第4話
第4話
魔法が使えないとまあ当然の事実を突きつけられた俺はレインに慰められながら、レインがこの世界に来れた理由などを聞いていた。
レインの話を要約すると、ゲームの世界の中でステータスがほぼカンストしてしまったレインはその世界の人々から恐れられるようになってしまった。
守ってきたはずの人間から恐れられるその世界の窮屈さに耐えることが出来なくなってしまい、戦いのない平和な世界を望んだ......というものらしい。
本来ならゲームの世界の住人が現実世界に干渉することは天界規定とやらで禁止されているらしいのだが、俺の自作ゲームというのと1000回にも渡るプレイや尋常じゃないプレイ時間などがその規定をバグらせてしまったと。
......
「それ、ふつーにやばくないか?」
「ヤバいわよ。まぁ、レンはそれも承知で世界の壁を超えた愛を誓ってくれたのよね! 嬉しいわ!」
そんなことまで考えていませんでした......なんて、嬉しそうなレインの表情を見た今言えるわけがない。
「レインが嬉しいなら嬉しいのは俺も凄く嬉しいんだが、レインがこの世界に来たことで何かしら影響があるんじゃないのか?」
天界規定とやらで定められてまで禁止されていることを犯しているのだ。
何かしらペナルティや良くない影響が及ぼされてしまうと考えるのが妥当だろう。
俺の当然の疑問にレインは「そうね......」と手を顎にあてながら話し出す
「あたし一人やあと数人程度だけならそんなに影響はないと思うわ。ただ、あの世界の住人が何人もこちらの世界に来てしまっては、そのうち世界の境界線が曖昧になって融合してしまう可能性はあるわね」
「むちゃくちゃやべーじゃねーか」
となるとレイン以外にもこの世界に来ていたとしたらこの世界が文字通りバグってしまうということか。
そりゃ天界規定とやらで禁止されるわ。
でも、レインの話を聞く限りゲームの世界から現実に干渉してこれるほどのキャラクターはあまりいないと思えるが、頭に入れておかなくてはならない話だというのは当然のことだ。
ちなみに国民的ゲームのキャラクターなどは沢山の人にプレイされすぎて、現実世界に干渉できるほどの1人から注がれる愛情を受け取れるキャパが足りないと。
話を聞いていてもよく分からなかったが、赤いおじさんや青のハリネズミやらは現実世界には来れないらしい。良かった。
「レイン、お前以外にもこの世界に来ているヤツはいるのか分かるのか?」
「んー、ハッキリとは分からないわね......ぼんやりとだけ分かるわ。あたし以外にも少なくとも5人は来てるわね」
5人も!? そんなに来ているとは......この世界がバグり始めるのも時間の問題というわけか、まあ他のキャラクターたちも自分の創造者のところで快適に過ごしているだろ、ほっといてもどうにかなる。
自分で解決する気が起きず他力本願をかます俺に、レインがさらに説明を加える。
「ちなみにこの世界に来てるキャラはほぼレンの創造したモノになるわね。レンが1つの世界を創造する度に尋常じゃないほどやり込むからその世界に耐えきれなくなった住人が飛び出してきたみたいよ」
......
俺は世界の命運を背負い立つ男として、自ら積極的に解決に向け行動することをすることを深く誓うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます