03 耳としっぽが生えちゃった!

(ジン×ミチル)「おいなりさんの怪」

 これは呪いなのか、それとも祟りか……

 もふもふの報いを受けるがいい……



 

「せんせー! せんせぇええ!」


 バタバタと走り回って師範を探すミチル。

 ジンはその可愛らしい足音に耳を澄ませて、ミチルが自分を探し出すのを待つ。


「あっ! ここにいたんだね、先生!」


 儂を一生懸命探すシウレン、萌え♡

 だがそんな心情を出さず、悶える胸を抑え、ジンはクールに返事をした。


「何事だ、シウレン。落ち着きなさい……ぃい!?」


 瞬時にクール終了。

 ジンは部屋に入ってきたミチルの姿に仰天した。


「せんせえ……なんかね、オレ、耳としっぽが生えちゃってるんだよぉ……」


 ココーン!

 狐っぽい耳がぴこぴこ生えて、ふさふさのしっぽがぷりぷり揺れる。

 さらにサービス(?)のいい事に、ミチルの服装が変わっている。小袖姿のお小姓スタイル。


 こ、これが、和風ファンタジーBL!? とさすがの毒舌師範も理性が吹っ飛びそうだった。



 

「シ、シ、シウレン……? 何が、一体、どうなったのだ?」


「わかんないよぉ……って、先生ぇ!?」


 泣きつきそうになったミチルを、儂の胸へカモンと誘いかけて、ミチルが急ブレーキ。

 ジンにも同じように狐の耳としっぽがふさふさ生えていた。


「うん? なんだこれは」


「もふもふイケメンせんせーッ!!」


 ジンの出立ちはまんま妖狐〇〇の趣き。

 クールでビューティーな千年狐が顕現している。


 ジンとミチルが二人で並べば、偉大な妖怪狐とお使い狐っ子のようだった。




「どーしよ! どーしよ、なんかの祟りかな!? キツネだしっ」


 日本の風習になぞらえて考えたミチル。

 しかし、ジンにはあまりピンと来ていない。


「ふうむ……だとすると、何が原因なのだ?」


「そんなのわかんないよぉ……」


 首を捻るジン、泣きべそで困るミチル。

 二人の脳裏にここ数日の記憶が巡る。




「はっ! まさかアレでは……?」


「何? 先生!」


 閃いたジンの推理が流れるように披露される!


「先日、儂がシウレンのおいなりさんを××で××って×××……!」


「ギャァアア! みなまで言うなァアア!!」


 ミチルのもふもふ耳が真っ赤に染まった。

 しかし、ジンの推理は止まらない。


「あまりにも儂が美味しそうにシウレンのおいなりさんを××るものだから、羨ましくなった何かが……?」


「何かってなんだァアア! そんなどスケベ神様がいるかァアア!!」


 真っ赤になって怒るミチルの言葉は、自分の推理に支配された毒舌師範には届かない!




「おのれ、妖怪めえ! シウレンは渡さぬぞぉお!」


「お前もう黙れぇええ!」


「今夜もおいなりさんは儂のものだぁああ!」


「イヤー!!」




 その夜、おいなりさんを食べたら治りました♡

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