ヲタク落語家がライトノベル作家デビューするまでの話

春風亭吉好

第1話 ファンタジア文庫からメールが来た話

 初めての方は初めまして、いつもお世話になってる方はありがとうございます。ヲタク落語家の春風亭吉好です。

 僕は今年の3月にKADOKAWAファンタジア文庫様より「魔王は扇子で蕎麦を食う〜落語魔王与太噺〜」というタイトルでライトノベル作家デビューさせていただきました。


 僕の事を知ってる方もそうでない方も「なぜ落語家がライトノベル作家に?」とお思いの方が多いと思います。

 その経緯や執筆の苦労などエッセイで書いたら読んでみたいというご意見を多数いただきましたのでここに書かせていただきたいと思います。


 また新規小説も準備中で出来上がり次第カクヨムでアップしたいと思いますのでお楽しみに……



 さて、ことの始まりは2023年の秋。真打昇進披露興行もひと段落してそろそろ真打として新しい事を始めようとしていた矢先でした。

 落語家は真打に昇進すると3ヶ月以上も各寄席で盛大な披露興行が続きます。毎日高座があるのはもちろん、打ち上げも続き体力的にはヘロヘロだったのがようやく回復してきた頃の事です。


 ホームページのお仕事ご依頼フォームから一通のメールが届きました。

「落語をテーマにした新しいライトノベルの企画立ち上げにご協力いただけませんでしょうか。 KADOKAWAファンタジア文庫編集部 担当○○」


「は?」


 そう、思わず「は?」と言ってしまいました。

 だってKADOKAWAファンタジア文庫ですよ。中学生の頃から一番読んでるライトノベルのレーベルです。

「スレイヤーズ」「天地無用!シリーズ」「魔術師オーフェン」「フルメタル・パニック!」

 最近でも「スパイ教室」「転生王女と天才令嬢の魔法革命」「週に一度クラスメイトを買う話」と読んだライトノベルを挙げ出したらキリがありません。


 この辺でおわかりと思いますが僕は筋金入りのヲタクです。ヲタクネタを取り入れたヲタク落語なんてやらせていただいています。

 なので声優さんとご一緒したりなど他の落語家とは違ったお仕事依頼が来ます。

 とはいえまさか大好きなレーベルからのお声がけに目を疑いました。

 迷惑メールじゃないかと思ったほど。(事実なぜか迷惑メールフォルダに振り分けられていて届いた事に気づくのに3日かかりました)


 メールの文面を改めて読んでみると「ライトノベル企画の立ち上げにご協力を……」とあります。執筆とは書いていなく一体何をすればいいのかなと思いました。

 そう、新作落語を書いた事は何度もありますが小説を書いた事はありません。

あ、ありました。学生の頃にMixiの裏垢で二次創作百合小説を書いていた位は(笑)

 でもそんな事を先方が知るはずありません。


 あ、そうか。小説を書くという事ではなく、誰かが書いた落語ものの小説の設定が間違ってないかなどの監修なのかなと思います。某少年漫画誌の某落語漫画でもそういうの付いていますし。


 でも、もしも……まさか僕が書くなんていう事は……

 憧れのファンタジア文庫でライトノベル作家デビューするなんて事は……

あったりして……

 なんて淡い期待を胸に隣にいた嫁に言ってみた。


「これもしかして僕が書くって事かなぁ?」

「そんなわけないじゃない。監修でしょう」


 ですよねー。

 夢見がちな僕と違ってさすが嫁は現実的だ。

 そう、まさか本格的な執筆経験のない僕に頼むわけがない。

 そう思っていた……


 結果としては既にご存知の通り僕が執筆する事になるわけだが……


続く

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