第2話ー学校の一大イベント


「キーンコーンカーンコーン」


三時間目の始まりを知らせる鐘がなる。


あわてて席に着くと、高山先生が教室に入ってきた。


先生もなかなかのイケメンで、26歳という若さで結婚している。


「今日は来月やる文化祭の出し物と一人づつの役割を決めるぞー」


文化祭……。


単語を聞いただけなのに、胸が高鳴る。


なぜかって?


私はネットで文化祭はカップルができる確率が高いっていう記事を見つけたのだから。


ワクワクしていると、次々に意見が出てきた。


メイドカフェ、お化け屋敷、ゲーム大会

などなど。


この中で私が狙うのは、メイドカフェ。


あわよくば光くんと一緒にやりたい……


っていうのは贅沢だから、とりあえず自分の欲をむりやり心の奥に押し込んだ。


結局、くじ引きで役割を決めることになった。


ガーン。


あ、案内係~⁉


一番のはずれを引いてしまった。


対して光くんは、メイドカフェ。


ペアは、最悪なことに、あの百合だった。


この学校での初めての文化祭、終わった……。


そのままズーンとした気持ちで授業を終え、帰りの挨拶をすました。


うぅ、私は練習なんてないから先に帰るけど、百合と光くんは……うぅ。


とぼとぼ帰り道を歩く。


いつもより足が重い気がした。


百合と光くんは今頃どうしているんだろうか。


ぐるぐると頭を回転させているうちに、今日、家の掃除当番だったことを思い出した。


「やばい。怒られるっ。」


急いで走っているときに、掃除という大事なもう一つの役割をすっかり忘れていた。


この掃除というのは、文化祭が終わったときにする掃除だ。


そうだ。


掃除だ。


私は光くんと掃除のペアなんだった。


暗かっただけの心に、光が差してきた。


「よ~し!『掃除大作戦』、決行だ~!」


いつもの帰り道に、私の声が響いた。

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