和歌山県木国市に本拠地を構える「ヤマト製鉄」が経営破綻した。従業員の大量解雇や工場の売却により、不安を募らせる地元民の前に現れたのは、サッカーを軸とした都市再生を掲げる三人の投資家たちだった。果たして彼らは新しい時代をもたらす“黒船”となり得るのか――。
サッカーを取り巻く人々をビジネスの視点から描いた群像劇が熱いです!
Jリーグのクラブが存在しない「Jなし県」に、初のプロサッカーチームを作ろう――。投資家リーダー・糸瀬貴矢の呼びかけのもと、市役所、工務店、メディア、デザイン事務所、農家、そして地元の子どもたち、さまざまな中小企業や市民が少しずつ集い、力を合わせてチームを作り上げていく過程が盛り上がります。
地元特産の梅干しにちなみ、チーム名は「南紀ウメスタ」。その選手の多くは地元出身の若者たち。一度はサッカー選手の夢を諦めた者も、再び巡ってきたチャンスに応えるべく、家族の声援を背にフィールドを駆ける。まさに一蹴入魂。地元の期待を背負う選手たちの熱いプレーに、思わず手に汗握ります!
スポーツが人々の心に火を灯し、生きる情熱を呼び起こす。寂れた街が熱狂する光景に心が揺さぶられます。スポーツで人間を、そして都市を再生する。熱血スポ根×ビジネスが融合した人間ドラマです。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)