花嫁が俺よりも体格の良いイケメンのΩだった件

kouta

第1話 生まれ変わったら異世界で王子様

 生まれ変わったら異世界で王子様……なーんて小説みたいな話だが。


 生憎俺はそんな奇妙な星の元に産まれてしまった。






 俺が産まれたのはウィスクム王国っていう中世アラブのようなイメージのそこそこに大きな国で、産まれた時にはハレムがあって兄が10人ぐらいいた。


 当然、跡取りにはならないだろーって高を括ってたし、母親も後継者争いには興味がないみたいで、死なない程度に知略を巡らすぐらいで目立たずひっそりと暮らしていた。




 知的好奇心が大きかった俺は毎日図書室に入り浸り、朝から晩まで篭りっきりの生活だったら、変わり者だと思われていたらしい。


 学問に興味深々な割に人前に出る事は殆どしなかったおかげで、暗殺されることなく無事に生き抜いた幼少時代。




 それが変わり始めたのは俺が13歳になってそろそろ外国に留学でもしようかしらと思い始めた頃だった。


 父が病気になった。それで兄達の後継者争いが活発になり、俺はこれ幸いと、『俺は権力には興味ありませんよー』と無事に海外留学へと旅立った。


 丁度その頃には父の寵愛も冷めており、暇を持て余していた母も一緒に連れて学園都市があるマーレ国に親子二人で飛び出したってわけだ。




 それから4年。充実した学生生活も終わりが見え始め、考古学者になる為に更なる歴史の研究に没頭しようと教授になる試験を受けようとしていた17歳の時。


 俺は急遽本国から呼び出しをくらい、その頃にはマーレ国の恵まれた海の幸を毎日たらふく食っていたせいで少々太り始めていた母と共に帰国してみれば。


 


 俺はその日からウィスクム王国第12代目国王に任命された……という訳だ。




 なんでそーなっちゃったのかというと、俺と母が海外に逃亡した後国内では後継者争いが激化。


 陰謀や策略が駆け巡った身内同士の激しい争いの結果――俺の兄達は皆共倒れしちまった、と言うことらしい。


 流石に10人全員が死んだわけじゃないが、暗殺が発覚して終身刑になったり、入れられた毒が原因で死にはしなかったものの寝たきりになってしまったようだ。


 俺より下の弟達はまだ幼く、そして母親達にも有力な後ろ盾がある者がいない。


 


 そして俺の評判としては、少々変わり者だが相当な切れ者というかなり曲解されたイメージが持たれていた。


 俺としてはただ知的好奇心を満たすためだけに海外に留学していたのだが、諸外国との外交面を拡げる為と激化した後継者争いから遠ざかる為の勇気ある亡命のような評価がされ。


 母の暴飲暴食気味だった私生活も、様々なパーティーに出席することにより有力な後ろ盾を手に入れるため、みたいな受け止め方をされていた。


 


 確かに、マーレ国での母はそれまでハレムの陰惨とした日々で溜まった鬱憤を晴らす為か、かなり精力的にあちこちの晩さん会に出席していたが、ただ身分とか地位を意識しなくていい友人達との気楽なおしゃべりや出される料理につられていたのは間違いなく、決して国母になりたかったわけじゃないと思う。


 俺としても帝王学は一切学んでおらず、出来れば各地に散らばる遺産の研究をして一生涯を終えたかったのだが、かといってここで後継者を放棄してしまうと再び争いが勃発してしまう。




 そこで仕方がなく俺は国王として働くことになった。幸い、優秀な臣下たちはどの兄の元にもつかず俺のように諸外国へ逃亡していた為、彼らを呼び戻し。


 更に国内の澱んでいた圧政やら悪事やらを白日の下にさらしてやり、そして時には、マーレ国の学友達を本国に招いて海外の情報を仕入れたりとなるべく健全クリーンな国づくりをモットーに国政に励んだ。


 そのおかげが内乱でかなり混乱していた国は一年余りで立ち直り、その更に一年後には父の代と同じぐらいの国力に戻すことが出来た。




 さて……こうして様々な問題が解決し、とりあえず国内が安定すると、とある問題が浮上してくる。




 曰く、跡取りをどうするかと言うことだ。


 


 俺としては中継ぎとして弟が育ったらそいつにポンと王位を譲る気でいたのだが。


 なまじ国政が上手くいきすぎたせいでそう簡単に譲位出来る雰囲気ではなくなってしまった。


 となると残るのは、俺が結婚し跡継ぎを作ることなのだが……。


 父の失敗の事もあり、ハレムを作るのに抵抗があって俺はまだ一人も娶っていない。


 それに、前世での俺は日本の童貞の大学生。そんな何人も愛人を囲むという度胸は備わっていない。


 出来れば妻となる人は一人でいいとまで思っている。


 この国ではかねてより一夫多妻制だから少々難しいかもしれないが、兄達の壮絶な身内争いは記憶に新しい。


 同じ悲劇を繰り返さないためにも、とか言ったら案外すんなり許されるかもしれない。


 そう思いのらりくらりとその話題は避けていたのだが。


 さすがに20歳になるとそうも言っていられなくなった。


 この国では14歳から婚姻が可能で大体20歳ぐらいには一子もうけてても不思議じゃない。


 結婚の適齢期は大体収入が安定し始める17歳から22歳ぐらいまでと言われている。 


 でもそれは庶民の感覚で、王室で20歳になっても婚姻していないのは充分遅いのだ。


 『本来なら皇太子が産まれていてもおかしくないんですがねぇ……』というのが最近の大臣の口癖だ。


 


 そろそろ俺も腹を括る頃かとちらっと婚姻の話題を口にすれば、大臣が山のように見合いの手紙を持ってきた。


 俺がいつ言いだしてもすぐさま準備できるようにとあらかじめ用意していたらしいが……それにしても手際が良すぎる。


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