オーク(死という要素)
オークというとファンタジー作品では豚人間として描かれることが多いです。大元は、『D&D』で豚面と書かれたことが原因でしょうか? 『ドラクエ』でも猪人間の見た目でしたしね。ともかく、なろう系もそれに合わせて豚人間というより、もう豚そのものとして扱われてます。
時になろう系では、オークたちはトンカツにされたり人間に食われたりしてますけど、あれって苦手なんですよね。いや、人型をして言葉を喋る生物を食えるって、人としてかなり異常だと思うんですよ。エルフがチキンの味がして美味しいから、じゃあエルフ食おうってなるか?――みたいな。既に人食い鬼(オーガ)より性質悪いと思うんですよね。トールキンもビックリでしょう。
オークはトールキンの『指輪物語』にて創造された種族で、ローマ神話のオルクスが元ネタだと言われています。オーガも元をたどればオルクスですね。オルクスに豚要素はありませんが。
豚要素というと、西洋では豚鼻……というよりは死人の鼻ですね。鼻が腐り落ちて半ば骸骨になった顔は、豚の鼻のように醜悪な顔の象徴として度々登場します。例えば、ゾンビ映画を始めとして鼻が削げ落ちた顔というものは造形上、死を連想させる不気味な顔として捉えられます。『ハリー・ポッター』のヴォルデモートも鼻が削げてますよね。死を連想させる不気味な豚鼻というのは象徴として存在している気がします。
あ、ちなみに私は、豚鼻というか上向きの鼻って好きで、ケヴィン・ベーコンみたいなの好きなんですよ(あとサンドラ・ブロックとかも?)。イケメンのアンデッドみたいな顔されてますし。
オルクスというと死の神ですから、オークがその死の要素を受け継いでいたとしてもおかしくありません。そういう意味での豚鼻、豚面ではないでしょうか。
個人的にはオークというと『Warcraft』のオークですね。あのオークは勇猛果敢で見た目も豚というよりは、ごついケヴィン・ベーコンみたいで大好きです。デーモンによって異世界から召喚され、呪いを掛けられたオークたちは、その支配を断ち切って新たな地で誇り高く生き、今に至っています。『Warcraft』の主役なわけです。
オーク(拙作の世界の)
拙作の『王子の私の~』に登場したオークたちの出自は『Warcraft』のオマージュです。魔族オルクスによって冥界(アビス)から召喚され、精力を与える代わりに人間を殺し犯すというオルクスの祝福(呪い)を授けられていましたが、勇者ヴァタウによってオルクスが討たれ、オルクスの支配から解放されました。
自由を得たオークたちはタルサリアのリグネの森へ棲みつき、後に西方、聖国のさらに西へと移住します。その移住した先からやってきたのが『かみさまなんてことを ~陽だまり』のログロウです。
『王子の私の~』で語られていた通り、オーク一人は人間二人分の戦力になります。体格が人間の二回りほど大きく、倍の体重がある筋肉の塊で、その上にただならぬ精力があったため長時間の戦闘に耐えられます。また、同作でラルバが騎乗していたように恐狼(ダイアウルフ)を乗用とします。『指輪物語』のワーグというやつですね。
死の魔法
オークはその性質上、死と関り深い信仰を持っています。呪術師(シャーマン)が居て、死者と会話したり、死体を操ったりといったことも可能です。『王子の私の~』に登場したラルバもワームと呼ばれる長大な竜の死体を操ったりしています。
死体を操るというと、『死鎧の騎士』の人形使い(アルルーナ)もラルバと同じような力を持っていました。人形使いたちは修道会に属していたので呪術師ではありませんでしたが、ラルバはタルサリアのアイゼとの間に子供を残しているので、その血筋の者が居たか、或いは死体を操る技術が受け継がれたのかもしれません。
ちなみに拙作にはアンデッドという概念が存在しません。魂を再び宿した死体は、生者と特に区別されないのが拙作の特徴です。もちろん、腐敗していたり、腐敗の影響を受けたりすることもありますが、生者とアンデッドを区別することがありません。
生者とアンデッドを区別するのって、実に最近のファンタジー的であると思うんですよね。伝説に残る死者の蘇りって、主人公たちにとっては生者と区別が付かないんですよ。例えば日本神話の中でイザナミが黄泉の国から上手く蘇ったとして、イザナギはイザナミをアンデッドと区別したでしょうか?
死者の蘇りって、性質上忌避されるためかバッドエンドが大半です。それがアンデッドと特別視される原因のひとつだと思うんです。じゃあその物語がグッドエンドだったとしたら? その辺が『死鎧の騎士』の物語で描かれています。
蘇生の魔法とアンデッドを作る魔法がしばしば分けられていないのもそのせいです。加えて、『姫様ここにあり!』で異形の女神が語ったように聖別された死体が蘇生できないこともあります。蘇生の魔法は光の魔法、アンデッドを作る魔法は闇の魔法――なんて単純なものでもないんですよね。そこが好きなんです(自画自賛)
ホルク
オークと人間の間に生まれた子供は、オークたちの間ではホルクと呼ばれています。『かみさまなんてことを ~陽だまり』のログロウが語っていたように、ホルクは現在では忌み子のように扱われます。もともとは人間を殺し、犯す呪いを受けたオークたちが、人間の女を襲って生まれた子を、やはり人間と同じように殺した忌まわしい過去の出来事がその理由です。彼らは本来、誇り高い種族だったため、そのような過去に堪えられなかったのでしょう。
逆にラルバとアイゼの間に生まれた子供たちは、周囲の環境もあって普通に祝福されて育ちました。やがて世代を重ねるとともにオークの血は薄れ、タルサリアの人々の間に混ざっていきました。『勇者のオレの~』の後日譚でハイトリンはロスタルにはラルバの血が受け継がれているんじゃないかとも言っています。
そんな感じでオークというのは、人間に食われるだけの雑魚モンスターではないのが拙作です。
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