第11話 村人から食事に誘われた。
俺だけしか入れないダンジョン。
どういう仕組みかは知らないが、一部屋分しかないダンジョンの中央には宝箱があり、そこからは100%、薬草が一束だけ手に入れる事が出来る。
その洞窟には、俺以外の村人は入れない。
なので必然と俺が洞窟の中に入り、薬草を手にダンジョンの外に運び出すという往復作業が必要になってくる。
頑張れば一往復10秒を切ることはできるが、正直言って何時間も同じことをするので、体力的に無理なので一時間当たりの薬草回収量は300個前後となる。
「なあ、カズヤ」
「なんだよ? ルイ」
3人の内の一人が俺に話しかけてきた。
「お前の薬草って、どうなっているんだろうな」
「そりゃダンジョンから出土するんだから、ダンジョン産の薬草だろ」
「――いや、そういう事じゃなくて何でお前しか入れないダンジョンがあるかってことなんだけど」
「まぁ、それを言うと、俺も良く知らないから、そうとしか言えないな」
俺は薬草をリリカに渡しながら応じる。
リリカは、俺の一個上の女性。
昔から、村長の孫エリナとは反りが合わないのは村でも有名な話だ。
「私としては、そんな事よりもカズヤが村に戻ってきてくれた方がうれしいよ」
「そ、そうか……。なんだか照れるな」
「以前から、エリナと仲が悪いのは、カズヤを取り合っていたからだからなー」
何かルイが言っているが認識したら色々と面倒になりそうだから――、
「ほら、新しい薬草」
俺はルイに薬草を渡して誤魔化す。
「そういえば、カズヤの家って今は何もないんじゃないか?」
「そうなのか? カイ」
「ああ。たしか冒険者になるときに色々と村に寄付してたよな?」
良くみんな知っているな。
まぁ、人口100人くらいしかいない村の中での話だからな。
村に家具などを寄付していたら、そりゃ噂になるってものだ。
「ねえ? カズヤ。カイが言っていることは本当なの? もう村に戻ってきてから何日も経っているわよね? どうやって生活をしているの?」
「そりゃ、冒険者をしていた時期に少しだけ蓄財できたから、その財を切り崩して購入した家具を使っているだけだが?」
「そうなの?」
しょぼーんとするリリカ。
「リリカは、自宅にカズヤを招こうとして失敗かー」
ルイがリリカに殴られた。
どうやら、禁句だったらしい。
まぁ、俺が殴られるわけじゃないからいいか。
昼までに1000を超える薬草をダンジョンから手に入れたあとは一度、休憩をするために3人と別れることにする。
「ねえ、カズヤ」
「何だ? リリカ」
「うちに来ない? お昼、お母さんが用意していると思うし」
ここは断るという選択肢があるが……、下手に断ると変な詮索をされる可能性がありそうだから、
「あとで行く。ちょっと用事があるから自宅に寄ってからになるけど、それでいいか?」
「ほんとうに!」
「ああ、だから先に戻ってアリエさんに伝えておいてくれ」
「わかった。待っているね」
薬草を乗せた台車をルイと、カイが運んでいる様子を見ながら、俺はリリカと別れた。
ちなみに、ルイとカイは兄弟である。
「ただいまー」
自宅に到着して合図をすると扉の閂が外れる音がする。
「おかえり! カズヤ!」
「ああ、ただいま」
「お腹空いた!」
「すぐに用意するから」
「うん!」
通販スキルから、レトルトカレーを束で購入する。
湯煎できる白米パックも、まとめ買いしていく。
「ティア、少しの間、村の人たちと色々な付き合いがあるから、俺が戻ってくるのが遅いときは、これらのカレーと白米で食事を摂っておいてくれるか?」
「えー」
不平不満たらたらなティアはぶすーっとした表情をするが、そこは我慢してもらうしかない。
人口が100人程度しかいない辺境の村では、助け合わないと生きていけないからな。
今の俺は通販スキルがあるからなんとでもなるけど。
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