(ジェイ×ミチル)「ウルトラレアなジェイ」

 ワンワンはあいつだけじゃない……

 もっと前から忠誠を誓うワンワンがいたではないか……




 ジェイがまだ起きてこない。珍しい。

 ミチルは食パンをフライパンで焼きながらジェイが起きてくるのを待った。


「ジェイ……?」


 パンを焼き終えてもジェイが起きてくる気配がない。

 ミチルは不思議に思ってジェイのベッドに向かった。


「ジェーイ、朝だよお」


「むう……むう……」


 摩訶不思議。

 規則正しい生活こそ騎士の基本。それなのにジェイはまだ寝ている。

 ちなみにジェイの寝息が「むうむう」であることは初公開だ!


「あのさあ、本来起きられないのはオレの方なんじゃなぁい?」


 呆れたミチルが爆弾発言。その解説はもちろん出来ない。


「朝だー! 起きろぉおお!」


 ミチルはジェイがかけている毛布を引っぺがす。

 そこには……


「む、む……? ミチル……」


 大型ワンコ……のように、たれ耳とフサフサしっぽが生えたジェイが横たわっていた。


「えええええー!」


 異世界で不思議に慣れきったはずのミチルもさすがに驚愕……


「何それぇ♡ カワイイんだけどぉ♡ 萌えなんだけどぉお♡」


 ……する前に、目先のもふもふイケメンに心奪われた。




「ああ、ミチルすまない。なんだか体が怠くて……」


 きゅーん!

 普段から病気が逃げ出すほどの体力おバカ……じゃなくて体力オバケのジェイが弱っている。

 もふもふな耳としっぽ付きで♡


「そりゃあ、耳としっぽが生えちゃったもんねっ!?」


 萌え萌えですっかり目がハートのミチルの言葉に、ジェイは自分の頭と下半身を確認して青ざめる。


「むむう……耳と尻尾が生える病など、聞いたことがない」


 ああ、さすがにそうなんだ、とミチルは変に納得した。

 いくら異世界でも急にイケメンがイケメン獣人オトメの夢♡になる事はないんだと。


「ああ……病院に行くにしても、体が怠くて動けそうにない」


 いつもボーッとして表情筋が死んでいるジェイが、気怠げに物憂げでアンニュイ。

 今日のジェイはウルトラレアカード級です。天井仕様でしょうか。


「とと、とりあえず、もう少し寝る? そしたら動けるようになるかもしれないし」


 URジェイをしばらく堪能したいミチルは二度寝を勧めた。

 看病にかこつけて、そのしっぽをもふりたい。


「そうさせてもらおう……」


 ジェイは儚げな顔のまま、もう一度毛布を体にかけてベッドに横たわった。



 

「ミチル……」


「うん?」


 たれ耳しっぽのジェイから、極上要求が炸裂!


「心細いから、一緒に寝てくれないか……?」


「!」


「くぅん……」(←幻聴)


「ももも、もちろんっ!」


 ミチルは後先も何も考えられず、萌えの赴くままベッドにイン!


「ああ、ミチル……」


 もふもふワンワンになったURジェイに抱きしめられました!

 そうです、これがミチルの得意技「イケメン専用抱き枕」なのです!


「ほにゃあぁ……」


 二度寝って、ほんと幸せ……




「ミチル……」


「なあに、ジェイ……?」


 二度寝って、ほんと甘い……




「ペロペロしたくなった……」


「きええええっ!」




 目覚めたら、URジェイはNジェイ(いつもの姿)に戻っていました……

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