停電

ごくわずかな間

電気の流れが寸断されただけで

世界が真っ暗になる


暗がりの中に

ぼんやり浮かぶ

端末のモニターの輝きだけが

かろうじて

視界を繋いで止まない


それすらもなくなったら

いのちが消えるのに


電気の供給が止まることは

いのちあるものにしてみると

いのちそのものが止まるのと同じ


脈拍を止められ

感覚を麻痺させられて

なにが起きたのかもわからぬまま

いのちが刈り取られる


薄れてゆく意識の中

これがすべての終わりとだけ

止まった電気が告げるのだ


慈悲もないままに

いのちの消える様子を見たくなくて


わずかな時間ののち

電力が復旧して

ヒカリが再び灯るのを見つめた時


僕はまだ、生きていることを実感する

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