵……?
「スポチャン部はただいま入部希望者大募集中~」
「あなたも私達と、青春をチャンバラにぶつけてみませんかぁ~」
翌朝、早速私たち四人は校門前で部員募集活動を始める羽目になった……まぁ紫炎はかなり乗り気なんだけどね。
っていうか私達もルルー(呼び捨て希望らしい)やムンダ君と同じくタスキを掛けてるんだけど、紫炎の奴の強力なプッシュにより、私の書き文字は案の定というか『たまたま♡』になっていた。
本来なら猛抗議する所なんだけど、ルルー達も昨日は
ま、それはともかく、何とかあと一人の部員を確保したいんだけど……流石に昨日に比べて興味を持つ生徒は少なく、実際にはほぼスルー状況だ。
なんか各部が軒並み特待生のかけもち入部を禁止したせいで、学園自体のスポチャンへの興味がかなり薄れてしまっているみたい。2日前にはあんだけ盛り上がったのに、のど元過ぎればなんとやらというやつだろうか。
ちなみにムンダ君だけは本国のスポンサー(ルルーのお父さん)の許可が出ているので、一年間の陸上部の休部も認めてもらっているんだとか。
結局成果の無いまま授業が始まり、それから放課後まで誰からも入部希望のアプローチは無かった。営業って難しいなぁ。
仕方ないのでまた1組のルルーのとこに出向いてミーティングをすることにした。
「やっぱ一般生徒から募集掛けるしかねーよなぁ」
「このさい幽霊部員でもいいよね、帰宅部希望でまだ部活決めていない人いると思う」
「期限はあと三週間、それまでに立ち上げ出来なきゃアウトよ、頼むわよ二人共!」
入学からもう4日、新入生は一カ月以内に所属する部活を決めないといけないのだが、私たちは新部を立ち上げる都合上、顧問の先生や部室、活動場所の確保なんかもしなくちゃならない、期日はより短いのだ。
結局校舎の各所に散って、また宣伝を始める私達。なんとかあと一人確保できればいいんだけど……。
ちなみに他の部で勧誘活動を行っている人はいない。学校の性質上、部活をやる気のある人はほぼ入る部を決めているし、逆にやる気のない人はそもそも戦力にならないからだ。
なのでそんな『おこぼれ』な人をゲットできるかどうかが勝負なんだけど……。
「スポチャン部に入部お願いしまーす」
正門付近で声を上げる私。と、そのすぐ近くでなにやら数人の男子生徒がコッチをチラチラ見てる。お、興味持ってもらえたかな?
……いや、でもなんかちょっと、視線に敵意を感じるんですけど。
と、その4人ほどの男子がその場でやおら学生服を脱ぎ始めた。何事かと見れば下になんか迷彩服みたいなのを着込んでいるし、なんなのアレ?
彼らが次に取り出したのはなんと銃器の類だ! ピストルやらちょっと抱えるくらいのマシンガンっぽいのやらライフルみたいなのまである。
え、なにこれヤバくない?
「サバゲー部、創設しまーす! 入部希望者はお気軽にお声をおかけくださーい!」
「銃と硝煙と男のロマン! 熱い戦争ゴッコにあなたも参加しませんか?」
「今年から全国大会の開催も決定したそうです。しかも独自大会ですから留学生、特待生の区別なく、今年から大会に出場できまーす!」
だあぁぁっ、とズッコける私。なんだ、サバイバルゲーム部の勧誘なんだ。てっきり私やこの学校がテロの標的にでもされたのかと……
「え、えええええーっ!?」
私達の他にも新部活を立ち上げようとしてた連中がいたんだ! しかもなんかサバゲーってチャンバラと趣向がかぶってない?
やっば……残り少ないであろうフリーの生徒をあっちに取られたらおしまいじゃん!
危機感を感じた私は、彼らに負けないように声を上げて勧誘活動を再開する。
「スポチャン部、是非入部お願いしまーすっ!」
「サバイバルゲーム、最高に楽しいですよー」
「刀と槍と二刀流! 日本のロマンが詰まったスポーツチャンバラに是非ご参加をー!」
「銃は剣よりも強し! スコープに標的を捕らえて引き金を引く、これぞロマーン!!」
かくして私とサバゲー男子四人の誘致合戦が校門で繰り広げられた……お互いに敵意バチバチで。
「……これよ!」
「うひゃっ!?」
いきなり背後からかかった声に驚く。見ればルルー達3人がいつの間にか来てた。
「丁度良かった! みんな加勢して、このままじゃむこうに部員取られちゃうよ!!」
みんな集まったのでこれで四対四だ。向こうに負けないようにスポチャンの魅力を伝えて行かないと……。
「ふっふっふー。ねぇたまたま、こーゆーのを日本じゃ『渡りに船』っていうんじゃないの?」
そのグリーンアイをキラリと光らせたルルーがニヤケ顔でそう発する。いやその日本語の使い方間違ってるよ。
彼女は「ま、見てなさい」と笑顔を見せ、そのままサバゲー部の連中にずんずん向かっていくと……。
「そこのアーミー部! 私達スポチャン部と勝負なさいっ!」
指をびしぃっ! と突きつけて、そう高らかに宣言した。
「えええええーっ!? ルルー、ちょっとおぉぉぉぉーっ!!」
勝負って? この状況でどういう勝負するつもりなの? 部員確保や勧誘活動の妨害工作し合うとか止めてよね、こっちが学校に叱られちゃうじゃないの。
「勝負? 俺達とか?」
「その、とーりっ!」
サバゲー部員の質問に胸を張って応えるルルー。なんかちょっと相手の連中、ガラ悪そうなんだけど大丈夫なのかなぁ、ンなこと言っちゃって。
「へっへっへー、どんな勝負をしようってんだい? 外国のお嬢ちゃん」
「用件を、聞こうか」
「うっひょー、これまった美人のもっ〇りちゅわぁ~ん、ぐへへへ一緒にサバゲーしない?」
前言撤回。ガラ悪いんじゃなくて、単にノリのいい連中みたい。
さすがに元ネタを知らない(当たり前だ)ルルーはそんな連中のノリをさらりとスルーして、ふわさと髪をかき上げると、びしっ! と彼らを指差して言い放った。
「もちろん、
……この発言が、後に学園最初のとんでもイベントに発展するなんて、今の私には知る由も無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます