第9話 戦闘開始

前回、イエローの過去の清算を終え、女性のみで構成されたチームを倒した後。


「取り合えずは、魔法騎士の所に向かおっか。敵がどこにいるかもわかんないし…」

「そうですね…」


二人はマップに書かれた魔法騎士の所に向かうため、歩みを進める。


「ぶへぇどろすっぱいぃ!」


計画を立てたのち、山道を歩いていると途中の河原付近で森の方から出て凄い速さで飛び出してきた金髪の少年。


「あぁ!そっちは河原ぁ!」

「わわぁ!いやぁぁぁ!!!」


イエローがそう叫び、金髪の彼が河原に飛び込みそうになった直前、イエローの背後にいたはずのニヒツは一瞬でその場から移動し…


「大丈夫ですか?」

「あっああぁぁっあ!」


間一髪、その手を引いて何とか落下を回避した。


「ふぅ~焦ったよ全く、てかニヒツくん早すぎでしょ。今のよく追えたね…」

「アハハ…まぁー弾丸に比べたらましですよ。」

「あーそう言えばきみ弾丸とか止まられる系の人だったね。」


二人の和む空気に、手を引かれた金髪の彼は思わず。


「はっははは!速く引き上げてくれませんかぁぁぁ!!!」

「あ!ごめんごめん。」


思わず凄い裏声で叫んでしまっていた。


「あっああ!あの…」

「「ん?」」

「あっああ!ありがとう…ごっごご!ございまぁぁぁすぅ!」


二人はお礼を言う様子を見て、


((きっとこの子いい子なんだろうなぁ~、でも多分あがり症何だなきっと…))


と内心感じていた。


「いいよいいよ、ピンチの時はお互い様だろ。」

「そうだよそうだよ!まぁーわたし何もしてないんだけどねぇー」

「いっいえ!こんな僕見たいなゴミ虫と話してくださってるだけで…」


再び出た彼の発言に二人は…


(あ!ネガティブでもあるんだ)


と思った。


「最初グラウンドで奇声あげた時はぶっちゃけ怖かったけど、なんだか喋ってみると恰好いい人そうで安心した。」

「さっささ!さようですか…」

「ネイビーくんだよね、トルマリンってことはあのスピードは…」

「はっはは!はい!電気属性の…魔法ですぅ!」

「すごーい、めっちゃくちゃ早かったよぉー。」

「おっおお!おほめにあずかり光栄でしゅう…」


ネイビーとの会話の最中、二人は顔を合わせて頷き。


「ねぇねぇーネイビーくん」

「はっはは!はいぃぃぃ!!!」

「是非よかったら…」

「「僕達/私達の仲間になってよ?」」

「いっいい!いんですかぁぁぁ!!!」

「「うん!」」


こうして、ネイビーが仲間に加わり、ニヒツのチームが三人になった。


「にしても結構遠いなぁ~」

「でっでで!ですねぇ!」

「うーん、二人が良ければ乗っていきますか?」

「「え?」」


山道から目的地まではかなりの距離があり、マップ内の他の騎士達の場所も似たような形だった。


しかし制限時間は5時間、すでに1時間が経過しようとしていたため、これ以上時間をかけるわけにはいかないと思い、ニヒツがとった作戦…


「捕まっててくださいね…」

「「うっうん…」」


イエローはニヒツの背に、ネイビーはニヒツの胸にそれぞれ捕まり…


「行きますよぉぉぉ!!!」


時速200キロで走りだした。


「「うわぁぁぁ!!!」」


ニヒツと言う暴走列車に乗り込んだ二人は、色々後悔しつつも5分と立たずして目的に到着した。


「「はぁ~はぁ~」」


疲れてはいないはずの両者が、汗がだくだくとなり、へとへとになってるかの如く息を切らしている。


「あの…お疲れですか?」

「「いや、全然」」


疲れてはいない、体は確かに楽だったが、心がすり減った二人であった。


「ここが魔法騎士のいるって言う…」


そこは深い深い洞穴だった。


「おっと兄ちゃんごめんよぉ」


ニヒツがバテてる二人を待ちつつその洞穴を除いていると、そこに一人の赤毛の少年が…


「えっと、あなたは?」

「俺はルビー、ただのルビーだ。悪いんだが、他を当たってくんねぇーか、ここには先約がいる。」


ルビーと名乗るその男は魔法騎士を求めてやっとの思いで突いたニヒツにそう告げる。


「ちょっと!ふざけないでよ…」

「そっそそ!そうですよ…ぼっぼぼ!僕らここまで頑張って…」


二人的には内心もう二度とあれに乗りたくないだけに必死で喰らいつく。


「ふざけんなも何も、あんたらが遅いのが悪いんでしょ。それにこの先にいる奴にゃー関わらねぇー方がいいぜ。」

「なんでよぉ!」

「この先には…”ガーネット”がいる。」


それを聞いて、イエローとネイビーは驚愕し震え上がる。


しかしその場でただ一人ニヒルだけが…


「ガーネットって誰ですか?」


状況を理解していなかった。


「ニヒツくん!”ガーネット・レッドジュエル”を知らないのぉ!」

「はい、そんなに有名な人なんですか?」

「えっええ!えぇ~」

「ハハッ!こいつぁー驚きだ、まさかガーネットを知らねぇー何て言う世間知らずな奴がこの大会に参加してるとはな…」


三人が語っているガーネット・レットジュエルとは一体何者なのか、ニヒツは三人の話を聞くことにした。


「ガーネットはレットジュエル家が代々受け継ぐ”特大魔法”を操る魔法使いさ…」

「特大魔法?」

「魔法ってその出力の大きさに合わせて、名前が変わるでしょ。」

「あぁー、魔弾や大魔弾のことですよね。」

「そっそそ!その威力のさらに上に位置するのが、”特大魔法”なんですぅ~」

「なるほど、通常じゃあり得ない威力の魔法を使うって事ですね。」


三人は要約理解したニヒツの言葉に強く頷きそれと同時に…


「あいつはこの試験の合格者候補の中でもネイル・シュバルツに次いで期待されてる有力候補って奴だ。黄金の光花団団長ゴールド様の推薦ももらってるしな…」

「それなら僕も、”ヒュース・コール”団長の推薦でここに来ました。」

「だから早いとこ退散しないと…って!今なんつったぁ!」


ニヒツの突然のカミングアウトに、先ほどまで冷静だったルビーが初めて取り乱す。


「ですから僕も推薦で…」

「誰のって?」

「ヒュース団長です、知りませんか黒騎士の…」

「知ってるよぉ!知ってるに決まってんだろ、この国最強の男だぞぉ!知らねえーわけねぇーだろ。」

「はっはい!すみません…」


当然だが、ルビー以外の二人もその発言に驚き、声も出ないでいる。


「なぁー兄ちゃん、強がるのは良いが嘘はいけぇねぇー。」

「いえ、本当に…」


三人が魔法騎士のいる洞窟の前で話していると、背後から忍び寄ってくる青装束の集団。


「おやおや、有力候補ともなると違いますねぇー、まさか祈りを削りあう戦場で談笑とは…」

「なんのようだ”ラピスラズリ”、また半殺しにでもされにきたか?」

「ラピス…ラズリ…」


突然現れた青い頭髪の彼とルビーが睨み合う、その口ぶりから二人は面識があるようだ。


「事実はただしく伝えたまえルビーくん、ボクが負けたのは兄ではなく、兄の妹君であることをしっかりとこの場の全員に完全確実に伝わるように言い直したまえよ。」

「ハァ!結局お前ぇが負けたことに変わりはねぇーだろ、それに…その事実がちゃんとわかってんなら、なんでわざわざここに手ぇーだしにきやがった。」

「だからこそと言ってくれたまえ、妹君が騎士と戦って弱っているところを奇襲…強者に対しての最善最良の策であろう。馬鹿かね兄は…」

「させると思ってんのか?この俺が、そんなこと…」

「実に意味の無い思考だ、このボクが君程度の三流魔法使いに負けると思うかね。」


両者緊張の中、睨み合い、自身の武器をそれぞれ手に持つ。


「《固有魔法・水鉄砲(ヴァーサー・ゲヴェーア)》」

「《固有魔法・火球魔弾》」


両者が向ける魔法と魔法、火と水で相性最悪…


「兄もこりないねぇー、水と火では相性が悪いとなぜ理解しない。」

「んなもん、蒸発させれば関係ねぇー。」

「ほざいたなぁー…ゴミ虫がぁ!」


ついに一斉に始まる魔弾と魔弾の激しい打ち合い、ただそれを見た誰もが驚く事実がそこにはあった。


それは、彼ら二人持つ圧倒的な”連射速度”にある。


「凄い…ここまで速いのは初めてみたよ。」

「いっいい!威力なら、るっるる!ルビーさんの方が強いですね。」

「しかし速度と相性ではやはり武が悪いですよ。」


横で見ていた三人が二人の連射バトルを見物している。


「きゃぁぁぁ!!!」


背後から忍び寄る影が、イエローを襲う。


「シッシッシ!うちの名はアクアマリン、《固有魔法・水腕(ウォータ・ハンズ)》は握ったものを決して離さず、暴れれば暴れるほど水圧を上げ絞め殺す。シッシッシ。」

「え!マジ!?、じゃー私一生このまんまぁ~そんなのやだよぉ~。」


その能力の性質上、イエローが動けないのは勿論、もし下手に外部から衝撃を与えればもっと大変な事態になる可能性がある。


(うかつに手が出せない!どうしたら…)


そう思い迷っているニヒツの頭上に凄まじい速度で何か迫る。


(!?)


見えぬ攻撃に、ニヒツは空気のわずかな揺れで気取り、すんでで回避するが、謎の物体にデコを掠め取られ血を流す。


「どっどど!どうしたの!?」

「わかりません、しかし誰かが周囲に潜んでいるのは確かで、警戒してくだい。」

「けっけけ!警戒って言ったってぇ!」


目の前ではイエローがやられ、森の中には潜んでいる何者かが不可視の何かを高速で飛ばしてくる現状。


(敵は何人だ!?一体どこに潜んでる!?どんな能力を持って、どう言う風に仕掛けてくる!?わからない…何も…)


そんなさなか、再び飛ばされる不可視の何かが今度はネイビーの方へ。


「ネイビーくん!」


しかし二度目は見逃さず、ニヒツすんでの所でそれを摑む。


(冷た!)


しかしそれを握った瞬間驚きの感覚がニヒツを襲う。


「だっだだ!大丈夫?」


ニヒツが手の平を広げた時にはすでに摑んでいたはずの物体は泣く、その手にはひんやりとした水が握られていた。


(そうか!これって!?)


そしてニヒツはその何かに触れたことにとって、その正体を突き止めることになる。


(…)


その物体は何一つ音を出すことなく、着弾後は消えてしまい痕跡を残さない、そして握るとどこかひんやりとしている。


「ネイビーくんいいかい?」

「はっはは!はい!」

「さっきの攻撃は”氷の弾丸”だ。」

「氷の弾丸?てってて!ことは…」

「そう、たぶん森のどこかにスナイパーがいる。次の攻撃でその場所を突き止めるて、僕はそっちを対処するから、イエローさんは君に任せてもいいかい?」


その言葉の直後、ネイビーは言葉を失い、今までの日にならないくらい焦り慌てふためく。


「ぼっぼぼ!ぼくなんかがどうやっやや!って…」

「君だから頼んでるんだ」

「えっええ!えぇ~」

「頼むよネイビーくん、君の”魔法”を使ってくれ。」

「でっでで!でもぉ~」

「大丈夫、僕は君を仲間だと思ってるし、信頼もしてる。じゃなきゃ、君に任せたりしないよ。」


自身のないネイビーを鼓舞するニヒツ、その直後に飛んできた再びの弾丸を捉えニヒツは敵の位置を捉える。


「任せたよ!ネイビーくん!」

「まっまま!待ってぇ!」


ネイビーの思い虚しく、ニヒツは彼に託して敵の元へ行ってしまう。


「シッシッシ!仲間を置いてきやがった。結局どんなに誠実そうな面しててもこれか…何つーかがっがりだぜ。もっと追い詰めてやろうと思ったのにさぁ!」

「痛い!痛い!」

「イッイイ!イエローさん!」


アクアマリンはニヒツの外見から性格を分析し、仲間を目の前で痛めつけることでニヒツ達を追い詰め、その姿を見て快感を得ようとしていた。


しかし、せっかく期待していたニヒツが行ってしまったことで、期待が裏切られ、憂さ晴らしもかねてイエローを握りこんだその水の手で握り潰そうとする。


「やっやや!やめろぉぉぉ!!!」

「なに?あんたやんの…」

「やらない…と言うかやれない…」

「なら黙っててくれる?今めっちゃ機嫌悪いんだよねぇ!」


彼女がさらに握り方をきつくしたことでイエローがさらに大きな叫び声をあげる。


「やめてぇ!やめてよそんなのぉ!」

「やめて欲しけりゃかかってこいよ、できんならね…」


彼女はだんだん、だんだんと握り方を強く、その度にイエローは喘ぎ、その体からも悲鳴の声があがる直前。


「わっわわ!わかった…」

「あ”?」

「ぼっぼぼ!僕が相手になってやるぅ!」


イエローの苦しむ様子を見て、ネイビーついに決意を決めて構える。


「はぁ!やってみろよ…没個性くん。」

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