入学式①

 「はぁぁぁ」


ここAET学園は有名タレントになりたい人、そしてそのマネージャーになりたい人の登竜門だ。そんな学園の入学式なぞはさぞかし優秀で入学を心待ちにした生徒も多いというのに。調月賢仁は大きなため息をついていた。彼はこの学校に入りたかったわけではなかった。むしろ、行きたくなかった。


 が、彼の姉が勝手にこの学園の入試に申し込みをしており、特に行きたい学校もなかった。受けるだけ、受けて合格してしまい、他の高校を受験をしなかったのでAET学園に行くほかなかった。高校に行かないという選択肢もあったが、姉に

 「あんた、高校も行かずに親のすねをかじり続ける気?」

とそれはもうすごい剣幕で詰め寄られ

 「いや、そういうわけじゃ...」

とあいまいな返答すると

 「じゃあ、いいよね。もう、入学手続きも済んでるから!」

なんと勝手な姉だろうと賢仁は思ったが、今まで自分のことを気にかけてくれていた姉に強い態度で出ることができなかった。そして、賢仁はそのまま入学することになったのだった。


 どんよりとした空気を纏ったまま賢仁は広場を通って学校内に入ろうと思っていた。


 がそこで問題が生じた。なぜか大勢の人が広場に溜まって黄色い声があちこちから聞こえてくる。さすがタレントを育てる学校だ。歩けば、すぐに顔の整った人に出会う。そして、この中では一番生徒たちに囲まれている女子生徒がいた。誰かはわからないけれど、確かにきれいな清楚系のアイドルとして売れそうだ。自分とは縁がないだろうとか、そういう人につくマネージャーもさぞかし優秀なんだろうとか思いながら、賢仁は目立たないように、人に当たらないように避けながら学校内を目指す。


 ほとんどの生徒がここにいるのではないかと思うほど、広場は人で溢れていてそれを避けながら歩いていくのは至難の業だった。


 人の波に溺れながら、人のいない開けた場所についたかと思えば、目の前に先程の美少女がいた。


(間近で見ると余計にきれいな顔だな)

なんて思っていると、その少女に近づこうとする生徒に押されて


 「わっ」


結局、賢仁はその場で尻もちをついて、人の波が去っていくのを待っていたのだった。


 ◇ ◇ ◇


 「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんご存じの通り、この学園はタレント及びそのマネージャーを育成する学校です。卒業するときには、世界に羽ばたくタレントが生まれることを期待しています」


 学園長からの言葉は多くの生徒特にマネージャー枠の生徒の耳には入っていなかった。その後に発表される自分のつくタレントが誰か想像したり、予想しているからだ。中には顔をにまつかせながらその時を待っている人もいた。

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