《君がいない世界で》ー生きた証明ー

第二章 間章３：リソース・魔力量概論

―魔力とは何か、そしていかに扱うべきか―

Ⅰ. 魔力の定義と由来

本世界における「魔力（マナ）」とは、

存在空間に広く偏在する物質――魔素（まそ）――に対し、

生体が適応することによって生じる内的エネルギーである。

この適応は、肉体と精神の双方に関係し、生理的には神経系と代謝系の協調によって、

精神的には集中力・意志力・精神耐性などの認知的要因によって影響を受ける。

つまり、魔力とは単なるエネルギーではなく、「魔素に対する生体の共鳴反応」

から生じる**可制御な魔力場（コントロールマナフィールド）**である。

その発現は個体の能力差により千差万別であり、

訓練・遺伝・精神状態によって大きく左右される。

Ⅱ. 魔力量の限界とその兆候

魔力は無限に使用できるものではなく、明確な使用限界が存在する。

限界は、以下のような生理的・神経的兆候として現れる。

・軽度の疲労感

・鈍い頭痛、眩暈

・精神集中の喪失、魔術の失敗頻度の増加

これらは魔力の消耗に加え、神経系にかかる負荷の蓄積による警告反応であり、

使用者はこの「身体の声」によって限界を知覚することができる。

無視し続ければ、魔術暴走や神経障害といった深刻な後遺症を招く危険がある。

Ⅲ. 魔力の回復機構とその個人差

魔力は時間と共に自然回復する性質を持つ。

なかでも睡眠（標準８時間）が最も回復効率に優れるとされる。

加えて、回復用ポーション（通称：マナポーション）は下位～中位程度の魔力回復を即座に補助する手段として広く流通している。

ただし、以下の点に注意が必要である。

・魔力量が多い者ほど自然回復速度が高い傾向にある。

・しかし、魔力量が一定以上の「大容量」に達すると、

回復ペースが「器の再充填速度」に追いつかなくなる現象が発生する。

これを「マナディレイ現象」と呼び、

特に高等魔術の使用者や戦闘職において重要視される知見である。

このように、魔力とは単なる数値的なリソースではなく、

身体と精神の融合によって生まれる動的な力である。

その取り扱いには、技術だけでなく自らの限界と向き合う内省が求められるのだ。