猫のように

宮比岩斗

猫のように

野良猫を 覗き込んでは 叩かれて 気楽でいいな 羨む日暮れ


白い泡 麦酒あおぎ おビール様と 崇め奉る 華金深夜


潰れたい 願う夜更けに 目は冴えて 変えたい過去が 変わらず傍に


ビッグになる 柄にもないと 思いつつ 夢を追いかけ 不時着す


自由なく 何物にもなれず 一人きり 二人で笑えた 冬を思い出す


飼い犬が 君を見つけて 駆け寄れば 撫でるその手に 嫉妬した


白い息 寒空仰ぎ お別れを 君ははにかみ 手を取った


いつでもね 帰っておいで 言われても 強がりのせいで 戻れない


いつか見た 夢は過去より 果てしなく 遠く見えては 立ちすくむ


瞼重く くすんだ地元へ 恥晒そう 気楽になれた 夜明け頃

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫のように 宮比岩斗 @miyabi_iwato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画