第39話 魔物を殺さず
「しかし、あの荒野を抜けてよくここまで辿り着いたな。
わざわざ、人間の国から我が国にまで来るとは、勿論魔王陛下に謁見をするんだろ?」
尋問も一段落をしたのか、雑談みたいな感じになって、かなりフランクな話し方に変わった。
多分、こっちがこの魔族の本性なんだろうな。
「ファンライズ側でも魔王国の存在は知っていましたが、未知な部分が多いので、今がどういう状況なのかを調査するのが目的ですね。
特に国として魔王様と謁見をしろとかは無かったですが、そもそも他国の、しかも魔族でない人間の俺が謁見なんて出来るのですか?」
ファンライズの大半の人間が魔王国からの魔物の影響で敵視していることは、勿論内緒だ。
「色々と政務があったり、お忙しい方ではあるが、多分謁見は可能だろ。
それにわざわざ人間の国から来たのだから無碍にはされないはずだ。」
「それはありがたいのですが、警備とか大丈夫ですか?」
「あぁ、そうか人間の国では血縁を重視して王権が移ると聞いたことがあったな。
魔王国では魔王となるのは魔族の中で一番の実力者がなると決まっている。
魔王に就いたら、新たに魔王になりたい者の挑戦を拒むことは出来んしな。
そういう意味合いでも、魔王陛下との謁見も問題ないとはずだ。」
魔王は実力主義で決まるのか。
会えるのだったら会ってしまった方が話も早いかな?
ただ、魔王国への憎悪の原因になっているファンライズへ来る魔物の対処までは難しいかもしれない。
国の方針で魔物を殺さないとしているのに、それを止めて欲しいってのは流石になぁ。
魔王に会うまでの間に考えてみるけど、良い案は見つからない。
そんなわけで、第一魔族との遭遇からの尋問と雑談から、魔王へ会うことを目標に進むことになり、 わざわざ、皆で俺を見送ろうと外まで来てくれた。
「ここから少し進んだところに辺境と魔王城を繋いでいる街道に出る。
街道では魔物が出ることはほとんどないが、ここから街道まではそこそこ魔物が出てくるので気をつけろよ。
いや、あんたの実力は先程ので十分に理解をしているが、魔物を殺すなと声高に叫ぶ連中がたむろをしていて、連中に魔物を殺しているところを見つかるとめんどくさいぞ。
連中は盗賊とかと違って、魔王国内では適法の範囲で活動をしているからな。
流石に、盗賊と同じように処したら俺等があんたを捕まえなければいけなくなる。
正直、相手にしたくないから頼むな。」
やっぱ、ファンライズを含む人間の国と同じで、盗賊とかは殺害しても犯罪にはならないらしい。
ただ、抗議活動というか魔物を殺すなって主張の魔族を同じように排除すると不味いわけだ。
「せっかく遠い異国から来てくれたんだ、魔王城まで案内をしてやりたいのは山々だが俺達5人しかここにいないんだよ。
定期的に入れ替え人員は来るが、余剰が足りない。
正直、魔物を殺すだけなら1人2人抜けたところで問題ないのだが、殺さずに追い払おうとすると途端に余裕が無くなる。
そんなわけで申し訳ないが、気を付けてな。」
愚痴も若干ありつつ、見送りを受けて、いざ魔王城へ出発する。
ただ、今まで魔物が来たらサクッとやって来たのを殺さずに旅をするのか。
街道まで行けば魔物は現れないらしいが、そこまではどうすれば良いのか?
「クロ、何か方法はないか?」
困った時のクロえもんである。
「そんな、同じ猫でも秘密道具なんて持ってにゃいにゃ。
ただ、まぁ、方法はあるにゃ。
吾輩達がファンライズの王達と会談をしたのを覚えているかにゃ?」
「えっと、召喚をされた日に部屋に案内されてから、メイドさんに連れられて、王様や宰相さん達との会談だよな。」
そういえば、あの場にもクローリーさんがいたな。
「そうにゃ。
その時に吾輩が魔力に意思を持たせてぶつけたのを覚えているにゃ?
それを魔物にもやると良いにゃ。」
「あれって魔物にも効くの?」
「効くにゃ。
というか、魔力に敏感な魔物の方が効果は高いにゃ。
効果抜群にゃ。」
そんな話をしていると都合よく、ゴブリンの群れがやって来たので、試しにぶつけてみた。
すると、本当に効果抜群のようで一目散に逃げ出していった。
「これってめっちゃ便利じゃん。
なんで、魔族の兵士さん達はやらなかったんだ?」
「そりゃ、普通の魔力の持ち主がやったところで、そこまでの威力は出せないにゃ。
ワタルは魔力量が既にこの世界でトップクラスって話はしたはずにゃ。
ちなみにぶつける魔力量の増減で効果も変わるはずにゃ。」
というクロの話を聞きつつ、道中は魔物が現れる度に魔力量を変えながらぶつけていった。
弱い魔力の時には挑発されたと思ったのか、逆に襲って来る始末で、周りに見ている魔族がいないことを確認して、サクッと殺して遺体はアイテムボックスに収めた。
こりゃ、魔族の兵士さん達は逆効果になるな。
今度は魔力量を強すぎると、蛇に睨まれた蛙が如くに魔物は硬直をしてしまったり、本当にヤバい時には、それだけで生を諦めたのか死亡をしてしまった魔物もいた。
そんな時は急いでアイテムボックスにしまったが、こんな感じを繰り返して適切な魔力量で魔物を追い払っていったのだった。
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