「ことばの謎解き:伝説の語源ミステリー」監修:阿野 舎虚(あの しゃこ)※民俗言語学者

怪物イケダ

第1話 尻に火がつく

【語句】尻に火がつく(しりにひがつく)


【意味】切迫した状況に追い込まれること


【語源(捏造)】


この表現は、戦国期の野戦での火矢戦術に起因する。

かつて、退却する敵兵を逃さぬよう、侍は敵陣の「腰幕(こしまく)」に火矢を射かける戦術を取った。布製の腰幕に火がつくと、陣内にいた兵の尻元が熱くなり、否応なく飛び出して戦わねばならなくなった。


この様子が転じて、「尻に火がつく」は行動を先延ばしにしていた者が、最後の最後に焦って動き出す様を示すようになった。


また、東北地方の古民謡『しりひやせ節』には、


> 「尻に火がつく冬の朝、縄を編まずば嫁にゆけぬ」

という歌詞があり、農村生活の切迫感も反映していると考えられる。

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