ステージの光に恋をした

@11hsk

プロローグ

ここ、私立 Academy of Entertainment Talent 学園、通称・AET学園はタレントとそのマネージャーを育成するための学校だ。この学園の卒業生には今を輝くアイドルや、世界で活躍する女優・俳優がいる。その中には、タレントとマネージャーが結婚するといったことも多々あった。だから、芸能枠を目指すこともさることながら、マネージャー枠でこの学園に入学を希望する人も多くいた。


この学園に入学しようと毎年何万人もの人が受験するが、この門を通ることが許されるのは、タレント枠80人、一般枠つまりマネージャー志望80人、合計たったの160人だけだ。

学園は女優・俳優たちによる援助により、学費はほとんどかからない。そういう意味では、マネージャー枠を目指す人はさらに多い。


タレント枠では演技力、歌唱力、ダンス力、コメント力など芸能活動で必要な技術で審査がされる。

マネージャー枠では学力、時間管理力、秘書検定の有無など、学力面で審査が行われ、必然的に必要とされる偏差値も高くなっている。


その上で入試の結果を加味して、それぞれの科で順位が同一の人がタレント・マネージャーとしてペアを組む。優秀なタレントは顔が整っていて、卒業後に大物になる人が多い。順位の高いタレントにつきたいと願う生徒が多く、いい成績を取れた人たちは当然ながら入学するまで胸を躍らせるのだ。


そして今日はそんな学園の入学式で学園内には浮足立っている新入生ばかりだ。が、その中に一人鬱屈とした表情の男子生徒がいる。


彼の名前は調月賢仁だ。タレントだろうが、マネージャーだろうが、容姿や身だしなみ、姿勢などを気にする生徒が多い中、彼は目元が髪で覆われていて、猫背だ。身長が180cmと無駄にでかいだけ、余計に人に恐怖を抱かせる。


周りの人もひそひそと彼の話をしていた。彼もその空気を感じ取っているが、それを直そうともせず、トボトボと歩いていた。それほどまでに、彼の姿はとてもこの学校にふさわしいとは思えなかった。しかし、彼はマネージャー枠で一位という驚くべき成績の持ち主だった、、、賢仁は望んでこの学校に入ったわけではなかった。彼の姉に勧められるがままに受験し、学年1位で入学したのだった。


そんな彼とは対照的に見目の整った少女が広場の中央でいろいろな生徒から話しかけられている。彼女は小鳥遊明香。タレント枠では歌唱部門・入試1位という成績を修めている。それゆえ、男子生徒の中には彼女を狙って話しかけている人もいるが、明香にはとことん相手にされていない。彼女は幼少期から有名なアイドルになることを夢見ていた。だから、どんなに見目のいい男子生徒に話しかけられようとも、彼女の夢の前にはただの小鳥のさえずりと一緒なのだった。

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