ふたりのその後:余白にて





再会はない。


けれど、どこかで風が吹いたとき。

雨が静かに降ったとき。

灯は立ち止まり、どこかの空気を嗅ぎ取ることがある。


――それは幻か、それとも――


詩織もまた、夜の窓辺に立ち、

どこかの誰かに向かってこう囁いているかもしれない。


「ごめんね。

それでも、あなたが生きていてくれて――本当に、よかった」


物語は、もう語られない。


けれど、彼女たちは確かに存在していた。

互いを壊し、失い、そして二度と戻らない距離で生きていく。


――それが、“生き延びる”ということだから。

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