第26話「校門の挑戦者と冷酷な忠告」

#第26話「校門の挑戦者と冷酷な忠告」


最近、喧嘩の仲裁が日常になってきた。まあ俺が積極的に仲裁しようとしているからだが。


いくら格闘技をやっているとは言ってもあくまでもトレーニングだ。やはり実践に勝るものはない。


そこで揉め事には積極的に顔を出すようにした。何が起こっても冷静に対処できる実力が付く。そして精神面でも強くなれる。


そういうわけで誰かが揉めていれば、止めに入ったわけだ。

だいたいはくだらない揉め事、間に入って冷静に諭したらそのまま和解になる。

たまに殴り掛かってくるやつもいるがその場合は力で制する。総合格闘技のジムで学んだ技術は素人相手ならば過剰な力を使わなくても軽く制圧できる。



教師たちも、最初は俺の行動に疑いの目を向けていたが、何度も騒動を丸く収めているうちに感謝の言葉をくれるようになった。生徒からの評判も上々。まあ、悪くない。


そうして学内での喧嘩や揉め事が減っていった。まあ素人相手の仲裁も飽きてきたし丁度よい。




しかしそんな平穏は長くは続かなかった。

ある日の放課後。


昇降口で靴を履いていると、クラスメイトの一人が駆け寄ってきた。

「黒崎、やばいぞ。校門のところにガラの悪い奴らが三人いて、『黒崎ってやつを連れてこい』って騒いでる。完全にお前を狙ってるぞ」


……今度は外か。


揉め事が好きな連中の多さにため息が漏れる。だが、こういった連中を無視すれば後で面倒が大きくなるだけだ。


「分かった。行ってくる」


「おい、やめとけって! あいつらただの不良じゃないぞ、刺されるかもしれない!」



心配の声を背に、俺は迷いなく校門へと向かった。


そこには、いかにもな三人組がいた。腕組みをしてこちらを睨むリーダー格と、その後ろに控える取り巻き。


手にしているのはチェーン?そんな武器は喧嘩で使い物にならないだろうに。


おそらく威圧するために使っているのだろうな。あともう1人はバットか。まあ冷静に目を離さなけば大丈夫だろう。


そんなことを考えいるとリーダーらしき奴が話しかけてきた。


「お前が黒崎か?」


「そうだ。何か用か?」


 リーダー格が不敵に笑った。

「舐めた真似してくれたな。どう落とし前つけてくれるんだ?」


 俺は面倒そうに肩をすくめた。

「何のことだ?俺も暇じゃないんでね。話がないなら帰るけど」


「話がある。ついて来い!」



おれは言われるがままに付いて行ってやった。


「俺の舎弟から聞いたが、お前は学校で随分と舐めたことしてるらしいな。土下座して謝ったら許してやるがどうする?」


「はっ?お前、馬鹿なの?何でおれが土下座などするんだ?」


その瞬間、どうやらリーダーらしき奴は切れたようだ。拳を振り上げて突っ込んできた。


……やれやれ。


俺はそれをひらりとかわし、返す拳で彼の腹を撃ち抜いた。


「ぐぅっ!」


そいつは蹲った。まあ素人の腹を殴れば自然とこうなる。

そこで続けて腕を取り、関節を極めてやった。


「ギャアアアアアッ!」悲鳴が上がる。


「おれは格闘技をやっているんでな。一瞬で簡単に折ることもできる。降参するなら今のうちだ。このまま俺が折ったら後遺症も残る。一生腕が上がらなくなるぞ」


「わ、分かった! 降参だ!」


「お前らはどうなんだ?お前らが降参しないとこのまま折ることになるが?」


睨みつける俺に、残りの二人が顔を青ざめさせて頷く。


「わ、分かった!すまない。おれも 降参だ!」


リーダーを放してやると、地面に崩れ落ちた彼が苦悶の表情を浮かべていた。


「俺を潰したいなら、もっと人数を揃えてこい。ただし、その中の何人かは複雑骨折じゃ済まないだろうがな。一生残る傷を負いたいならまとめてやってこい」



冷たく告げると、三人組は逃げるようにその場を後にした。


その背に向けて、俺は最後に言葉を投げた。


「あと、お前らをけしかけたヤツにも伝えておけ。次にこんなことがあれば、今度は半殺しだ」


俺の警告が他の人間への牽制となればいい。


とりあえず今回の戦いも終わった。

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