【第弐作】:萌との日々

ロリコンメイカー

第01話:タイムスリップ

2024年7月21日、16歳の俺はバンクーバー空港行の飛行機で学校行事の海外研修でホームステイするため、午後5:30に日本を離陸した。飛行機が水平になり、ちょうど寝静まった頃、急に車体が揺れ始めた。どうやら乱気流に入ってしまったようだ。そのまま車体は一気に急降下し、ハワイ島から、東に約3キロ離れた海にどんどん落ちていった。その瞬間俺の意識が飛び、走馬灯を見た。楽しみにしてた海外研修、こんなことにはなってほしくないと思ってたけど、もう死ぬんだ。そう思っていた。

 

しかし、

俺は何故か生きていた。前世の記憶がまだ残っていたので、最初は助かったのかと思った。でも、布団から起きた場所が、自分の家じゃなかった。思い切って、カーテンを開けると、そこには見覚えのある景色があった。ふと壁を見てみると、カレンダーがあった。今は、にせんさんじゅうよねん?2034年?俺はここで思った。10年後の別の人間に生まれ変わっていたのだ。十年後にタイムスリップ?!でも自分の今の個人情報とかは何もわからない。前世のことはわかるけど。一旦、俺?の親に会ってみた。というか見に行った。見た感じいい人そうだった。なんか知らない人の家に泊まってるみたい。海外でホームステイできなかったけど、死んでから、来世で知らない人?にホームステイできたのはなんか変な気分だ。俺の今の両親によると、俺は生まれてから今まで一度も目を明けたことがなかったみたいだ。このときに初めて明けたらしいから、とてもびっくりしたみたい。

 

外出許可をもらった俺は前世で住んでいたマンションを見てみることにした。なんと現世の家とものすごくご近所さんだったのだ。外観は真っ黒になっていた。どうやら、住民の意見で黒になったと聞いた。でもよく見ると入口は、草がボーボーになってて管理されてるのか、不安になった。一応前世では元住民なので割れたガラスを通り抜けて入ってみたが、ポストは荒れ果て、ロビーにあったソファはボロボロで照明も倒されたりしていて悲惨だった。俺の住んでた部屋を覗いてみることにした。なぜかドアは開いていた。目に見えたのは俺が集めてたグッズなどがそのまま机に置いてあったのだ。ガラスは割れてなかったから良かったけど、ほぼほぼ廃墟になってたのは驚きだ。10年で、こんなに姿が変わり果ててしまうなんて思いもしなかった。後で聞いたが、この10年の間に大きな地震があったらしい。それでほとんどの住民が急いで避難したから鍵もされてないし、しかもそのまま帰ってこないらしい。何年後かに、元両親に会いたいなって思った。

 現在の家に帰った俺は、誕生日に「何が欲しい?」と聞かれた。そもそも誕生日がいつなのかもわからない。だけどいまは欲しいものを伝えた。それは、自転車だ。俺は自転車に乗ってどこかに行くのが好きだった。だから、自転車が欲しかった。「電動で良い?」って言われたので、「じゃあそれでお願いします。」と言った。

 そのあと、両親に今までの記憶がないこと、俺は前世がわかるということを伝えた。ということで明日病院に連れてってくれることがわかった。やはり前世の記憶が残っていると、医者は答えた。知人に記者がいるから、ぜひそこで話して欲しいと言われた。場所と日時が書かれた紙を渡され、その日にニュース記者のところまで行き、取材が始まった。俺は包み隠さず今まであったことを話した。このことは全国いや世界にまで広がり、ネットではこんな人いるんだ。とか前世の記憶を持つ10歳だとか。いろんな意見を持つ人達が現れだした。しかも今年一番のトレンドワードになって、流行語大賞にも選ばれた。

 取材が終わり、帰りに、前世のクラスメイトは何してんだろうと思った。だが、スマホがないことに気づき、親に相談した。そしたら、いまから、Apple Storeに行って買おうって言われたので、iPhone 20 PRO MAXを買ってくれた。前の両親と違って、制限がないため、一通りアプリをダウンロードした。なんとかして、自分のアカウントも再ログインできた。そして、インスタを開いたとき気がついた。そういえばみんなもう、大人だっけか。俺と同じところに行く予定だった人も死んじゃったからな。だから、その人達の投稿は行く前に投稿したもので止まっていた。

 宿題なんかはすっかりデジタル化しちゃって、紙のものなんてなかった。もちろん、高2の頭で小4の宿題をやってるのだから、全て簡単だし、両親が金持ちだから前世と同じく中学受験したいと思った。小学校の頃なんかは恋愛とかそういうのには特にやらないで中学受験の勉強に励んだ。

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