第2話 写真

那月雄大はモテたのは恵比寿永星(えびすながほし)だけだった。

つまりは永生の姉だ。

だけどそれが悪かったのか永星のクソ馬鹿に浮気されて自殺してタイムリープした。

皮肉なものだ。

俺はタイムリープしてから高校1年生になった。


「...」


家に帰ると母親がお帰りと言ってきた。

その温かさをながら自室に行く。

それから溜息を吐いてからスマホを弄る。

テレビを点ける。

そして観ていると電話がかかってきた。


「?...え?」


永生だった。

俺は「はい。もしもし?永生?」と聞いてみる。

すると永生は「はい。お世話になってます」と嬉しそうに反応した。


「...またどうしたんだ?」

「いえ。その。...えっと。...えっと。今日の事はありがとうございました」

「あ、ああ。気にしないで。あれは本当に偶然だったから」

「私、貴方に救ってもらって嬉しかったです」

「...そうか」

「えっと。今お忙しいですか?」

「...いや?忙しくないよ。...どうしたの?」

「勉強を教えて下さい」

「え?しかし俺は...」

「お願いします。実は関数とかが分からなくて」

「合っているか分からないよ?それでも良いの?」

「大丈夫です」


それから俺は永生に関数の解き方を教える。

そして永生は真剣に俺の話を聞きながら問題を解いていた様で。

暫くしてから「ありがとうございます」と言ってきた。

俺は「...もう良いの?」と言う。

すると永生は「はい。やっぱり聞いて正解でした」と言う。


「すっごく物知りですね」

「物知りって訳じゃないよ。...馬鹿だから」

「どんなに馬鹿であっても今は馬鹿じゃないです。私すっごく尊敬します」

「...」


俺は永生の言葉に「尊敬される程じゃない」と返事する。

思い出すのは上司との関係性。

それから妻にも裏切られたあの日の事。

絶望への道しるべになった。

すると永生が「あの」と言ってくる。


「その。えっと」

「?」

「...今度、買い物に...付き合ってくれませんか」

「買い物?良いけど...どういう買い物?」

「コンビニに行くだけですけど...スーパーを巡ります」

「ああ。成程な」

「その、帰りが目的です」

「...?」

「見せたい景色があります」


そう言われて俺は目を丸くする。

それから永生は「お姉ちゃんも知らない景色なんです」と言う。

俺は「分かった。良いよ。付き合う」と言った。

すると永生は「やった」と反応する。

俺なんかと一緒って楽しいのか?


「...お姉ちゃんはどんなお姉ちゃんなんだ」

「私の姉ですか?...まあ...普通の女子高生です」

「...」


間違いがなければ嫁は文芸部だった。

だけどそれを言うと怪しまれるし止めておこう。

そう思いながらいると「今度お会いします?」と言ってきた。

俺は「いや。良いよ。女性という存在に興味ないしな」と返事をした。


「え。そ、それは...」

「ああ。ごめん。女性恐怖症なんだ」

「...あ...そうなんですか...ごめんなさい」

「何を謝る必要が?俺が悪いんだから」

「...その。私も怖いですか?」

「いや。君は違うよ。範疇じゃない」

「...よ、良かった!」


良かったって何が?

思いながら俺は「?」を浮かべていると永生は「す、すいません。時間も時間ですし。お風呂入ってきますね」と永生は言う。

俺は「ああ」と返事をしながらそのまま電話を切る。

それから深呼吸をしてから天井を見上げた。


「...恵比寿姉妹...か」


そう呟きながら天井を見上げたままアルバムを出す。

そこにある写真を見た。

恵比寿姉妹に知り合う以前に出会っていた女の子。

行方知れずの女の子。

近所の幼い子で...この町の町内会の祭りの時に出会った。

この子はもう引っ越したんだが。


「...」


年はきっと俺とそう変わらない。

幼い女児だった。

祭りの時しか会った事がないが。

意気投合して...そのまま写真を撮ったのだ。

だけどこの写真は大切な写真だ。

恵比寿永星との結婚披露宴で使う程には、だ。

前世ではこの可愛い子に会えなかった分。

せっかくタイムリープした今は恵比寿永星から離れて是非ともこの子を探したいもんだな。


「...」


俺はアルバムを閉じてからそのまま深呼吸をまたした。

それから息を吐きだしてからそのまま窓から外を見てからテレビで動画サイトの動画を観始めた。

これが終わったら勉強するか。

そう考えながら。

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