ぼぼんぼんぼぼん:ネコ型生命体ぼんちゃん、未来を守るにゃ

あまるん

第1話 目覚めよ、ネコ型生命体

 朝起きたら、猫が壁に向かってしゃべっていた。


「……ターゲット接近中。今夜、第二便到着予定にゃ」


 え、何? 今、“にゃ”って言った?


 ぼくは目をこすりながらリビングに入る。いつものようにソファの上にぼんちゃんが座っていた。いや、正確には――座禅みたいな姿勢で、すごく真剣な顔して天井をにらんでいた。


「お、おはよう、ぼんちゃん……?」


 返事はない。ただの寝ぼけかと思って近づくと、ぼんちゃんは低い声で一言、言った。


「……来るにゃ。ケナイダー8000が」


「ケナイダー……? 何それ? 焼きそば?」


「焼きそばじゃないにゃ。未来から来る、犬型戦闘生命体にゃ」


 そのとき、テレビの裏に隠してたぼんちゃん専用おやつの缶がカタカタ揺れた。


「にゃ……やつはもうこの時空に侵入してるにゃ」


 いや、なんでそんなSFホラー展開みたいになってるの? ぼんちゃん、ただの猫だったよね?

 前の飼い主さんに置いてかれて、うちに来たばかりのときはミルクの飲み方も下手で、寂しいと「コチャコイ」って鳴いてたあのぼんちゃんが、いまや未来戦士?


「なあ、ぼんちゃん……夢オチじゃないよね?」


「信じなくてもいいにゃ。ただし、おやつは守ってにゃ」


「そこは本能なんだ……」


 その瞬間、玄関から「ガタンッ」という不穏な音がした。


「……ぼく、ちょっと様子見てくるよ」


「だめにゃ。扉を開けたらやつが侵入するにゃ。防衛モードに入るにゃ」


 ぼんちゃんはソファから飛び降り、しなやかに床を走る。だけどやっぱり、足音が「ぽふっ、ぽふっ」って可愛すぎて緊張感ゼロだった。


 それでも、ぼくは思った。


――もしかしたら、ほんとに彼は“何か”から来た猫なのかもしれない。

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