第23話

「あっんっ…いおりっっ…もっとぉ。」


なかなかの声量の喘ぎ声とパンパンと腰を打ちつける音が近くの部屋から聞こえてきた。



名前を呼ばれていたのでそこにいるのは確実に伊織さんだろう。

色んな女の子と遊んでいるのは分かっていたけど、流石に目の当たりにするのは嫌だ…。



「うわ、こんなとこでヤってんのかよ。声ぐらい抑えてヤれよ。」


後ろから私の耳を塞ぐようにしてくれたユーヤさんは伊織さんがいるであろう部屋の壁をひと蹴りして私の耳に手を当てたまま別の場所へ連れて行こうとしてくれた。



ガラッ


「だれー?邪魔しないでくんない?…って裕哉かよ…え、音ちゃん…?」


伊織さんは私に気付いたみたいだ。


「っねっ、いおりぃっ、開けないでぇっ見えちゃう、」


「は?知らないよ。そんなのどーでもいいじゃん。」


「お前さ、ヤるならもうちょっと場所考えろ。」


一度立ち止まったユーヤさんはすぐに歩き出す。


「まってまって、もー終わったから俺も一緒行く。」


そう言って服を整えた伊織さんは部屋の窓から外へ出てきた。


「えっ待ってよ、まだっ」


女の人の声が聞こえたけど伊織さんは無視して私たちの元へ近づいてきた。



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