第14話 予感と旅立ち

 「え? クルーシアどうしたの?」


 クルーシアは背中を丸め、完全に猫の威嚇のポーズを取っていた。 それに合わせ、カタルとシスは「ドン!ドン!」とドラミングを始める。 一体なんだ?


 「錦木…、あいつは他の村に住むいやーな獣人…ヴヴヴーッ」


 森の中に隠れていて、俺の目では何も見えないが、クルーシアとカタルとシスには見えているらしい。 動物は気配察知能力、嗅覚、視覚、聴覚が人とは比べ物にならないほど優れている。 その時、その得体の知れない獣人が喋り始めた。


 「なんだか、活気が溢れてきたじゃないか。 前のあのゴミ溜めのような村とは違ってな。」

 「…テメェなんて言った?」


 カタルがすぐさま反応した。 拳に力を込め、得体の知れない獣人に近づこうとする。 カタルはすぐに挑発に乗るな。


 「まてまて、カタル。 ここで暴れたらせっかく直した村が台無しだ。」

 「あっ、すいません!」


 かといって俺もこいつに少しイラついたんだけどね。


 「その様子だと、魔王の手がかりを探しているんだろ? 俺の村ならその手がかりがあるぞ。 ふっふっふ。 来るなら来な。 待ってるぜ。」


 そう言い残し、その獣人は去って行った。 変なやつ。 クルーシアとカタルとシスが威嚇モードを解除した。 これはまた争いごとが起きそうだな。


 「クルーシア、今のは誰?」

 「今のは隣の村の「ビルゾン村」に住んでる犬の獣人の「ミルジ」。 いつも私たちの村が襲われて搾取された後に必ず挑発しに来るの。」


 いちいち挑発にしに来るとかかまちょかよ! もしくは小型犬の獣人なのかな? 小型犬はよく吠えて挑発してくるし。 …仕方ない。 俺は平和主義だが、この挑発には乗ろう。 俺的にもプラスだしな。


 「お前たち。 俺はひとまずそのビルゾン村っていうところに向かうけど、お前たちはどうする?」

 「もちろん! 着いていくよ!」

 「もちろんですよ!」

 「ウホウホッ!」


 クルーシア、カタル、シスが元気良く返事をしてくれた。 案外他の人を引っ張っていくのも楽しいのかもしれないな。 生きてたうちにもっとリーダー役とか率先してやっておけばよかった。 でもまぁ、これから頑張ればいっか!


 「あ、でも待って。 誰か1人は村に残ってた方がいいな。 悪いが俺にはそんなお前たちみたいな怪力は無い。 だからできれば力のあるお前たちのうち1人残って欲しい。」

 「それなら俺が残ります! ウホッ!」


 カタルの弟、シスが手を挙げ、役を引き受けれてくれた。 これでひとまず、誰かが村に襲ってきたとしても大丈夫だろう。 こんな化け物いれば村の人たちも安心できるだろうし。


 「ありがとう! よし、んじゃ出発だ!」

 「おー!!」





 【残りのカップラーメン数】 326個





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