第31話 降り注ぐ赤と友情
俺は、巨石の赤い核に向かって刀剣を振りぬいた。
刀剣から放たれる黒い閃光は見事に赤い核に直撃すると、それは瞬く間にひび割れ、まるで破裂するかのように壊れた。
赤い破片が飛び散る光景の中、目的の強力な魂を回収に向かおうと思っているとその直後散らばった核のかけらたちがキラキラと輝き始めた。
そして、それらはまるで最後の足掻きであるかのように無作為に赤い閃光を放ち始めた。
それは数えきれないほどにあちこちに散らばった。
その一つが俺の元にも向かってきたが、すぐに刀剣で対応して難を逃れた。しかし一部の赤い閃光はアオの元へも向かっていることに気づいた俺は、すぐさま彼の方へと目を向けると、そこは多くの土煙が舞っていた。
安否が確認できない中、ひとまず巨石の赤い核に宿っている強力な魂を手中に収め、すぐさまアオの元へと向かった。
「アオッ、大丈夫かアオッ」
声をかけながらあたりを見渡していると、ふと、近くで人がせき込む声が聞こえてきた。俺はその方向へと向かいながら徐々に晴れてきて視界の中でアオの事を見つけ出した。
彼は、せき込みながら地面に座り込んでいた。
「アオ、大丈夫か?」
「えぇ、私は大丈夫ですよジュジュさん」
「無事なら良かった」
「それよりも、もう大丈夫なのでしょうか」
「あぁ、この通り魂は回収済みだ」
俺は捉えた魂をアオに見せると、彼はとても興味深そうに見つめてきた。
「先ほどからずっと思っていたのですが、この黒い影のようなものは一体?」
「相棒のクロコだ、こいつのおかげで魂の回収が行える」
「変幻自在の暗黒物質・・・・・・こんなものは初めて見ました」
「そんでもって、あの巨石の核から取り出したのがこいつだ、クロコのおかげで視認出来る様になってるだろう」
クロコで形成した手でつかんでいる魂は真っ赤に染まっており、わずかに拍動している様子だった。
「これが魂なのですか・・・・・・」
「あぁ、ひとまずこいつは丁寧に保管しとかないと、余計な面倒はごめんだからな」
「魂の保管ができるのですか?」
「そうしとかないと、余計なものが寄ってくるからな」
「寄ってくるとは?」
「強い魂には強い引力が発生している、それは人や魔物問わず、あらゆる現象を引き寄せてしまう。そうならないために、その引力を遮断するんだ」
「それも、ジュジュさんが行えるというのですか?」
「あぁ・・・・・・
俺の言葉に反応して、クロコは真っ赤な魂の周りに影をまとわりつかせながら、赤い光が漏れ出ないほどに綺麗に包み込み、俺はそれを懐にしまい込んだ。
「こんな感じにしとくと、他の者に影響を与えづらくなる」
「確かに、体が少し軽くなったような気がします」
思えば、アオは巨石の強い魂に圧倒されていたにもかかわらず、俺の囮になって正気を見出してくれていたのか・・・・・・どうやら、随分と世話になってしまったらしい。
俺はすかさずアオに手を差し出すと、彼は俺の手を取って立ち上がった。
「しかし、噂に聞いていたとはいえ、これほど変幻自在な力を扱えるとは驚きですよジュジュさん」
「全部クロコのおかげだ」
「クロコ、ジュジュさんの相棒さんの事ですか」
「あぁ」
クロコは俺の胸元から顔をのぞかせると、アオは驚いた様子を見せた。
「く、黒い狐・・・・・・?」
「というわけで、いろいろ助かったよアオ、ありがとな」
「い、いえ」
「俺はこれから行くところがある」
「ど、どこへ行かれるのですか?」
「先も言っただろ、地獄房にいる奴のところに行く」
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