第8話 私を味方につけたことを誇れ、私は特別なのだ!

「何なんだ、あの男は!見え透いた偽善をして人のことたぶらかして、とんだ外道だな!」

「お前絶対に墨田の前でその事言うなよ」


 放課後、私は東雲秀と一緒に墨田るいを待っていた。

 明智蒼汰?あの男はやることやったら「授業だから」なんて言って去っていった。何がしたかったんだ、まったく。


「というかそんなにムカついてるのに明智の教室に突撃とかしないんだな。お前なら絶対行くと思ってたが」

「そうしたいのは山々だが、今回は弟子に譲ってやろう。これも師匠として必要なことだ」


 まぁ私が本気を出せばあんな凡人など瞬殺だがな!


「こんなやつに巻き込まれて……なんか墨田にすごい親近感が湧くな」

「君は何を言ってるんだい?」


 そんな事を話していると入口から元気な足音が聞こえた。


「あっ師匠!ごめんね、日直の仕事が長引いちゃって。なんか私の名前が聞こえたけど何の話してたの?」

「あぁ、昼休みに明智が来てたんだよ、その話」

「えっ、明智くん来てたの!?会いたかったなー」

「会ってないのか?向こうもお前に会いたそうにしてたけど」

「そうなの!?でも会えてないよ?」


 私を差し置いて東雲秀を墨田るいの間で話が成立していく。

 おいっ!師匠を差し置いて何してるんだ!

 別に寂しいとかではないが、天才に対して失礼じゃないか!


「ゴホンッ、さて、無駄話は終わったかい?早速作戦会議と行こうじゃないか」

「うん!お願いします!」


 純粋な目の中に見られる尊敬の念。なんてすばらしい子なんだ!こちらとしてもアドバイスする甲斐がある。

 ぜひとも明智蒼汰とかいう外道を落としてもらいたいものだ!


「相手を落とすには準備が必要だな。まずは相手を観察することが大切だ。好きなものや嫌いなもの、苦手なこと、弱点……」

「なるほど……」

「いや、情報の偏りがすごいな!というかお前知怜のことはろくに知りも知らずに突撃してたくせに何言ってるんだよ!」


 東雲秀が文句を言ってきた。自分じゃ思いつけないからって嫉妬して。墨田るいのように素直に感心したらどうなんだ。


「私は天才だから相手の情報など知らなくても大丈夫なのだよ!あとはそうだな、相手が得意な分野の知識は身につけておいたほうがいい。会話をする際にあたふたしては威厳がなくなるからな」


 おそらくは自分がよく知っている分野の話に誘導してマウントを取ってくるはずだ。その時に対応できるようにしておかねば!


「なんでちゃんと役に立ちそうなやつが出てくるんだ……」

「急に相談したのに、こんなにしっかり答えてくれるんだ……。神谷さん、本当にありがとね!」


 急に相談などと気にする必要はない。私は天才だからな!短い時間でも最適解を出すことができるのだ!


「あとはいけると思ったらすぐに行動を起こすことだな!相手に考える時間を与えずにすぐに伝えきる。あぁそうだ、話すときは2人きりになれる場所に移動することも大切だ」


 今日の一件でよくわかった。明智蒼汰は周囲の人間を味方につけるのが上手い。周りが敵になった状態で明智蒼汰を落とすのは墨田るいには難しいだろう。私なら余裕だが!


「えぇ!告白!?ムリムリムリ!絶対に無理だよ!」

「なぜだ?準備は大切だが行動しないことにはどうにもならないだろう?」

「そうなんだけど……でも、その、嫌われたらどうしようって不安で……」

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