明るい夜を歌う街

水無崎みん

明るい夜を歌う街

元カレのライブに行ってみたけれど うまく弾けるよ わたしの方が


観客は だいたいスマホ 触ってる もっと聞こうよ 情けない歌


ベーシスト 綺麗なメイク 決まってる アイツの笑顔 気に入らないな


帰り道 時が経っても変わらない 明るい夜に響く喧騒


カラオケで 昔アイツにあげた歌 一人になって 静かに歌った


明日からタバコは吸わない そう決めた 一人で吸うと 涙が出るから


ドリンクバー 取りに行くのは面白い 愉快な歌が 聞こえてくるから


午前5時 つぶれたジジイ 鳴くカラス やっぱりわたしはこの街が好き


始発から 朝のホームに並ぶ人 だいたいみんな 眠そうな顔


ベランダで 結局タバコに火を付ける 涙の味も 悪くはないかな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

明るい夜を歌う街 水無崎みん @minasakimin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画