第4話「早く起きた朝」

 次の日、俺は奇跡的に6時に起きることができた。

 こんなに早い時間に起きたのなんて、いつぶりだろうか。この時期はもう外が明るくなってきている。俺はすーっと深呼吸をした後、ロフトベッドを降りて、リビングに行く。


「……あれ!? 夜馬おはよう、今日は早いのね」


 びっくりした顔の母だった。そりゃそうだろう。いつもは寝ている時間だからな。


「おはよう、昨日少しだけ早く寝たら、起きることができた」

「そうなのねー、いいことよ。夜更かしもほどほどにね」


 いつものトーストの朝食を食べる。今日はヨーグルトも。以前母が横に開くトースターを使うのが面倒なので、ポップアップトースターがほしいとか言っていたような。


 ご飯を食べ終わった後、俺は考えた。

 このままもう少しゆっくりしてもいい。でも学校に行けば、宮本さんに会えるのではないかと。

 よし、とちょっとだけ気合いを入れて、制服に着替えた後、俺は家を出ることにした。時間は7時。宮本さんもこの時間に出てると言っていたな。おっと、自転車に乗る前にブレーキに油をさしておこう。これで大丈夫なはずだ。


 自転車に乗って、いつもの道を進んでいく。この時間帯は人通りも少ないのか、新たな発見をした気分だった。

 学校に着いて、教室に行く。誰かいるかなと思って扉を開けると――


 ……誰もいなかった。

 そりゃそうか、宮本さんは電車で学校に来ている。俺の方が早かったのだ。

 誰もいない教室で、ぼんやりと何もせずに座っていた。誰もいないと教室もこんなに静かなんだな……と思っていると、


「――あれ? 太刀川くん!?」


 と、驚いたような声が聞こえた。宮本さんだった。


「あ、おはよう」

「おはよう、私より早く来てるなんて思わなかったよー。なになに、今日はどうしたの?」

「それが、昨日あの時間に寝たら、今日は早く目が覚めたというか。それでたまにはいいかと思って学校に来てみたよ」

「そっかー、私と一緒に寝たのがよかったんだねぇ。ふふふ、感謝してくれてもいいよー」


 宮本さんが笑顔で言った。その笑顔が綺麗で俺はまた心臓がとくんと鳴った。


「あ、ああ、ありがとう」

「うんうん、素直にありがとうと言える人は素敵だと思うよぉ」


 宮本さんが俺の目を見てそう言うので、俺は恥ずかしくなって目をそらしてしまった。


「あ、恥ずかしがってる。可愛いー」

「か、かわ……!? あ、い、いや、なんでもない……」

「ふふふ、せっかく早く来たから、何かお話しよっか!」

「お、お話……?」

「うん、なんでもいいんだけど……そうだ、太刀川くんって――」


 な、なんだ、宮本さんは何を言うつもりなのか……俺は自分の心臓の音がはっきりと聞こえた。この音が宮本さんに聞こえてないかなと、ちょっと心配になった。


「――好きな人、いる?」


 ……俺は、頭が真っ白になった。

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